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3章【二色妖蝶】
鳳蝶
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「やぁっぱりあの狐男、話してなかったのねぇ」
車内、間延びした声でキイロアゲハが喋る。
逃げ場のない車に乗った時にはどうなることかと思ったが、今のところ特に危害を加えられる事もなく、ただ彼女の話に付き合うばかり。
だがその内容はとても無視できるような物ではなかった。
霊災と神霊災害の違い。
神降ろしの神祭。
ハナカマキリの力。
そして、オオムラサキ自身の事。
「まーぁ? 君に話したくない理由も分からなくないけどぉ?」
「…………」
「それでもねぇ。知っていることは教えてあげないとねぇ」
くすくすと圧し殺したような笑い声はどこか気に障る。
人の事を言えた物ではないが、どこか感情が掴みづらいハナカマキリやミナモとカガミの姉妹とも、何を見据えているのか推し量れない翔人とも違う、何を考えているのか理解ができない不気味さがこの女にはある。
危険だ。
本能的な恐怖を感じたハナカマキリとは違う。
この女の危うさは、理性が警告する物だ。
「君はねぇ? カマキリとおんなじでぇ、神の力を降ろせる妖なの」
「でも、それは可能性に過ぎない話だよね」
「そうねぇ……あの狐男はそう思っているかもねぇ」
目元を細く歪ませなが、アゲハはハンドルを切る。
取り締まりに捕まらない程度の速度で、赤い車はアスファルトの上でタイヤを回す。
妖の力を用いれば生身で車に追い付く事もきっと難しくない。
この場合、はたして驚異的なのは妖なのか人なのか。
彼の陰陽師、安倍晴明が居た時代はきっと、人は妖の力に追い縋る事もできなかっただろう。
長い歳月を掛け、人は道具で、科学でかつて神秘と呼ばれた物に近付きつつある。
地を掛ける車を、空を飛ぶ飛行機を、海を渡る船、海に潜る潜水艦、果ては星に辿り着く為のロケットを。
何処かで聞いた言葉だが、人は知らないことを恐れるらしい。
これらの叡知は、あるいは恐怖を克服するために産み出されたのかもしれない。
「……貴女は何を知っているんだ」
「君の事ならぁ、ぜぇんぶ」
甘く媚びるような声色に鳥肌が立った。
刹那、強烈な違和感に見舞われ、ムラサキは自分の腕に視線を向けた。
鳥肌が立つような感覚があったのではない。
実際に、肌にそれが現れているのだ。
本来ならば特別なことではないのだが、感情に呪縛を施されているムラサキに限れば異常としか言い様の無い事態。
となりでは、アゲハが口の端を歪め、楽しそうに笑いを圧し殺している。
「なんで……」
「オオムラサキくぅん? 君に、呪いを掛けたのはアタシなのよぉ? 強弱を弄るのだってかぁんたん」
「だったら、早くこれを解いてよ」
声を荒げようとしたものの、やはり上手くいかない。
悪戯に、そう、ほんの悪戯に少しだけ締め付ける括り紐を弛められただけなのだ。
敵意を視線に込めようにも、その瞳は朝焼け色の鮮やかなだけの無機質なガラス玉。
結局、掌の上で踊らされるばかり。
篭の中の蝶だ。
長いようで、気付けばあっという間だった居心地の悪いドライブも終わり、人気の無い広い公園の前で二人は車を降りた。
「楽しかったわぁ。アタシの知り合いだとぉ、誘っても乗ってくれないものぉ」
「アゲハじゃなくてジョロウグモにでも改名した方が良いんじゃないの?」
「あらぁ? あららぁ? 酷い言われようねぇ」
少なくとも、彼女に因縁のあるムラサキからすれば密閉空間は生きた心地がしなかった。
アゲハは公園の敷地、その中頃まで歩き、コートのポケットに手を入れたまま振り返る。
因縁と嫌悪のある相手だと言うのに、その容姿は見とれてしまうほどに美しい。
虫の名だと言うのに、自然とは掛け離れた黒色の中に黄金色の髪が静かに靡く様は夜空の月をすら思わせる。
「さぁてぇ? いい思い出もできたし、そろそろ本題と行こうかしらぁ?」
ここまで危害を加えられる事はなかった。
