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無実の罪で投獄された令嬢
投獄された令嬢④
しおりを挟む「ほおぉ、コレは如何にも面妖な物を造りましたね。零」
「面妖ってなぁ、んな訳あるか。コレは俺の生きてた世界に今も存在する、床暖房と言う暖房器具だ。あの世界には魔法も錬金術も存在しない変わりに、科学ってのが存在すんだよ。その数ある恩恵の一つだな、コレは」
「成る程、逸れを錬金術で作成したのですね。ふむ、とても便利な代物ですねぇ。用が済めば家の裏に移転させましょうかね。コレ貰っても良いですか?零? 」
「は? 欲しいの? コレ? 」
「えぇ、欲しいですねぇ。フォルトゥナが喜びそうです」
「まぁ、良いけどさ、もしかしなくてもヌックごとか? 」
「出来れば」
馬面がにっこりと笑うのは怖い。
人間バージョンならいざ知らず、今は馬なヘンディク。
歯をむき出して笑う馬に零はドン引きした(別の意味でも)。
そんなたわいもない遣り取りを繰り返して居る時だ、ヘンディクは、零の声を遮って言った。
「零っ」
言われなくても解っているとでもいいたげに零はヘンディクを見やる。
「うっ、うんっ…… 」
零の腕の中で、もぞりと抱え込んだ彼女の身体が動いた。
ゆっくりと、覚醒が始まる。
間に合わなかったか………。
そう思うだけで、声が出なかった。
そしてキャサリンは覚醒した。
「んっ……、ふ…あ……。此処は? あれ? これは……、お風呂? 」
そう呟くように言いながら、彼女は固まった。
目前には湯気の立つお湯と、黒々とした岩。
下を見ればお湯に浸かる自分の身体に水面に揺れる自分以外の人物の身体。
背中にも感じる岩では無い感触に、キャサリンは理解不能に陥った。
「怖がらないで、俺は君を助けに来た名をレイ=ツツイと言う。女神の名代だよ。君は凍死しかけてたんだよ、キャサリン=レイアース伯爵令嬢。今は、君の体温を戻すために湯に浸けている最中なんだ。俺の言ってる事が解るか? 解るなら頷いて」
なるべく優しく、彼女の耳元で話す零の声はヘンディクが驚く程甘い。
砂糖を吐きそうだとヘンディクは思う。
口には出さない事は至極懸命だと零を知るフォルトゥナなら賛同しただろう。
それ程零の声音は甘く、キャサリンは、彼の言葉を理解して、かくかくと小さく頷いた。
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