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一晩眠り目を覚ます。外は私の気持ちとは全く反対の晴れ晴れとした空が広がっていた。魔力はある程度溜まっているのに空虚感に襲われる。
──とりあえず首の痕を消さなければ、
うっ血がすぐに治る薬を塗り込めば赤い痕はすぐ消える。ほんの少しだけ寂しく感じたのは気のせいだと思いたい。
朝食を食べ自宅を後にする。学園に着く頃には自然とため息が漏れ始める。やはり極上な精液を摂取すると他のものが物足りなく感じてしまうのだろう。口が乾いて仕方がなかった。匂いが強く香るわけではないものの口渇感と空腹感のような下腹部の寂しさを感じた。
気が付いてはいけない、そう自分に言い聞かせるように別の事を考える。
今後一生精液を摂取して生きていかなければならないとしたら伴侶が必要だろう。しかし今の状況では伴侶が見つかる可能性は0に近い。学園を卒業すれば出会いはあるのだろうか、しかしこの見た目だ。いらぬ噂で嫌煙されるのではないか、もし交際が始まったとしてもあらぬ疑いをかけられてしまうのではないか。
また、魔力は日々減ることを考慮すると頻回な性的接触が必要となる。そんなに何度も回数を求めることはできるのだろうか。年齢があがっていけばどうすればいいのか。魔力が補給できなくなれば何もできない。そんな女を嫁に迎えたいと思う男などいるのだろうか。
ふと目に入る男女。仲が良さそうに手を繋ぎ歩く姿を見かけた。幸せそうに微笑み合う2人に心臓がチクリと痛む。叶うことのなさそうな理想に目を背けるよう前を向き歩き始める。
学園内に入り、靴を履き替えていればまたあの悪寒が走る。ふと横を見ると箱状の何かをもった聖女の末裔が立っていた。
「エッエメルネスさん!おはようございます!」
「はぁ、毎回毎回。なんなの⋯⋯」
「これ、お弁当作ってきたんだけど⋯⋯お昼一緒に食べませんか!?」
「⋯⋯」
今日も凶器を携え行先を塞いでいる聖女の末裔。ここまできたら殺人の罪をなすりつけることができるのでは、そう思うほどになっている。なぜ拒否し続けているのにここまで関わるのか。やはり聖女の血が関係しているのだろうか。
その隣には3年首席の第一騎士団団長の息子ただ1人。今日は珍しく上級魔法研究所所長の息子はいないのか、あの2人はいつでも一緒にいるイメージだったから以外だ。それに2年の2人組とうるさい1年の天才少年もいない。
──2年の2人はあまり会いたくないから正直ありがたいが。
なぜかすでに目が潤み泣きそうな聖女の末裔。泣くくらいなら関わらなければいいのに⋯⋯。ただでさえ気分が落ちているのにさらに落ちていく。ため息をつき目の前の少女に目を向け、口を開く。
「だから、何度言わせれば分かるのかしら。あなたの作るものなんて何一ついらないのよ。隣の男にでもあげなさい」
──食べたら死ぬ可能性があるのよ。ここまで拒否しているのだから早く諦めなさいよ。
団長息子の目線が刺さる。何か怪しむような視線から逃れるため隣をすり抜け教室へ向かう。
「おい」
通り過ぎようとしたタイミングで団長息子が口を開いた。
先輩の声かけを無視するわけにはいかない。しょうがなく立ち止まり振り返れば聖女の肩を抱きこちらを振り返る団長息子と目が合った。
また泣いているのだろうか少女の肩が微かに揺れる。この様子を見る生徒たちの軽蔑の視線が刺さる。
「ユナイデル。お前、魔力の補給できるようになったんだな?」
何もかも知っている、とでも言うように嘲笑う男。冷静を装い笑みを浮かべ返事を述べる。
「えぇ。そうなんです。本当に良かったです」
男の目は笑っておらずとても冷ややかだった。そのまま聖女の末裔を連れ1年の教室の方へ歩いて行く。