だからと言って、この女にはほんの爪の一つまみ程度も気を許してはいない。
十分とは言えないかもしれないが、アゲハとの間には距離を空けてある。
そんなことはあの女も分かっているだろうに、相変わらず間延びした声でのらりくらりと……。
「つまみ食いくらい、してもいいかしら」
「お断りだね」
アゲハの背に黄色の光が集い始めるのと同タイミング。
いや、それよりもほんの僅か早く彼女の周囲に数羽の黒い蝶が舞った。
黒曜蝶。
鋭利な石の羽を持つ蝶は、空を飛びながら襲ってくるカミソリの刃のような物だ。
たった数匹で妖に致命傷を与える事など到底できないだろうが、羽を広げて逃走を図る程度の時間稼ぎにはなる。
そう踏んでいた。
「可愛らしい抵抗をするのね」
頬を切りつけんと飛んでいた一匹が、キイロアゲハに掴まれた。
手のひらに深く食い込んだ石の羽はその肉を抉って血を滴らせた。
しかし表情のひとつも変えずに、アゲハは握力に任せて握り潰そうとする。
幼い子供がセミの脱け殻を握り砕くように、羽を粉々にされた黒曜蝶の一匹が地面に落ち、青い光となって消えた。
「車の中で仕掛けたのかしらぁ? 同じ蝶のアタシにバレないようになんて、上手くやったって褒めてあげる」
アゲハの背に、ムラサキの物とよく似た黄色の、あるいは黄金色の光の羽が浮かび上がる。
残る黒曜蝶を突撃させるが、アゲハの周囲にはその羽と同じ色の蝶が舞い、それらに阻まれてあっさりと落とされた。
だがそこで終わり。
そのまま攻撃を仕掛けようとはせず、アゲハは歪んだ笑みを浮かべるばかりだ。
まるで、ムラサキが羽を出すのを待っているかのような。
「…………」
ムラサキは思案する。
どうにか逃げる方法はないか。
あるいは翔人やカブトに助けを乞う方法。
仮に増援が望めるとして、アゲハを相手にどの程度持つか。
もしくは、アゲハを撃退する方法を。
そしてそのいずれも、理性的に考えれば即座に不可能であるとの結論に道を塞がれる。
「…………っ!」
また僅かに呪縛を弛められたのだろうか。
羽を広げようとした際の違和感に、表情が歪んだ。
相変わらず片羽はボロボロに崩れおり、見た目にも痛々しい。
「あらぁ? あららぁ? 道理で羽を広げたがらなかったのねぇ」
アゲハの反応は意外な物だった。
口元を歪ませるのを堪えるような顔で、嘲るように笑われるとばかり思っていた。
だが、今のアゲハは少し残念そうな……そして、慈しむようにも見える視線を送ってくる。
ムラサキの羽が朽ちるように負傷している事を、痛ましく思っている?
ちぐはぐだ。
好んで人を挑発し、敵対し、そしてその上で怪我を悲しむ。
一貫性がない。
少なくとも、ムラサキには理解できない。
「まぁいいわ? アタシの計画に大きな変更は無いし」
小さく嘆息。
コートのポケットに両手を突っ込んだまま、アゲハは一歩だけムラサキへと踏み出す。
直後、彼女の周囲を舞っていた蝶の群れがムラサキに向かって殺到し、一瞬にして視界を塞がれる。
蝶の目眩ましが晴れた頃には既にアゲハは姿を消していた。
「はぁい?」
背後から聞こえた声にムラサキが振り向く。
しかしそこにもアゲハの姿は無い。
「がっ!」
直後、強烈な打撃音と共に背中へ鈍痛が走る。
思わず口から空気が漏れる。
バットで打たれたゴムボールのように、向いていた方向へと吹き飛ばされた。
一撃程度で終わってくれたならばどんなに良かった事か。
砂埃を上げながら地面を転がった先には、既にアゲハが待ち構えている。
姿勢の制御もできず、無防備なままのムラサキを蹴り上げた。
「モード、カラスアゲハ」
黄色の光を放っていたアゲハの羽が、光を失い黒く変色してゆく。
自ら光を放つ事はなくなった羽は、しかし溶接ビードの如く鈍い青色に陽光を反射する。
姿を変えたアゲハの羽は、重い金属音を鳴らしながら上下に展開した。
そこから覗くのは幾本もの黒い筒。
嫌な予感というのは早々当たるものでもないと思うのだが、これは最早予感を通り越して確信だった。
あれは……バレルだ。
「なにそれ」
「砲撃形態よぉ?」
ポケットから手を出し、人差し指を立てるとそれを宙空のムラサキへと向ける。
