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序章 織堂紅葉の独白
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神様って本当にいるんだろうか。わたしはよくそんな事を考える。
わたしは今日も生きている。好きな人は死んでしまった。結構前の話にはなってきたけど好きな人の事を忘れることなんてあるわけが無かった。好きな人がこの世界からいなくなってしまってもわたしは今日も元気に買い物とかしちゃってる。かわいい秋服なんか探しちゃって、ただの女子高生だけど本当に『ただの』なんだもの。どうしたらいいんだ。
神様が本当にいるのなら、わたしは何度でも何をしてでもお願いしたいことがある。
死んでしまった好きな人が今どこで何をしているのか。
人間が生きている限り永久に解けない謎を無理にでも問いつめたい。
とはいうものの、人の生死なりその後なりは授業で習った範囲だけでも諸説ありすぎるし、なんなら『神様』という例えすら抽象的で怒られる案件かもしれないのはギリギリで理解しているまである。ただわたしは純正日本人で毎年初詣に稲荷神社に向かいはするのでとりあえず神様、と呼ばせて頂くことにする。
神様、なんならわたしを好きなひとの元に連れていってくれてもええんやで。あーこのおようふく可愛いな、これ着て連れて行ってくれたら好きな人は笑ってくれるかなああはは。
そんな事を考えてお店の中を物色していると、なんとなくおなかまで空いてきた。今何時だろとスマホを取り出して確認すると動画サイトから推し配信者の呟きの方でライブ配信告知が来て顔が少しニヤってする。そして時間は15時の30分だった。うむ。夕ご飯にはまだ遠いな。なんならもっと寒くなってしまう前にいちごシェイクキメに行こうかなー。
………………。
スゴい矛盾をひたすら考えてるんだなわたし。
死んでしまったあの人の事を考えて、いっそ連れて行ってくれと考えて1分もしない内に今この時間生きている事をとても楽しんでしまっているじゃないか。
かわいいお洋服を着たい、推しを応援したい、スパチャ投げる為にリアタイしたい、おなかすいた、まだ生ぬるい季節の内に冷たい大好物を飲みにいこう。……これ全部生きていなきゃできない事だし、何よりも誰よりも生きていることを楽しんでいるという確固たる証拠でもある。
なんだかなあ。
好きな人はもうこの世にいない事。けれどわたしは生きている事。そして究極わたしはあの人に逢いたいと思いはすれど自分がその人を追う目的で死にたいという感情にはなっていないという事。非常に矛盾していないか? ……矛盾だなあ。あまいものほしいなあ。あーこのトップスかわいいなあよし今日はこれを買っていこう。
好きな人に逢いたい。
おいしいもの食べたい。
推し事したい。
取りあえず生きてはいたい。
やっぱりめんどくせえ!
考えるのをやめたくなった私は取り敢えずシェイクを飲みに行こうと思った。とっととお会計しちゃおうとスマホの画面を見直したら今度はニュースアプリの通知が届いていた。とはいってもガチのニュースじゃなくて割とどうでもいいコラムの更新通知だった。普段のわたしならそのまま通知を消すところだけど、今日のわたしはその見出しに思わず釣られてしまう。
『【コラム】日本各地で話題のドッペルゲンガーとは? 人気動画配信者がその謎に迫る!!』
うわー安っぽいなー。反射的に眉間に皺が寄るけれど、安っぽいのに気になるのはその根幹だった。
ここ近年の間では主にネットやSNSとかでネタになってたホットなオカルト伝説の様なんだけど、それが最近になってじわじわクラスメイトの範囲でも声に出して噂されるレベルで話題になる位に騒動になっているらしい。届いたコラムは直接開いてはいないけど、こういう見出しのものを一日何回見るか数える程度にはネタになっているらしい。
ーー何やら巷では『ドッペルゲンガー』と呼称されるものの目撃情報が多発している、らしい。ただ今流れてくる噂としては本来意味するそれとは少し趣旨が違っていて、どうやら事案としては『亡くなった人』の生き写しが俳諧している、という内容だ。
まあ正直言うと、今わたしが若干かき乱されているのはこの都市伝説のせいだし。なんなら真偽さておき『亡くなった人』が自分の目の前に現れるなんて羨ましすぎるのでは?
