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新米女神と女神の守護騎士
新米女神誕生す?
しおりを挟むキャサリンが、前を行くフォルトゥナに付いて部屋に入ると、ひとりでに扉が閉まった。
そう言えば、入る時は中の人が開けたのだろうと気にも止めなかったが、よくよく見ればこの部屋には、キャサリンとフォルトゥナの2人しか居ない。
零が居れば自動扉だと、説明してくれたのだろうが、生憎と此処には、そんな気を回せる人物は存在しない。
よってキャサリンは、ただただ頭を捻るばかりであった。
あぁ、零が居ないと、ぐぐっと不安が胸に押し寄せて来る。
扉が閉まる寸前、彼がふわりと笑ってくれて、キャサリンは少し眉尻を下げた。
「そんなに緊張しないでいいのよぉ。キャサリンさん。ね、キャサリンって呼び捨てして良い? あたしの事も、シアって呼んでねぇ~」
ねっ、と言ってフォルトゥナが椅子を薦めた。
テーブルには茶器とお菓子が列べられていて、逸れをフォルトゥナがわざわざ手ずから紅茶とお菓子の準備をして、キャサリンの前に静かに置いた。
「キャサリン、どさっ、どうぞ召し上がれっ」
「あ、はい。頂きます」
ニコニコ笑うフォルトゥナに釣られて、キャサリンはクッキーを1つ手に取りサクリとかじった。
バターが効いてサクサクと軽い。
ついぞ口にした事の無い食感に、キャサリンは目を見張った。
「すっごく美味しいでしょう。コレはね、零の生きていた世界に売っていたお菓子なの。こんなものじゃ済まないわよ~。あの世界は。貴女の世界にとってはオーバーテクノロジーの塊のような世界なの。この世界意外に、異界と呼ばれる世界は五万と存在していて、私達はその殆どの世界を行き来するの。運命の女神と、その御使いだから…… 」
フォルトゥナはそう言って、紅茶を啜った。
「? 私達? 」
キャサリンは何かが、喉の極まで出て来るような感覚に陥ったが、引っ掛かったように出て来なくてむずむずして仕方がないと言う錯覚に陥った。
喉元まで出掛かっている何か、それが何かまでは解らない。
首を傾げて居ると、フォルトゥナがにまっと笑って、メガトンクラスの爆弾を投下した。
「キャサリンは、零の事、どう思ってる? 好き? 好きなのよね!? だって、ねぇ、零とスッゴく良い雰囲気だったじゃなぁ~い。その実どうなの? 」
フォルトゥナの言葉にキャサリンは、分かり易く、ポンと真っ赤に顔を爆発させた。
「うふふふふふ、良いわぁ、とっても良いわぁ。真っ白でまっさら。純情な感情だわ。でもねキャサリン、残念ながら彼はフォルトゥナの守護騎士なの。あ、誤解の無いように言っておくわね。私の守護騎士じゃ無いわよ」
キャサリンの顔が赤くなり青くなりと、忙しい。
ポロリ。
彼女の瞳から、涙の粒が一粒落ちた。
「えっ、あっ、その…… 」
「あら、あらあらぁん、あたしとしたことが、駄目ねぇ、泣かしちゃったわぁ。これじゃあ零に怒られちゃうわねぇ。でもキャサリンさんの気持ちは解ったわ。なら、話は簡単よぉ。零も貴女の事が好きみたいだからぁ…… 」
フォルトゥナはキャサリンの様子をもう一度鑑みて、今度は1㌧級の爆弾を投下した。
「貴女、フォルトゥナに、私の後を継いで『女神フォルトゥナ』になりなさい 。フォルトゥナになる修行は簡単なモノじゃないけれど、貴女ならなれる。あなた達が愛し合う為には、キャサリン、貴女が『女神フォルトゥナ』になるしか方法は無いのよ」
フォルトゥナはハッキリと真面目な声音で、キャサリンの目を見て言い切った。
ぐっとキャサリンの涙が止まった。
驚いた。
その為に彼女の涙は止まったのだ。
そして、悲しそうに眉尻が下がった。
「わたくしが女神様になどと、無理ですわ。きっと…… 」
「無理だと思えば何も出来ないよ。それに、零を余所の女にあげるのかい? 君自身では、何の行動も起こさずに。零はね初めて君を見て、その命を救うと決めた時から、血の滲む努力を重ねたのだよ。それこそ寝る間も惜しんでね。時の止まった世界で。キャサリン、君はそれを聞いても何もしないのかい? 」
女神は、今までの口調をガラリと変えて、キャサリンに諭すようにひたすら言葉を紡いだ。
キャサリンが自信を持てるようになるまで。
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