口角を大きく上げ、醜いほどに歪めた笑顔で彼女は言い放つ。
「フル……バァァァストォ!」
車内、間延びした声でキイロアゲハが喋る。
逃げ場のない車に乗った時にはどうなることかと思ったが、今のところ特に危害を加えられる事もなく、ただ彼女の話に付き合うばかり。
だがその内容はとても無視できるような物ではなかった。
霊災と神霊災害の違い。
神降ろしの神祭。
ハナカマキリの力。
そして、オオムラサキ自身の事。
「まーぁ? 君に話したくない理由も分からなくないけどぉ?」
「…………」
「それでもねぇ。知っていることは教えてあげないとねぇ」
くすくすと圧し殺したような笑い声はどこか気に障る。
人の事を言えた物ではないが、どこか感情が掴みづらいハナカマキリやミナモとカガミの姉妹とも、何を見据えているのか推し量れない翔人とも違う、何を考えているのか理解ができない不気味さがこの女にはある。
危険だ。
本能的な恐怖を感じたハナカマキリとは違う。
この女の危うさは、理性が警告する物だ。
「君はねぇ? カマキリとおんなじでぇ、神の力を降ろせる妖なの」
「でも、それは可能性に過ぎない話だよね」
「そうねぇ……あの狐男はそう思っているかもねぇ」
目元を細く歪ませなが、アゲハはハンドルを切る。
取り締まりに捕まらない程度の速度で、赤い車はアスファルトの上でタイヤを回す。
妖の力を用いれば生身で車に追い付く事もきっと難しくない。
この場合、はたして驚異的なのは妖なのか人なのか。
彼の陰陽師、安倍晴明が居た時代はきっと、人は妖の力に追い縋る事もできなかっただろう。
長い歳月を掛け、人は道具で、科学でかつて神秘と呼ばれた物に近付きつつある。
地を掛ける車を、空を飛ぶ飛行機を、海を渡る船、海に潜る潜水艦、果ては星に辿り着く為のロケットを。
何処かで聞いた言葉だが、人は知らないことを恐れるらしい。
これらの叡知は、あるいは恐怖を克服するために産み出されたのかもしれない。
「……貴女は何を知っているんだ」
「君の事ならぁ、ぜぇんぶ」
甘く媚びるような声色に鳥肌が立った。
刹那、強烈な違和感に見舞われ、ムラサキは自分の腕に視線を向けた。
鳥肌が立つような感覚があったのではない。
実際に、肌にそれが現れているのだ。
本来ならば特別なことではないのだが、感情に呪縛を施されているムラサキに限れば異常としか言い様の無い事態。
となりでは、アゲハが口の端を歪め、楽しそうに笑いを圧し殺している。
「なんで……」
「オオムラサキくぅん? 君に、呪いを掛けたのはアタシなのよぉ? 強弱を弄るのだってかぁんたん」
「だったら、早くこれを解いてよ」
声を荒げようとしたものの、やはり上手くいかない。
悪戯に、そう、ほんの悪戯に少しだけ締め付ける括り紐を弛められただけなのだ。
敵意を視線に込めようにも、その瞳は朝焼け色の鮮やかなだけの無機質なガラス玉。
結局、掌の上で踊らされるばかり。
篭の中の蝶だ。
長いようで、気付けばあっという間だった居心地の悪いドライブも終わり、人気の無い広い公園の前で二人は車を降りた。
「楽しかったわぁ。アタシの知り合いだとぉ、誘っても乗ってくれないものぉ」
「アゲハじゃなくてジョロウグモにでも改名した方が良いんじゃないの?」
「あらぁ? あららぁ? 酷い言われようねぇ」
少なくとも、彼女に因縁のあるムラサキからすれば密閉空間は生きた心地がしなかった。
アゲハは公園の敷地、その中頃まで歩き、コートのポケットに手を入れたまま振り返る。
因縁と嫌悪のある相手だと言うのに、その容姿は見とれてしまうほどに美しい。
虫の名だと言うのに、自然とは掛け離れた黒色の中に黄金色の髪が静かに靡く様は夜空の月をすら思わせる。
「さぁてぇ? いい思い出もできたし、そろそろ本題と行こうかしらぁ?」
ここまで危害を加えられる事はなかった。
だからと言って、この女にはほんの爪の一つまみ程度も気を許してはいない。
十分とは言えないかもしれないが、アゲハとの間には距離を空けてある。
そんなことはあの女も分かっているだろうに、相変わらず間延びした声でのらりくらりと……。
