37 / 50
3章 Dedicated to an angel
#31 水の精霊
しおりを挟む
一方、気絶しているルリアを抱え歩いているジャンヌは、ルリアの部屋まで辿り着くと、近くにいたメイドに部屋の扉を開けさせる。
そして部屋の中に入ると、ルリアをそっとベッドに寝かせた。
ベッドで横向けになり、静かに寝息をたてているルリアのドレスや口元には所々血がついており、手にはべっとりと血がついていた。
彼女はその事に気付くと、小さく息を吐く。
「____水の精霊よ。」
そう呟くと彼女の目の前に、小さな小さな水滴が現れ、その水滴は段々と大きくなっていくと共に花の蕾の様な形になっていき、両手で丁度収まる程の大きさになっていくと_____
『____はぁいご主人様っ♪このヴァッサーに何かご用ですかぁ?』
___明るい声が聞こえたと同時に、水で出来た蕾は開き、中からは手のひらぐらいの大きさの少女が現れる。
「…ヴァッサー、少し静かにして頂戴。ルリア様が起きたら大変だわ。」
『はーい…!』
ヴァッサーと呼ばれた少女は、ジャンヌの言葉に小さな声で返事をすると、背にはえている水で出来た小さな羽根をパタパタと動かすと、ジャンヌの頭の上にちょこんと座る。
彼女の名前はヴァッサー。
水の精霊であり、魔女であるジャンヌと契約を交わしているのである。
そんな彼女はパタパタとジャンヌの頭の上で足を動かし、ジャンヌの言葉を待っていたのだった。
「ヴァッサー、ルリア様の洋服と手の血を洗ってくれる?早くしないと染みになってしまうし、精霊である貴方なら、私と違って細かい物は得意でしょう?」
『はいはーい…!このヴァッサーにお任せあれ…!』
ジャンヌの言葉を聞き、ヴァッサーは満面の笑みを浮かべ、びしっと敬礼をしつつ答えると触れたら溶けてしまいそうな羽根を広げ、ふわふわと眠っているルリアに近付く。
ヴァッサーが羽根を動かす度に、羽根からはまるで星屑の様なキラキラとした粉が落ちていき、その粉は数秒経つと跡形もなく消えてゆく。
そんな不思議な粉を落としながら、彼女は眠っているルリアの頭の上にそっと乗ると、まじまじと彼女の寝顔を見つめた。
『…どうして、起きてるときに会ったらだめなの?こんなにもお花みたいなのにー…!』
「…前にも言ったでしょう。ルリア様の能力がきちんと操れる様になったら会わせてあげるって。」
『むう……早くあいたいからがんばってね、お花ちゃん…!』
頬を膨らませ、怒っているかの様に羽根を激しく動かすヴァッサーを見、ジャンヌはため息混じりに答えると、彼女は渋々納得したらしく、ルリアの額に軽く口付けを落とし、満面の笑みを浮かべた。
『さーてっ、きれーになぁれっ…♪』
空を飛び、歌っているかのように弾んだ声で言葉を紡ぐと共に、彼女の水で出来た羽根からは水滴が零れ、その水滴がルリアの汚れた手やドレスに染み込むと同時に、その汚れは嘘の様に消えてゆく。
そして跡形もなく汚れが消えると、ヴァッサーは満足げに微笑んだ。
_____ルリアは、暗い世界にいた。
ここが何処なのかも分からない。
本当に、自分がここにいるのかも分からない、そんな世界に。
「どこ………?」
視界に映るものは全てが黒く、彼女はそれが怖く涙目になっていた。
『_____どうか、待っていて。』
___ふと、何処かで誰かの声が響き、彼女はその声の主が誰なのか辺りを見回す。
だが、ここには自分以外、誰もいない。
「だれ、なの……?ねぇ、どこにいるの…?」
不安で堪らず、彼女は少し声を張り上げ、声の主に問いかける。
『まだ、まだ足りないから。あと少しだから。』
けれど声の主はルリアの問いに答えず、続ける。
その声は何処となく寂しそうで、ルリアは何故か胸がザワついた。
『どうか、まってて。私の_______』
声の主は何かを呟いたのだが、最後の方は聞き取る事が出来ず、代わりに暗い世界は段々と崩れ落ちてゆく。
「まって、…!おねがい、あなたは_____!」
段々と足場が無くなってゆき、ルリアは一瞬だけ見えた人影に駆け寄ろうと走り、手を伸ばすが、足場は崩れ、彼女は真っ逆さまに堕ちてゆく。
堕ちてゆく感覚の中、声の主が誰なのか分からないが、彼女は無意識に涙を零していた_______
そして部屋の中に入ると、ルリアをそっとベッドに寝かせた。
ベッドで横向けになり、静かに寝息をたてているルリアのドレスや口元には所々血がついており、手にはべっとりと血がついていた。
彼女はその事に気付くと、小さく息を吐く。
「____水の精霊よ。」
