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魔術師ふたり
⑥
「無い無いってね、ハスター。今の器、何。その器はね、俺と、シリルが魔力と、神力を練り上げて作った器なんだよ。お前の魂を拒絶しない強度を持った器」
「知ってるよ。如月 漣は、クトゥルフを降ろす為に召喚された器で、その兄さんと、ザイラスの女王との間に出来た子供に私の魂を入れたのが今の俺なんでしょう」
「そう。ザイラスの王族の色を纏って、顔は、シリルと、僕のいいとこ取りだよ。それに、お前のあの生まれ付きの能力が合わさっての君だよ。『ザイラスいちの麗人』と唄われた『朱里』だよ」
レンがあの、と、話の途中で、
「その名を使うな……… 」
と、地の底から響いて来るような低音が、ハスターの唇から漏れた。
「うおう……… 。いやぁ、うん、ごめん」
見る見るまに、シュンとするレン。
逸れを見て、シュリの色が濃くなったハスターは、溜め息を付いた。
「『如月 朱里』は、死んだんだよ。人間で無くなった時点で、無くした名前だよ。あんたが一番良く知ってるだろ、親父」
「うん、そうだね。そして、ザイラスが地上から消滅した日でもある」
感慨深げに話す2人の脳裏には、何が甦っているのだろう。
憂う2人だが、いち早く立ち直ったのはやっぱりレンだった。
「まぁ、昔のハスターは、良くって『黒い人』(真っ黒な人型で目だけが光ってた)か、どこぞの漫画の『殺せんせー』(正、黄色の外套をすっぽり被っていた)だったからね~。面食いのシュブニの触手も動かなかったんだろうね。それか、あいつ両性具有だからお前のホンモノの奥方狙いなのか。どちらにしろ、警戒は、怠らないようにしなきゃね」
レンの言葉にとっても複雑そうな顔をするシュリは、すっかり元通り、3割り増しの麗人である。
取りあえず、神格さえ消しておけば、シュブニには見付からない。
女神と、呼ばれているが、あの、雄の黒八木(サタン)としても絵が描かれている神だ。
男と、女がその身体に同居している。
よって、あまり巷では知られて居ないが、妻もいる身なのだ。
シュリがシュブニを『ビッチ』と、言うのも頷けると言う訳。
と、まぁ、長々とこの2人の状況を話してはいたが、
要は、最悪の事態が訪れたと、言う事だ。
「はぁ、トレント所じゃねーじゃん、俺」
トレント以上に、面倒な奴を相手にしなきゃいけない事を、しみじみ悟ったシュリなのだった。
「お、シュリ、その程度なら普通に帰って大丈夫だよ」
レンがニコニコと笑っている。
胡散臭い
シュリがそう思うのは、無理も無かった。
しかし、何時までも此処にいても仕方が無いのも事実。
シュリは、踵を返し此処を去ろうとした。
其処へ、
「あ、そうそう、シュリ」
今一度、呼び止められた。
「そういえば、この国の王立図書館って凄いよ。国一番とか言われているけど、あれは世界一だよ。お前も一度見てみると良い」
「何を言うかと思ったら…… 」
『本当にこのふざけた親父は……』
そう思いつつ、シュリは、手を振るレンに背を向けた。
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