悪女で悪魔

黒澤尚輝

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昨日の声が頭の中に響く。意識はあるのに何かに駆られたように学園に向かっていた。

校舎に入り息を吸い込む。微かに香るイチゴの匂いを辿り倉庫へと着いた。重い扉をゆっくり開けると魔術関連の本やら道具やらが無造作に置かれていた。
扉を閉め施錠魔法と消音魔法をかける。そのまま中に進めば何かを探す1年の天才少年がいた。

「ぅわっ何しに来たんだよ」

私の姿を見るや否や驚き後ずさる。ゆっくり近付けば一緒に後ろに下がっていく男。書籍を読むための簡易的な机にぶつかり下がらなくなれば私を警戒し見つめてきた。

「何しに来たんだよ」
「ちょっと、嫌がらせ?」
「はぁってちょっ、」

早々に距離を詰め男の太腿へ手を滑らせる。赤面した男は嫌悪を浮かべつつも這い上がる手を見つめた。太腿に置いた手はゆっくり上肢を上りそのまま男の頬へ滑らせる。毛穴知らずの頬は上気しいやらしさを滲ませる。

くすぐるように頬を撫で耳へと手を動かす。耳介を指先でなぞり耳朶を撫でる。身を捩りながらも耳への愛撫に男は翻弄されていった。
快感を与えながらフェロモンを注ぎ込めばより効きが良くなる、そう頭の声は告げていた。この男の経験が少ないからか撫でるだけでも快感を拾うらしくフェロモンを放出した途端目が虚となった。

男の後ろ、机に手を置き顔を寄せれば自然と男も顔を近付ける。ちゅ、と軽いリップ音が鳴り少し顔を離す。鼻と鼻が少し触れ合うほどの至近距離で見つめ合いまた口付けを交わす。

男の琥珀アンバー色の瞳は潤み熱を帯びている。瞳の奥に宿る恋情に背筋が震えた。一時だとしてもあの女から奪えたという事実に悦に浸る。

触れ合うだけだった口付けはいつしか水音を増し深く繋がる。静かな倉庫は2人の呼吸音といやらしい水音だけが響いていた。
受け身だった男はおずおずと私の腰と後頭部へ手を回した。ゆっくり上衣の裾から手が侵入し背骨をなぞりながらブラジャーのホック部分へと辿り着く。経験の少なさからかホックを片手で外すことに難航している。恥ずかしそうな表情を滲ませながらも集中し口付けが疎かになる。そんな初な反応に愛おしさが募る。
漸くホックが外れるとそのままゆっくり服を上げていく。胸が露わになると少し息が上がった男は身を屈めた。

腰にあった手は背中へ回り後頭部の手は臀部に回る。頂きは刺激を求め男を誘うように立ち上がり存在を主張する。そこへふぅ、と息を吹きかける男。経験はないが情報は仕入れているのだろう態と焦らすような微量の刺激に腰が揺れた。
頂きには触れずその周りにリップ音をたてながら口付けを落とす。そして温かく柔い感触が頂きの周囲をぐるりと周りとうとう男の口腔内へと導かれた。

「ふぅっ⋯⋯んっ」

コロコロと飴玉を舐めるように舌で転がし押し潰す。かと思えば赤子のように吸い付き、甘噛みで刺激する。臀部の手は弄るように動きスカート内へ侵入する。

「ぁっんぅっ」

一度口を離し私の反応を見て反対へと渡る。スカート内に入った手は臀部を過ぎ秘所を掠めた。

「濡れてる⋯⋯」

胸だけで濡らす淫乱に思ったか、ぼそりと呟く男はパンツの上から突起を探し当てくるくると円を描くようになぞった。とんとんとタッピングをするように動かし爪でカリカリと引っ掻く。胸への刺激も変わらず続き2箇所の快感で小さく達してしまう。

足の力が少し抜けた途端、男は机の隣にある棚へ私を押し付けた。腹部からパンツの中へ手が入り迷いなくそこへ向かう。濡れたそこは抵抗なく男の指を飲み込みぐちゅり、と音を立てる。
ナカの指は浅い所を動き徐々に深さを増していく。1本だった指が2本に増え、3本になり愛液が太腿を濡らす。腹部側、指を少し曲げたところ。私の反応が変わった部分を目ざとく見つけた男はそこを重点的に責め立てる。

「あぁっ、いっっ」
「ここ?」
「そ、こぉっんぁあっ」
「ふぅん」

主導権がいつのまにか移り男の思うがままに喘ぐ私。縋るように男の服を掴み快感を逃す。

「顔、見せて」
「あ、あんっぅあっ」
「ははっいい顔」

私の顔を見て破顔する男。みっともない顔を見て何を思っているのか。その表情は嫌悪?侮蔑?なんだろうか分からない。顔を寄せ私の額にキスをする。快感で滲む涙を舐め眦にまたキスを落とす。鼻先、頬と下りそして優しい口付けをされる。勘違いしそうになる程優しくお互いの口を食むような口付け。そして私は大きな快感の波に呑まれた。