ただ所詮噂って部分もあって内容も非常に曖昧で、話をすることが出来ただの目が合ったら消えただの噛みつかれそうになっただの大小様々あったりする。
けれど死んだ人が蘇る? というのが取り敢えずの共通点なのは間違いないらしい。
「どんな形であれ逢えるものなら逢いたいよねぇ……」
わたしはスマホを握りながら、思わず独り言をこぼした。
好きな人に逢いたい。逢って聴きたい。色々な事を聴きたい。その顔をもう一度見たい。見て確認したい。
ーー神様が本当にいるならば、この都市伝説をどうかわたしにも見せてください。
…………。
……………………うぅ。
あたまいてえ! 考えすぎた!! 踊らされすぎた!!
いきなりオトメチカしてどうするんだ。わたしの悪い癖なのか何なのか、思考回路が多方面に飛び散って簡単に数分ロスとかしちゃうんだよなあ。とはいっても中学生の頃合いにクラスメイトの事故死やら他何やら色々って、多分経験する人はあまりいないだろう。多感(笑)な時期にそんなのあったら今でも時々考え込んだりするのも仕方ないよねー許してくれよーああそうだいちごシェイク飲まなきゃ! とっととお会計しよう!!
勢いつけて身体をレジ側に向けた途端、野生のカンみたいなレベルで目の端に映ったものに全部の意識を引き付けられた。それなりに賑わう店内の筈なのに、わたしの両目がしっかりとキャッチした人影。同じく買い物途中らしき金髪のお兄さん。背中に楽器の方のキーボード用らしき長方形のバッグを背負っていて、お買い物カゴに何点か入った状態でお店の壁側で小さく微笑みながら何か通話をしていた。流石に声は聞こえないけど、ここから見える横顔でもその『かわいさ』のようなものは察する。
ただ、わたしはその顔を、たぶん、いや、確実に…………知っているな??
「……………………。ええぇ? まじ?」
いやまさか、え、あの人……って……?
待て待てわたし。余りガン見して気づかれて気持ち悪がられたらだめでしょう。わたしは空いていたレジに滑り込んでとっとと会計を済ませると、買ったものを鞄に詰める空気を出しながらその人を目で追った。随分のんびりと、しかも通話しながら笑顔でレジに入った。
「あー、じゃあ30分くらいのズレだねー、今近いとこいるからそのまま向かうねー」
やべえ間違いない、この人あの人だ。わたしが挙動不審のフリをしてる合間に会計を終わらせたその人、すごくかわいい顔しながら颯爽とわたしの隣の少し空いたスペースに来た。ヒエ近っ。その人は買った服一式の袋を素早く器用にコンパクトに折り畳み、背中から下ろしたキーボードバッグのファスナーの隙間にトゥルっと吸い込ませた。手つきまで早っ。でもその手つきもう確定案件では。
変な汗を滲ませながら怪しまれない程度にもう少し人物像を確認する。
このお兄さん。身長170cmくらいの、金髪ボブ。そして目には強い色調のカラコンをオッドアイ仕様にしている。すげえ、右が黄で左が青……最近どっかで見た組み合わせだな? んで服はまさにこのお店ので全身揃えていた。年齢は流石にわたしよりは年上だろうけど、正直同い年ですーって言われてもそうなんだーって通りそうな可愛さ……いや、幼さ? がある。要するに普通に凄く目立つ人だ。けど思ってたんと違う、と声に出して言いたくなった。我慢したけど。
と、ここまでなんか色々決まってるけど、わたしの額や掌から滲む変な汗が教えてくれる事。リアルで見ると随分雰囲気もイメージも違ったけど、この人があの人であることは間違いないと、本当の意味で確信してしまった。
いや確信したからって何かどうとかどうしようとか、いや、思ってもいいけどどうなんだそこからいっやいやいやどうしてもだめなんですよー自分おりこうさんですからーと若干混乱してきたかもしれない。この時点でわたしの頭の中からいちごシェイクの姿はなりを潜めていた。
あーわたし友達とかいなくて本当によかった!!!
