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1章 Vampire girl
#1 1人の少女
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──少女は、暗い部屋にある大きなベッドに腰掛け、手元にある絵本を読み続ける。
時折、腕の中にある白うさぎの人形に話しかけ、絵本の内容を読み聞かせながら。
彼女の名前は、ルリア・W・カーディナル。
この部屋に住んでいる吸血鬼だ。
ルリアはしばらく絵本を読んでいたが、飽きたらしく絵本をベッドに置くと、ベッドに寝転び、腕の中にある人形を抱きしめる。
その際に彼女の長く艶やかで、色素がとても薄い銀の髪はベッドに広がり、頭の左側についている淡い水色──まるで、冬の透き通った空のような水色のリボンがひらりと揺れる。
「ひまだね……らび……」
らび、というのはうさぎの人形の名前なのだろうか。
彼女は、腕の中にある人形にそう話しかけると、足をばたつかせながら、いつ夜になるのかと考える。
────そんな彼女の左足には、鉄で出来た足枷が嵌められており、足枷からのびる長い鎖はベッドの足に繋がれていた。
その足枷はまるで、彼女の意思で外に出てはいけないのだと表している様だが、彼女はその足枷を気にしてはいなかった。
その足枷は、彼女が物心ついた時からついているのだから。
そんな彼女は足を軽くばたつかせ、その度に足枷の鎖は揺れ、ベッドの足に当たりカーンという金属音を響かせて。
彼女はその音が嫌だったらしく、人形から手を離すと耳に手を当てる。
「……何、やってるんだろう………」
少しの間耳を塞ぎ、金属音が無くなるのを待ち、少しだけ聞こえる金属音が無くなっていくのを感じた後、彼女はそっと耳から手を離すと人形に笑みを向けながら呟く。
その笑みはどことなく悲しそうだったが、彼女は、その笑みを振り払うかの様に人形を持つと起き上がり、ベッドから降りた。
ベッドから降りる際に、コツン、と彼女の靴の音が床に響き、彼女が立ち上がると、彼女が身に纏っている頭のリボンの色と同じ、薄い水色のドレスがふわりと揺れる。
そしてルリアは、人形を持っていない方の手で少しだけドレスをはたくと、靴の音を響かせながら、部屋の中で1番大きな人形に近付いていった。
「よいしょっ……えへへ」
それはくまの人形なのだが、人形は彼女の身長よりもずっと高く、壁に寄りかかる様に座っていた。
彼女はそんな人形の足の部分に腰掛けると、笑みを浮かべながら顔を見上げ、人形を見つめる。
彼女より背が高くふかふかとしている人形は、彼女にとって、夜にしか会えない家族──兄と姉の代わりのような物で、ルリアは、手に持っていた人形を自分の近くに置き、ぎゅっと大きな人形にしがみつくと、白い睫毛に縁取られた目蓋をゆっくりと綴じた。
一方、彼女が住んでいる部屋の外は夕方らしく、空は血の様に紅く染まっていて、黒い屋敷の窓には赤い光が入る。
カーテンの隙間から漏れ出る赤い光を、1人の少女──まるで月の出ている夜の様な色をした長い髪の少女は、ベッドに腰掛けたままぼんやりと見つめていた。
段々と部屋が暗くなっていき、完全に暗くなると、少女は血の様に紅い瞳を輝かせながらベッドから下り着替え出す。
髪と同じ色をした蒼と白を基調にしたドレスに着替え、胸元と腰にある黒いリボンを結ぶと机に近付き、机の上に置かれている鐘を持つと数回鳴らす。
鐘のカランカランという音は屋敷中に響き渡り、その音を聞きつけ、少女の部屋に入ってきた1人の女性──メイド服を着ている女性に何かを言うと、女性は彼女に深々とお辞儀をし、部屋から立ち去っていく。