ひそひそ聞こえる罵倒に奥歯を噛み締め振り返ることなく今度こそ教室へと向かった。
──とりあえず首の痕を消さなければ、
うっ血がすぐに治る薬を塗り込めば赤い痕はすぐ消える。ほんの少しだけ寂しく感じたのは気のせいだと思いたい。
朝食を食べ自宅を後にする。学園に着く頃には自然とため息が漏れ始める。やはり極上な精液を摂取すると他のものが物足りなく感じてしまうのだろう。口が乾いて仕方がなかった。匂いが強く香るわけではないものの口渇感と空腹感のような下腹部の寂しさを感じた。
気が付いてはいけない、そう自分に言い聞かせるように別の事を考える。
今後一生精液を摂取して生きていかなければならないとしたら伴侶が必要だろう。しかし今の状況では伴侶が見つかる可能性は0に近い。学園を卒業すれば出会いはあるのだろうか、しかしこの見た目だ。いらぬ噂で嫌煙されるのではないか、もし交際が始まったとしてもあらぬ疑いをかけられてしまうのではないか。
また、魔力は日々減ることを考慮すると頻回な性的接触が必要となる。そんなに何度も回数を求めることはできるのだろうか。年齢があがっていけばどうすればいいのか。魔力が補給できなくなれば何もできない。そんな女を嫁に迎えたいと思う男などいるのだろうか。
ふと目に入る男女。仲が良さそうに手を繋ぎ歩く姿を見かけた。幸せそうに微笑み合う2人に心臓がチクリと痛む。叶うことのなさそうな理想に目を背けるよう前を向き歩き始める。
学園内に入り、靴を履き替えていればまたあの悪寒が走る。ふと横を見ると箱状の何かをもった聖女の末裔が立っていた。
「エッエメルネスさん!おはようございます!」
「はぁ、毎回毎回。なんなの⋯⋯」
「これ、お弁当作ってきたんだけど⋯⋯お昼一緒に食べませんか!?」
「⋯⋯」
今日も凶器を携え行先を塞いでいる聖女の末裔。ここまできたら殺人の罪をなすりつけることができるのでは、そう思うほどになっている。なぜ拒否し続けているのにここまで関わるのか。やはり聖女の血が関係しているのだろうか。
その隣には3年首席の第一騎士団団長の息子ただ1人。今日は珍しく上級魔法研究所所長の息子はいないのか、あの2人はいつでも一緒にいるイメージだったから以外だ。それに2年の2人組とうるさい1年の天才少年もいない。
──2年の2人はあまり会いたくないから正直ありがたいが。
なぜかすでに目が潤み泣きそうな聖女の末裔。泣くくらいなら関わらなければいいのに⋯⋯。ただでさえ気分が落ちているのにさらに落ちていく。ため息をつき目の前の少女に目を向け、口を開く。
「だから、何度言わせれば分かるのかしら。あなたの作るものなんて何一ついらないのよ。隣の男にでもあげなさい」
──食べたら死ぬ可能性があるのよ。ここまで拒否しているのだから早く諦めなさいよ。
団長息子の目線が刺さる。何か怪しむような視線から逃れるため隣をすり抜け教室へ向かう。
「おい」
通り過ぎようとしたタイミングで団長息子が口を開いた。
先輩の声かけを無視するわけにはいかない。しょうがなく立ち止まり振り返れば聖女の肩を抱きこちらを振り返る団長息子と目が合った。
また泣いているのだろうか少女の肩が微かに揺れる。この様子を見る生徒たちの軽蔑の視線が刺さる。
「ユナイデル。お前、魔力の補給できるようになったんだな?」
何もかも知っている、とでも言うように嘲笑う男。冷静を装い笑みを浮かべ返事を述べる。
「えぇ。そうなんです。本当に良かったです」
男の目は笑っておらずとても冷ややかだった。そのまま聖女の末裔を連れ1年の教室の方へ歩いて行く。
ひそひそ聞こえる罵倒に奥歯を噛み締め振り返ることなく今度こそ教室へと向かった。
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