肩が大きく動き息を整える。カチャカチャと金属音が鳴り徐ろに男が私の片足を持ち上げパンツをずらす。

「ぇ、」
「これから、だよね?」

露になる私の秘部。そして赤黒く勃ち上がる男のモノ。体が密着しゆっくりと圧迫感が挿入る。ずぶずぶと滑り良くナカに到達し耳元で男の吐息が聞こえる。少し早い男の鼓動を感じ無意識にナカが締まる。息を詰める男。そしてそれはゆっくり動き始めた。

「あんっあ、っんぁっんっ」
「きつ、」
「ふぅ⋯⋯んぅっぁ、あっ」

ぱちゅぱちゅと乾いた音に水音が混じる。男の体温に包まれその背に手を回す。

──気持ちいい。

ナカへの刺激はもちろん男と密着している事実に幸せを感じた。通常時は感じることのない体温の温かさに安らぎすらも覚える。

「ぁっいっくぅっ」
「いいよ」

いつもは刺々しい口振りで蔑む男の優しげな声に何故か涙が滲む。男を強く抱きしめ大きな絶頂に呑まれる。息が上がり体が固まる。そんな私の頭を優しく撫でまたキスを落とす男。年下のくせに経験なんかないくせに私のことなんて好きでもない、いや嫌いなのに。自分で誘いフェロモンをかけ行為に及んでおきながら図々しい考えが頭を巡る。
体の強張りが解け息も整ってきた頃ゆっくり足が下ろされた。少しだけ背の高い男の顔を見れば優しく微笑み私を見つめた。快感で熱った体が急速に冷える。抜けていく圧迫感に切なさが込み上げ思わず静止の声をかけてしまう。

「ま、って⋯⋯」
「待たないよ。後ろ、向いて」
「へ、ぇ?」
「早く」

男の指示を受け棚の方を向く。古めかしい魔道具が雑に置かれた棚は少し埃をかぶっている。
後ろに立つ男が何をするのか不安に思い振り向く。未だ治ることの知らない剛直は天へ向き血管が浮き出ている。ピクピクと生き物のように動くそれに手を添え私のスカートを捲り上げる。さっきの行為でベタベタになってしまったパンツを荒々しく下げ、焦燥感を滲ませた表情の男は剛直を私のナカへと沈めた、

「あ゙ぁぅんっっ」
「ははっ良い声」

後ろから責められる。パンパンと鳴る乾いた音とぐちゃぐちゃと激しいまでに泡立つ秘部。先程とは打って変わって男の思うように動く腰は早く奥を容赦なく穿つ。

「あ゙っぁっんぁぁっっ」
「はっはぁっ、エメルネスっ」

名を呼ばれナカが締まる。足はガクガクと震え今にも座り込みそうになる。そんな足に叱咤をかけ棚へ縋り付き必死に立つ。
まるで獣のような体位で獣のような霰もない声を上げる。男がフィニッシュに近いのかさらに早まる腰の動き。そして1番奥へ剛直を突きつけ勢いよく精液が吐き出される。
それと同時に私を強く抱きしめはだけた背中へキスを落とした。ゆっくり屹立が抜けていきとうとう私の足も限界を迎え力が抜けてしまう。

そんな私を支えた男はひょいと横抱きにしたかと思えばゆっくりと机の上へと座らせた。背丈はそんなに変わらないはずなのにやはり男なのだろう。意外な力強さと優しさに鼓動が早まった。

手早く洗浄魔法をかけ衣服を整えた男が私の頭をそっと撫で「飲み物とってくる」と言い倉庫を後にした。

高鳴る胸を掻きむしりたくなる。紛い物の優しさにときめく自分に嫌気がさした。1人残された倉庫でそっと息を吐き出す。ゆっくり天井を見上げて笑みをこぼす。

「聖女、あなたの大事なもの奪ってあげるから」

倉庫を出ていった男が戻ることはなかった。今日のことを忘れ女のところで尻尾を振っているのだろう。記憶はなくともその体は確かに私のものだ。

万が一あの女と思いを寄せても今日以上の快楽は望めない。だって私は悪魔で淫魔。淫魔のフェロモンはどんな薬よりも効くのだ。

そんなフェロモンに侵されたセックスなど記憶がなくても体が忘れるはずなどない。あの女との行為をしようとすれば男のものは使

「ふふっあははっ」

あの女を好いている男をあの女が侍らせているあの男たち全てをフェロモン漬けにしてやる。

あんた聖女だけ幸せになんてさせない」
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