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長い1日の始まり
prologue①
しおりを挟む一体どこをどう間違って、私は、死ぬ目に合って居るのでしょう。
ナディアは困惑していた。
身に覚えの無い出来事で、婚約者のリックス皇太子から断罪されたのだ。
彼女は、皇太子殿下から望まれて婚約者になったと言うのに、16歳になって高等学園に入学して半年で殿下に浮気されてしまったのだ。
浮気ならまだ良い。
けれど、どうやら殿下は『本気の恋』と、言う物をしてしまったようで、邪魔になったナディアを、浮気相手と共に画策して、罪を着せたのだった。
何とまぁ、悲惨な事でしょう。
ナディア自身は、聡明で、内外共に美しく、非の打ち所の無い少女だと巷では有名で有ったが、そんな彼女を、皇帝と王妃がとても気に入ってしまい、二人の諸外国訪問に合わせてこのような暴挙に、皇太子殿下が出てしまったのだった。
皇帝夫妻があまりにもナディアを可愛がり、皇太子を蔑ろにしていると言う、心無い噂に皇太子が踊らされてこんな暴挙に出たとも、巷では噂されていた。
真意は兎も角、皇帝夫妻が諸外国訪問というこんな機会でも無ければ、彼女を婚約者の座から引きずり降ろせない。
そう思った馬鹿どもの、浅はかな考えと行動だった。
勿論、ナディアは無実を唱えた。
両親や、可愛い弟もナディアを信じ、身の潔白を訴えた。
けれど、その嘆願もあえなく却下。
今、ナディアと家族は、皇国一の闘技場に引きずり出され、魔獣を放たれる寸前だったのだった。
そんな彼女にも、味方は、いた。
皇帝が付けてくれていた、彼女専用の騎士団だ。
ナディアは、彼等に『全幅の信頼』を預け、彼等もまた、ナディアとの間に『深い信頼』を築いていた。
彼等が、ナディアとその家族を守るように取り囲み、魔獣が居る筈の門を凝視する。
そうこうしているうちに、門が開き、闇がぽっかりと口を開いた。
「皆さん、私達の事は良いですから、早く逃げて下さい! 」
ナディアは、声を張り上げて、皆に逃げろと訴える。
大声は、淑女にあるまじき行為だが、そんな事言ってられない。
「ナディア様を置いて我らが逃げるだなどと、有り得ません!! 我々は、ナディア様の守護騎士でございます! 」
負けじと大音声で熱く語るのは、洗練された物腰の美麗な騎士団長様。
因みに爵位は、騎士伯である。
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