「つまみ食いくらい、してもいいかしら」
「お断りだね」
アゲハの背に黄色の光が集い始めるのと同タイミング。
いや、それよりもほんの僅か早く彼女の周囲に数羽の黒い蝶が舞った。
黒曜蝶。
鋭利な石の羽を持つ蝶は、空を飛びながら襲ってくるカミソリの刃のような物だ。
たった数匹で妖に致命傷を与える事など到底できないだろうが、羽を広げて逃走を図る程度の時間稼ぎにはなる。
そう踏んでいた。
「可愛らしい抵抗をするのね」
頬を切りつけんと飛んでいた一匹が、キイロアゲハに掴まれた。
手のひらに深く食い込んだ石の羽はその肉を抉って血を滴らせた。
しかし表情のひとつも変えずに、アゲハは握力に任せて握り潰そうとする。
幼い子供がセミの脱け殻を握り砕くように、羽を粉々にされた黒曜蝶の一匹が地面に落ち、青い光となって消えた。
「車の中で仕掛けたのかしらぁ? 同じ蝶のアタシにバレないようになんて、上手くやったって褒めてあげる」
アゲハの背に、ムラサキの物とよく似た黄色の、あるいは黄金色の光の羽が浮かび上がる。
残る黒曜蝶を突撃させるが、アゲハの周囲にはその羽と同じ色の蝶が舞い、それらに阻まれてあっさりと落とされた。
だがそこで終わり。
そのまま攻撃を仕掛けようとはせず、アゲハは歪んだ笑みを浮かべるばかりだ。
まるで、ムラサキが羽を出すのを待っているかのような。
「…………」
ムラサキは思案する。
どうにか逃げる方法はないか。
あるいは翔人やカブトに助けを乞う方法。
仮に増援が望めるとして、アゲハを相手にどの程度持つか。
もしくは、アゲハを撃退する方法を。
そしてそのいずれも、理性的に考えれば即座に不可能であるとの結論に道を塞がれる。
「…………っ!」
また僅かに呪縛を弛められたのだろうか。
羽を広げようとした際の違和感に、表情が歪んだ。
相変わらず片羽はボロボロに崩れおり、見た目にも痛々しい。
「あらぁ? あららぁ? 道理で羽を広げたがらなかったのねぇ」
アゲハの反応は意外な物だった。
口元を歪ませるのを堪えるような顔で、嘲るように笑われるとばかり思っていた。
だが、今のアゲハは少し残念そうな……そして、慈しむようにも見える視線を送ってくる。
ムラサキの羽が朽ちるように負傷している事を、痛ましく思っている?
ちぐはぐだ。
好んで人を挑発し、敵対し、そしてその上で怪我を悲しむ。
一貫性がない。
少なくとも、ムラサキには理解できない。
「まぁいいわ? アタシの計画に大きな変更は無いし」
小さく嘆息。
コートのポケットに両手を突っ込んだまま、アゲハは一歩だけムラサキへと踏み出す。
直後、彼女の周囲を舞っていた蝶の群れがムラサキに向かって殺到し、一瞬にして視界を塞がれる。
蝶の目眩ましが晴れた頃には既にアゲハは姿を消していた。
「はぁい?」
背後から聞こえた声にムラサキが振り向く。
しかしそこにもアゲハの姿は無い。
「がっ!」
直後、強烈な打撃音と共に背中へ鈍痛が走る。
思わず口から空気が漏れる。
バットで打たれたゴムボールのように、向いていた方向へと吹き飛ばされた。
一撃程度で終わってくれたならばどんなに良かった事か。
砂埃を上げながら地面を転がった先には、既にアゲハが待ち構えている。
姿勢の制御もできず、無防備なままのムラサキを蹴り上げた。
「モード、カラスアゲハ」
黄色の光を放っていたアゲハの羽が、光を失い黒く変色してゆく。
自ら光を放つ事はなくなった羽は、しかし溶接ビードの如く鈍い青色に陽光を反射する。
姿を変えたアゲハの羽は、重い金属音を鳴らしながら上下に展開した。
そこから覗くのは幾本もの黒い筒。
嫌な予感というのは早々当たるものでもないと思うのだが、これは最早予感を通り越して確信だった。
あれは……バレルだ。
「なにそれ」
「砲撃形態よぉ?」
ポケットから手を出し、人差し指を立てるとそれを宙空のムラサキへと向ける。
口角を大きく上げ、醜いほどに歪めた笑顔で彼女は言い放つ。
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