わたしはこころの中で万歳三唱をした。
だって友達がいたらこんなだめなことにつきあわせるとか出来ないものね?
……わたし、残念だけど人よりほんの少しだけ目がいいみたいなんだよね。
その人が見せたバッグの隙間から見えてしまったものがわたしの好奇心と、運命めいた何かを強烈にかき立ててきた。興奮にも近い衝動が出て鼻呼吸が荒くなるまである。
その人はわたしよりも先にするりと店を出た。
本当に、本当に今日だけにします。
わたしはそう、さっきまでこころの中で想像していた神様に詫びながら、軽いステップを踏んで同じ道を歩き進めた。
わたしは今日も生きている。好きな人は死んでしまった。結構前の話にはなってきたけど好きな人の事を忘れることなんてあるわけが無かった。好きな人がこの世界からいなくなってしまってもわたしは今日も元気に買い物とかしちゃってる。かわいい秋服なんか探しちゃって、ただの女子高生だけど本当に『ただの』なんだもの。どうしたらいいんだ。
神様が本当にいるのなら、わたしは何度でも何をしてでもお願いしたいことがある。
死んでしまった好きな人が今どこで何をしているのか。
人間が生きている限り永久に解けない謎を無理にでも問いつめたい。
とはいうものの、人の生死なりその後なりは授業で習った範囲だけでも諸説ありすぎるし、なんなら『神様』という例えすら抽象的で怒られる案件かもしれないのはギリギリで理解しているまである。ただわたしは純正日本人で毎年初詣に稲荷神社に向かいはするのでとりあえず神様、と呼ばせて頂くことにする。
神様、なんならわたしを好きなひとの元に連れていってくれてもええんやで。あーこのおようふく可愛いな、これ着て連れて行ってくれたら好きな人は笑ってくれるかなああはは。
そんな事を考えてお店の中を物色していると、なんとなくおなかまで空いてきた。今何時だろとスマホを取り出して確認すると動画サイトから推し配信者の呟きの方でライブ配信告知が来て顔が少しニヤってする。そして時間は15時の30分だった。うむ。夕ご飯にはまだ遠いな。なんならもっと寒くなってしまう前にいちごシェイクキメに行こうかなー。
………………。
スゴい矛盾をひたすら考えてるんだなわたし。
死んでしまったあの人の事を考えて、いっそ連れて行ってくれと考えて1分もしない内に今この時間生きている事をとても楽しんでしまっているじゃないか。
かわいいお洋服を着たい、推しを応援したい、スパチャ投げる為にリアタイしたい、おなかすいた、まだ生ぬるい季節の内に冷たい大好物を飲みにいこう。……これ全部生きていなきゃできない事だし、何よりも誰よりも生きていることを楽しんでいるという確固たる証拠でもある。
なんだかなあ。
好きな人はもうこの世にいない事。けれどわたしは生きている事。そして究極わたしはあの人に逢いたいと思いはすれど自分がその人を追う目的で死にたいという感情にはなっていないという事。非常に矛盾していないか? ……矛盾だなあ。あまいものほしいなあ。あーこのトップスかわいいなあよし今日はこれを買っていこう。
好きな人に逢いたい。
おいしいもの食べたい。
推し事したい。
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考えるのをやめたくなった私は取り敢えずシェイクを飲みに行こうと思った。とっととお会計しちゃおうとスマホの画面を見直したら今度はニュースアプリの通知が届いていた。とはいってもガチのニュースじゃなくて割とどうでもいいコラムの更新通知だった。普段のわたしならそのまま通知を消すところだけど、今日のわたしはその見出しに思わず釣られてしまう。
『【コラム】日本各地で話題のドッペルゲンガーとは? 人気動画配信者がその謎に迫る!!』
うわー安っぽいなー。反射的に眉間に皺が寄るけれど、安っぽいのに気になるのはその根幹だった。
ここ近年の間では主にネットやSNSとかでネタになってたホットなオカルト伝説の様なんだけど、それが最近になってじわじわクラスメイトの範囲でも声に出して噂されるレベルで話題になる位に騒動になっているらしい。届いたコラムは直接開いてはいないけど、こういう見出しのものを一日何回見るか数える程度にはネタになっているらしい。
ーー何やら巷では『ドッペルゲンガー』と呼称されるものの目撃情報が多発している、らしい。ただ今流れてくる噂としては本来意味するそれとは少し趣旨が違っていて、どうやら事案としては『亡くなった人』の生き写しが俳諧している、という内容だ。
まあ正直言うと、今わたしが若干かき乱されているのはこの都市伝説のせいだし。なんなら真偽さておき『亡くなった人』が自分の目の前に現れるなんて羨ましすぎるのでは?