そう呟くと彼女の目の前に、小さな小さな水滴が現れ、その水滴は段々と大きくなっていくと共に花の蕾の様な形になっていき、両手で丁度収まる程の大きさになっていくと_____
『____はぁいご主人様っ♪このヴァッサーに何かご用ですかぁ?』
___明るい声が聞こえたと同時に、水で出来た蕾は開き、中からは手のひらぐらいの大きさの少女が現れる。
「…ヴァッサー、少し静かにして頂戴。ルリア様が起きたら大変だわ。」
『はーい…!』
ヴァッサーと呼ばれた少女は、ジャンヌの言葉に小さな声で返事をすると、背にはえている水で出来た小さな羽根をパタパタと動かすと、ジャンヌの頭の上にちょこんと座る。
彼女の名前はヴァッサー。
水の精霊であり、魔女であるジャンヌと契約を交わしているのである。
そんな彼女はパタパタとジャンヌの頭の上で足を動かし、ジャンヌの言葉を待っていたのだった。
「ヴァッサー、ルリア様の洋服と手の血を洗ってくれる?早くしないと染みになってしまうし、精霊である貴方なら、私と違って細かい物は得意でしょう?」
『はいはーい…!このヴァッサーにお任せあれ…!』
ジャンヌの言葉を聞き、ヴァッサーは満面の笑みを浮かべ、びしっと敬礼をしつつ答えると触れたら溶けてしまいそうな羽根を広げ、ふわふわと眠っているルリアに近付く。
ヴァッサーが羽根を動かす度に、羽根からはまるで星屑の様なキラキラとした粉が落ちていき、その粉は数秒経つと跡形もなく消えてゆく。
そんな不思議な粉を落としながら、彼女は眠っているルリアの頭の上にそっと乗ると、まじまじと彼女の寝顔を見つめた。
『…どうして、起きてるときに会ったらだめなの?こんなにもお花みたいなのにー…!』
「…前にも言ったでしょう。ルリア様の能力がきちんと操れる様になったら会わせてあげるって。」
『むう……早くあいたいからがんばってね、お花ちゃん…!』
頬を膨らませ、怒っているかの様に羽根を激しく動かすヴァッサーを見、ジャンヌはため息混じりに答えると、彼女は渋々納得したらしく、ルリアの額に軽く口付けを落とし、満面の笑みを浮かべた。
『さーてっ、きれーになぁれっ…♪』
空を飛び、歌っているかのように弾んだ声で言葉を紡ぐと共に、彼女の水で出来た羽根からは水滴が零れ、その水滴がルリアの汚れた手やドレスに染み込むと同時に、その汚れは嘘の様に消えてゆく。
そして跡形もなく汚れが消えると、ヴァッサーは満足げに微笑んだ。
_____ルリアは、暗い世界にいた。
ここが何処なのかも分からない。
本当に、自分がここにいるのかも分からない、そんな世界に。
「どこ………?」
視界に映るものは全てが黒く、彼女はそれが怖く涙目になっていた。
『_____どうか、待っていて。』
___ふと、何処かで誰かの声が響き、彼女はその声の主が誰なのか辺りを見回す。
だが、ここには自分以外、誰もいない。
「だれ、なの……?ねぇ、どこにいるの…?」
不安で堪らず、彼女は少し声を張り上げ、声の主に問いかける。
『まだ、まだ足りないから。あと少しだから。』
けれど声の主はルリアの問いに答えず、続ける。
その声は何処となく寂しそうで、ルリアは何故か胸がザワついた。
『どうか、まってて。私の_______』
声の主は何かを呟いたのだが、最後の方は聞き取る事が出来ず、代わりに暗い世界は段々と崩れ落ちてゆく。
「まって、…!おねがい、あなたは_____!」
段々と足場が無くなってゆき、ルリアは一瞬だけ見えた人影に駆け寄ろうと走り、手を伸ばすが、足場は崩れ、彼女は真っ逆さまに堕ちてゆく。
堕ちてゆく感覚の中、声の主が誰なのか分からないが、彼女は無意識に涙を零していた_______
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
#密売じゃありません!ミツバイギフトで最高に美味しい果物作ったら、領主令息が夫になった件について
国府知里
ファンタジー
「がんばっても報われなかったあなたに」“スローライフ成り上がりファンタジー”
人生に疲れ果てた北村めぐみは、目覚めると異世界の農村で少女グレイスとして転生していた。この世界では6歳で神から“ギフト”を授かるという。グレイスが得た謎の力「ミツバイ」は、果物を蜜のように甘くするという奇跡の力だった!村を、領地を、やがて王国までも変えていく果樹栽培の物語がいま始まる――。美味しさが未来を育てる、異世界農業×スローライフ・ファンタジー!
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる