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第一章 生徒会勧誘編
入学式①
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2100年に魔法の出現と共に進歩していた世界の中で、銃規制がある日本での発展は乏しいものがあった。
2200年、ついに日本国で魔法による銃が解禁され、徐々に普及の一途を辿ることになったのである。
銃規制解除に伴い、新しく魔法高等学校の銃学科が新設された。三井湊はここの1期生として入学を果たしたのであった。
三井湊は、入学当初に行われた全ての試験では99点を取り、この学科ナンバーワンだと自信がある。
「俺の高校生デビューは完璧だな」
小さく湊はガッツポーズをした。例年、魔法高等学校で95点以上の成績を収めた者が新入生代表となっている。
湊も首席となって、あの壇上で新入生代表の挨拶を読むはずだった。
でも、湊は新入生席側に座っていた。
「本日は私たち新入生の為にこのような式を挙げて頂き誠にありがとうございます。
暖かい春の日差しに包まれ、私たちは伝統ある魔法高等学校に入学の日を迎えました。
真新しい制服を身にまとい、私たちはこれからの学校生活への期待に胸を大きく膨らませております。
・・・」
(もちろん、俺以外の奴が代表として話している。話している内容は頭の中に、入ってこない。)
「新入生代表、平松小和女性で初、新入生代表の挨拶をしていることもあって、入学前から人気を誇る女の子であった。この体育館に入る時も、彼女の話題が絶えなかったのである。
・・・以上をもちまして、新入生代表の挨拶とさせていただきます。新入生代表 平松涼子」
平松は堂々とした挨拶で壇上を去っていく。
湊は奴の姿を目の裏に焼き付けるくらいに凝視をしていた。すると、俺の目と一瞬、合わさったように思えたが、颯爽と自分の席に戻り、入学式は終わった。
「湊みなと!同じクラスだね」
ニヒヒと笑みを浮かべながら、向井桜子は隣席で足をバタバタさせていた。
「そうだな」
「そっけなさすぎ。なんで、私の方を見ないのさ~」
俺の肩を大きく揺らしながら、スキンシップを取ってくる。
桜子は、俺の幼なじみだ。
昔から付き合いが長いためか、何度か、周りにお付き合いをしているのかと思われていたみたいだが、桜子は気にせずにこういうスキンシップを取ってきた。
「俺よりもあいつとしゃべってきたらどうだ?」
そうに言って、指を差した先には人の輪があり、そこの中心には平松小和がいた。
「ああいうの嫌いだし。私は湊と喋っていた方がいいけどな」
桜子は指をモジモジをさせながら、俺の方をチラチラと見た。
「そうかー」
「あっバカにしてるでしょ」
桜子とたわいもない話をしているが、平松のことで頭がいっぱいだった。
入学式の日は、クラスメンバーの自己紹介と今後の授業の予定で終わりそうだった。
「湊!一緒に帰ろ」
桜子が元気よく、帰りの支度を整えて、湊に声をかけてくる。
「ちょっと、用事があって、今日は一人で帰ってくれ」
「えーなんで」
桜子は不満そうに頬を膨らませた。
「なんでもだ」
「しょうがない。今日は我慢します」
桜子は諦めて、先に教室を出た
湊は桜子に用事とは言ったものの、学校の探索が主な目的だった。
学校の中を歩いていると、女生徒が三、四人の生徒を連れて、こちらに向かってきていた。
生徒会長の九条藍子だ。入学式で見た生徒会長九条藍子は、容姿端麗で成績も優秀、この魔法学校高等科のプリンセスという名に相応しい人物だった。
「あら、あなたは?」
九条藍子に呼び止められた。俺との接点がなく、ほぼ面識がないはず。
「ちょうど良かった、生徒会の二人目の書記に入ってもらおうと思っていたのよ」
九条は満面の笑みを浮かべて、手を差し出し、湊を勧誘した。
「生徒会長の頼みであるなら、喜・・・」
「ごめんなさい。あなたじゃないのよ」
九条の手は、俺の手を掴むことなく、俺の隣にいた平松小和の手を取っていた。生徒会長の後ろにいた副会長の佐伯隼人や書記の皆川咲は、湊を見て、堪え切れず笑っていた。
「い、いつの間に」
羞恥に悶える中、気配がない中で、颯爽と現れた平松に湊は逆恨み近い感情を抱いた。
「いいえ。会長。私よりその役目にふさわしい人がいます」
平松は、不敵な笑みを浮かべて、俺の方を見た。入学式に見た時と同じ目をしていた。
「ここにいる。三井湊くんです」
平松はそうに言って、俺の方に指を差す。
「それはどういうことかしら。平松さん」
九条生徒会長は明らかに困ったように、平松と湊の顔を見た。
「彼は、三井家の跡取りで、しかも入学試験二位の実力の持ち主です」
湊の家は、とりわけ武術の名門であるが、魔法学校では、特に注目されるような家柄ではなかった。
「そうなの。三井家は武芸の家だと思ったのだけど。後、私は首席で入学した平松さんに生徒会に入ってもらいたいのだけど。・・・ね、三井くんもそう思うわよね?」
九条生徒会長に相槌を頼まれる。湊は後に引けなかった。
「私もそう思います。平松さんがふさわしいと」
湊は歯を噛みしめながら、答えた。
「ほら、三井くんもこうに言っているのだし。期待には答えないとダメよ。平松さん」
「でも・・・」
「会長お時間です」
後ろにいた副会長の佐伯に促される。
「いいわ。すぐ、返事をもらいたいわけじゃないの。いい返事をもらえることを期待してます」
九条は、笑顔で去っていってしまった。
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ここまで御覧いただきありがとうございました。
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2200年、ついに日本国で魔法による銃が解禁され、徐々に普及の一途を辿ることになったのである。
銃規制解除に伴い、新しく魔法高等学校の銃学科が新設された。三井湊はここの1期生として入学を果たしたのであった。
三井湊は、入学当初に行われた全ての試験では99点を取り、この学科ナンバーワンだと自信がある。
「俺の高校生デビューは完璧だな」
小さく湊はガッツポーズをした。例年、魔法高等学校で95点以上の成績を収めた者が新入生代表となっている。
湊も首席となって、あの壇上で新入生代表の挨拶を読むはずだった。
でも、湊は新入生席側に座っていた。
「本日は私たち新入生の為にこのような式を挙げて頂き誠にありがとうございます。
暖かい春の日差しに包まれ、私たちは伝統ある魔法高等学校に入学の日を迎えました。
真新しい制服を身にまとい、私たちはこれからの学校生活への期待に胸を大きく膨らませております。
・・・」
(もちろん、俺以外の奴が代表として話している。話している内容は頭の中に、入ってこない。)
「新入生代表、平松小和女性で初、新入生代表の挨拶をしていることもあって、入学前から人気を誇る女の子であった。この体育館に入る時も、彼女の話題が絶えなかったのである。
・・・以上をもちまして、新入生代表の挨拶とさせていただきます。新入生代表 平松涼子」
平松は堂々とした挨拶で壇上を去っていく。
湊は奴の姿を目の裏に焼き付けるくらいに凝視をしていた。すると、俺の目と一瞬、合わさったように思えたが、颯爽と自分の席に戻り、入学式は終わった。
「湊みなと!同じクラスだね」
ニヒヒと笑みを浮かべながら、向井桜子は隣席で足をバタバタさせていた。
「そうだな」
「そっけなさすぎ。なんで、私の方を見ないのさ~」
俺の肩を大きく揺らしながら、スキンシップを取ってくる。
桜子は、俺の幼なじみだ。
昔から付き合いが長いためか、何度か、周りにお付き合いをしているのかと思われていたみたいだが、桜子は気にせずにこういうスキンシップを取ってきた。
「俺よりもあいつとしゃべってきたらどうだ?」
そうに言って、指を差した先には人の輪があり、そこの中心には平松小和がいた。
「ああいうの嫌いだし。私は湊と喋っていた方がいいけどな」
桜子は指をモジモジをさせながら、俺の方をチラチラと見た。
「そうかー」
「あっバカにしてるでしょ」
桜子とたわいもない話をしているが、平松のことで頭がいっぱいだった。
入学式の日は、クラスメンバーの自己紹介と今後の授業の予定で終わりそうだった。
「湊!一緒に帰ろ」
桜子が元気よく、帰りの支度を整えて、湊に声をかけてくる。
「ちょっと、用事があって、今日は一人で帰ってくれ」
「えーなんで」
桜子は不満そうに頬を膨らませた。
「なんでもだ」
「しょうがない。今日は我慢します」
桜子は諦めて、先に教室を出た
湊は桜子に用事とは言ったものの、学校の探索が主な目的だった。
学校の中を歩いていると、女生徒が三、四人の生徒を連れて、こちらに向かってきていた。
生徒会長の九条藍子だ。入学式で見た生徒会長九条藍子は、容姿端麗で成績も優秀、この魔法学校高等科のプリンセスという名に相応しい人物だった。
「あら、あなたは?」
九条藍子に呼び止められた。俺との接点がなく、ほぼ面識がないはず。
「ちょうど良かった、生徒会の二人目の書記に入ってもらおうと思っていたのよ」
九条は満面の笑みを浮かべて、手を差し出し、湊を勧誘した。
「生徒会長の頼みであるなら、喜・・・」
「ごめんなさい。あなたじゃないのよ」
九条の手は、俺の手を掴むことなく、俺の隣にいた平松小和の手を取っていた。生徒会長の後ろにいた副会長の佐伯隼人や書記の皆川咲は、湊を見て、堪え切れず笑っていた。
「い、いつの間に」
羞恥に悶える中、気配がない中で、颯爽と現れた平松に湊は逆恨み近い感情を抱いた。
「いいえ。会長。私よりその役目にふさわしい人がいます」
平松は、不敵な笑みを浮かべて、俺の方を見た。入学式に見た時と同じ目をしていた。
「ここにいる。三井湊くんです」
平松はそうに言って、俺の方に指を差す。
「それはどういうことかしら。平松さん」
九条生徒会長は明らかに困ったように、平松と湊の顔を見た。
「彼は、三井家の跡取りで、しかも入学試験二位の実力の持ち主です」
湊の家は、とりわけ武術の名門であるが、魔法学校では、特に注目されるような家柄ではなかった。
「そうなの。三井家は武芸の家だと思ったのだけど。後、私は首席で入学した平松さんに生徒会に入ってもらいたいのだけど。・・・ね、三井くんもそう思うわよね?」
九条生徒会長に相槌を頼まれる。湊は後に引けなかった。
「私もそう思います。平松さんがふさわしいと」
湊は歯を噛みしめながら、答えた。
「ほら、三井くんもこうに言っているのだし。期待には答えないとダメよ。平松さん」
「でも・・・」
「会長お時間です」
後ろにいた副会長の佐伯に促される。
「いいわ。すぐ、返事をもらいたいわけじゃないの。いい返事をもらえることを期待してます」
九条は、笑顔で去っていってしまった。
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