ただ所詮噂って部分もあって内容も非常に曖昧で、話をすることが出来ただの目が合ったら消えただの噛みつかれそうになっただの大小様々あったりする。
けれど死んだ人が蘇る? というのが取り敢えずの共通点なのは間違いないらしい。
「どんな形であれ逢えるものなら逢いたいよねぇ……」
わたしはスマホを握りながら、思わず独り言をこぼした。
好きな人に逢いたい。逢って聴きたい。色々な事を聴きたい。その顔をもう一度見たい。見て確認したい。
ーー神様が本当にいるならば、この都市伝説をどうかわたしにも見せてください。
…………。
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あたまいてえ! 考えすぎた!! 踊らされすぎた!!
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ただ、わたしはその顔を、たぶん、いや、確実に…………知っているな??
「……………………。ええぇ? まじ?」
いやまさか、え、あの人……って……?
待て待てわたし。余りガン見して気づかれて気持ち悪がられたらだめでしょう。わたしは空いていたレジに滑り込んでとっとと会計を済ませると、買ったものを鞄に詰める空気を出しながらその人を目で追った。随分のんびりと、しかも通話しながら笑顔でレジに入った。
「あー、じゃあ30分くらいのズレだねー、今近いとこいるからそのまま向かうねー」
やべえ間違いない、この人あの人だ。わたしが挙動不審のフリをしてる合間に会計を終わらせたその人、すごくかわいい顔しながら颯爽とわたしの隣の少し空いたスペースに来た。ヒエ近っ。その人は買った服一式の袋を素早く器用にコンパクトに折り畳み、背中から下ろしたキーボードバッグのファスナーの隙間にトゥルっと吸い込ませた。手つきまで早っ。でもその手つきもう確定案件では。
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このお兄さん。身長170cmくらいの、金髪ボブ。そして目には強い色調のカラコンをオッドアイ仕様にしている。すげえ、右が黄で左が青……最近どっかで見た組み合わせだな? んで服はまさにこのお店ので全身揃えていた。年齢は流石にわたしよりは年上だろうけど、正直同い年ですーって言われてもそうなんだーって通りそうな可愛さ……いや、幼さ? がある。要するに普通に凄く目立つ人だ。けど思ってたんと違う、と声に出して言いたくなった。我慢したけど。
と、ここまでなんか色々決まってるけど、わたしの額や掌から滲む変な汗が教えてくれる事。リアルで見ると随分雰囲気もイメージも違ったけど、この人があの人であることは間違いないと、本当の意味で確信してしまった。
いや確信したからって何かどうとかどうしようとか、いや、思ってもいいけどどうなんだそこからいっやいやいやどうしてもだめなんですよー自分おりこうさんですからーと若干混乱してきたかもしれない。この時点でわたしの頭の中からいちごシェイクの姿はなりを潜めていた。
あーわたし友達とかいなくて本当によかった!!!
わたしはこころの中で万歳三唱をした。
だって友達がいたらこんなだめなことにつきあわせるとか出来ないものね?
……わたし、残念だけど人よりほんの少しだけ目がいいみたいなんだよね。
その人が見せたバッグの隙間から見えてしまったものがわたしの好奇心と、運命めいた何かを強烈にかき立ててきた。興奮にも近い衝動が出て鼻呼吸が荒くなるまである。
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