少女は、部屋から立ち去っていった女性の後ろ姿を見届けた後、コツンと少しヒールの入った靴の音を響かせ、部屋を後にした──────
時折、腕の中にある白うさぎの人形に話しかけ、絵本の内容を読み聞かせながら。
彼女の名前は、ルリア・W・カーディナル。
この部屋に住んでいる吸血鬼だ。
ルリアはしばらく絵本を読んでいたが、飽きたらしく絵本をベッドに置くと、ベッドに寝転び、腕の中にある人形を抱きしめる。
その際に彼女の長く艶やかで、色素がとても薄い銀の髪はベッドに広がり、頭の左側についている淡い水色──まるで、冬の透き通った空のような水色のリボンがひらりと揺れる。
「ひまだね……らび……」
らび、というのはうさぎの人形の名前なのだろうか。
彼女は、腕の中にある人形にそう話しかけると、足をばたつかせながら、いつ夜になるのかと考える。
────そんな彼女の左足には、鉄で出来た足枷が嵌められており、足枷からのびる長い鎖はベッドの足に繋がれていた。
その足枷はまるで、彼女の意思で外に出てはいけないのだと表している様だが、彼女はその足枷を気にしてはいなかった。
その足枷は、彼女が物心ついた時からついているのだから。
そんな彼女は足を軽くばたつかせ、その度に足枷の鎖は揺れ、ベッドの足に当たりカーンという金属音を響かせて。
彼女はその音が嫌だったらしく、人形から手を離すと耳に手を当てる。
「……何、やってるんだろう………」
少しの間耳を塞ぎ、金属音が無くなるのを待ち、少しだけ聞こえる金属音が無くなっていくのを感じた後、彼女はそっと耳から手を離すと人形に笑みを向けながら呟く。
その笑みはどことなく悲しそうだったが、彼女は、その笑みを振り払うかの様に人形を持つと起き上がり、ベッドから降りた。
ベッドから降りる際に、コツン、と彼女の靴の音が床に響き、彼女が立ち上がると、彼女が身に纏っている頭のリボンの色と同じ、薄い水色のドレスがふわりと揺れる。
そしてルリアは、人形を持っていない方の手で少しだけドレスをはたくと、靴の音を響かせながら、部屋の中で1番大きな人形に近付いていった。
「よいしょっ……えへへ」
それはくまの人形なのだが、人形は彼女の身長よりもずっと高く、壁に寄りかかる様に座っていた。
彼女はそんな人形の足の部分に腰掛けると、笑みを浮かべながら顔を見上げ、人形を見つめる。
彼女より背が高くふかふかとしている人形は、彼女にとって、夜にしか会えない家族──兄と姉の代わりのような物で、ルリアは、手に持っていた人形を自分の近くに置き、ぎゅっと大きな人形にしがみつくと、白い睫毛に縁取られた目蓋をゆっくりと綴じた。
一方、彼女が住んでいる部屋の外は夕方らしく、空は血の様に紅く染まっていて、黒い屋敷の窓には赤い光が入る。
カーテンの隙間から漏れ出る赤い光を、1人の少女──まるで月の出ている夜の様な色をした長い髪の少女は、ベッドに腰掛けたままぼんやりと見つめていた。
段々と部屋が暗くなっていき、完全に暗くなると、少女は血の様に紅い瞳を輝かせながらベッドから下り着替え出す。
髪と同じ色をした蒼と白を基調にしたドレスに着替え、胸元と腰にある黒いリボンを結ぶと机に近付き、机の上に置かれている鐘を持つと数回鳴らす。
鐘のカランカランという音は屋敷中に響き渡り、その音を聞きつけ、少女の部屋に入ってきた1人の女性──メイド服を着ている女性に何かを言うと、女性は彼女に深々とお辞儀をし、部屋から立ち去っていく。
少女は、部屋から立ち去っていった女性の後ろ姿を見届けた後、コツンと少しヒールの入った靴の音を響かせ、部屋を後にした──────
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