異世界ダンジョン

武蔵@龍

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21話

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 次の日、俺達は食事をしてギルドに顔をだして、上級ダンジョンに潜ることを伝えて、現地に向かった。俺達はダンジョンの前に居る、兵士にギルドカードを見せて、奥に進んで行って、下にくだっていった。

 一階は薄暗く洞窟みたいに、上から鍾乳石がぶら下がっている。地面はボコボコと足元は悪く躓いてしまうくらいだ。

 魔物は集団でオオコウモリとリザードマンが一階から出て来た。単体では大したことは無いのだが、流石に集団は厄介。上からオオコウモリの攻撃とリザードマン攻撃が同時にやって来る。俺達は足元が悪い中で、そんな魔物と戦わないといけなかった。

 鉱石は一階では碌に取れないけど、ミスリルが取れる。俺達はそれを見逃して先に進んで行った。そんなことが、一階から四階まで続いていた。

 さて俺達は、現在五階に下りる階段のそばで、休憩していた。その中で五階はどの様な場所で待ち構える魔物はどうなんだとか、話していた。

「どう思う?」
「そうねぇ…。今までのダンジョンなら、中ボスよね?」
「うん。五階毎にボスが居るはずだけど。」
「だとすれば、何の系統のボスが出てくるのかってことよね。」
「そうだなぁ…。今までなら上階の系統だったと思うんだ。そうすると、今回は蜥蜴系のボスになるのかどうなのかってことだな。」

「そうなるね。う~ん…。考えるのちょっとやめようかな。」
「あはは。やめちゃったよ。まぁいっか。考えたって解らんもんな。」
「うん。毎回違うわけだし考えるだけ損するよ。」
「それもそっか。よし、そろそろ五階に下りて攻略を開始しようか?」
「うん。」
「皆、いくぞ!」
「「「「「おおーーー!」」」」」

 俺達は片付けをして、五階に下りていくのだった。

 五階それはボス部屋ではなかった。一面森林地帯で小川が流れ、すがすがしい風が吹き込んでいた。森林地帯に見かける魔物は、蜘蛛であったり、熊の魔物。二足歩行型の魔物が多くみられる。

 蜘蛛はデスタラテクトって言う魔物で、蜘蛛種でも最高ランクに部類する魔物。それが五階に出てくる。それはこの上級ダンジョンの凄さを表していると言わずにいられない。熊に関しては、レッドベアをはじめ、多くの種類が縄張り争いをしていたりしている。

 二足歩行型の典型的な魔物って言えばゴブリンなのだが、ゴブリン種でもゴブリンキングを筆頭にゴブリンソルジャーと言った、護衛がキングと一緒に出てくるので、とても厄介だ。

 さてそんな中俺達は、出てくる魔物をバッタバッタと倒していったり、薬草類を採取したりして進んでいた。この上級ダンジョンで取れる薬草は、エリクサの材料が取れるので、俺達は慎重に採取していくのだった。

 川では貴重な魚をゲットしたり、たまに出てくる鰐の魔物がとても調歩されている。俺は肉よりも魚が好きなので、とてもありがたく取って、その場で加工していった。その後六階に下りる階段の近くで魚を焼いて、美味しくいただきました。

 六階から九階まで森林地帯が続き、もうそろそろ十階って所で突然そいつは現れた。そいつは木々をなぎ倒しながら、俺達に向かって突進してきた。そいつは、全長三メートルの熊型の魔物で突然変異のレッドベア。硬めに切り傷があり、全身から異様なフインキが漂っていた。

 俺達は警戒しながら進んでいたのに、不意を突かれ焦っていた。俺も大丈夫と侮っていたのかもしれない。いつもは気配探知を機能していたけど、今回はそれを怠っていて、自分が強いと慢心していた。仲間が傷ついていく中で、俺は我を忘れて唖然としてしまった。

 しかし、仲間の一人に声を掛けられ、我を取り戻し、急いで回復魔法を唱えて、一命を取り戻した。俺は、皆に声をかけ、そいつを連携して何とか倒すことができたのだった。

「皆、すまない」
「カツヒロ、大丈夫よ。そんなに自分を諫めないで。」
「そうですよ。皆、無事だったのですから。」
「それでも、俺が気配探知を怠ったせいで、この失敗をして、皆に迷惑をかけてしまった。本当にすまない。」

 皆からたしなまれ、俺は今回の失敗を繰り返さないと、心に誓うのだった。何だかんだでやっと十階に辿り着いた俺達は、一本道を進み、大きい扉の前に辿り着いた。 

 扉を開け放ち、奥に進むとそこに居たのは、オーガジェネラルとオーガ三体が待ち構えていた。流石は上級ダンジョン。十階でオーガジェネラルが出てくる。その先に何が待ち構えているのが、何なのか俺は、楽しみと思った。

 さてオーガジェネラルは、三体のオーガに指示を出していて、ジェネラルは後ろで待機していたので、俺達はいらっとして、オーガ三体を瞬殺して、ジェネラルを引っ張り出してやった。オーガジェネラルは驚きの表情を浮かべながらも、俺達に攻撃を仕掛けてくるが、タフなのが仇になって、俺達にボコボコにされて、死に絶えて消滅していった。

「ふー。流石ジェネラル。タフだったなぁ。」
「そうね。でも、大した事無かったから全然歯ごたえが無くて、残念だったわ…。」
「あはは。それは、ミラや皆が強くなった証拠だよ。」
「そうなのかしら? 私的に余り実感しないのよね…。」
「そうだよ。まぁ装備も良いし、レベルも結構上がっているから、それだけ余裕があると思うよ。」
「ミラ様。カツヒロ様の言う通りで、私たちは強くなってますよ。」
「そうなのね。自分では中々気づかないものね。」
「あぁ。そう言うものだよ。さてと、お宝は何が入っているのかな? 上級ダンジョンでの宝は初だから、楽しみだなぁ。」
「うふふ。確かにそうかも。道中見つけてないもんね。早速開けてみましょう。」
「オッケー。」

 俺達は宝箱に罠が無いか調べてから開けると、そこには金貨と見たことのない、美しい弓が入っていた。金貨は三袋で一袋百枚入りだ。弓は鑑定をすると、精霊の弓ってでた。機能は次の通りだ。


      精霊の弓

      伝説級

      攻撃力50%
      HP吸収50%
      MP吸収30%
      自動修正

 と出ていた。ダンジョン産の中でもかなりの良い性能。まぁ俺が作った物の方が強く作れるのだが、お宝としてはかなり良い物だ。俺達は奥に進みボス部屋を後にして、転送石に登録して地上に帰ってきて、ギルドに結果を報告して報酬をもらい、家に帰ってきて、旅の埃を洗い流して、食事をして各々休むのだった。

 次の日俺は、ダンジョンで手に入れた素材を使い服を作るために準備を開始していた。服は人数分用意するのでそれなりの量が必要なのだが、それなりに材料はある。まずデスタラテクトの糸を木の棒に紡いでいった。このデスタラテクトの糸はそこらの糸と違い非常に丈夫で、最初から魔法耐性が付いた糸だったので、中に着るものに丁度いいと思い、その糸に物理耐性を掛け合わせて、もっと良い糸にエンチャットを施していった。

 その糸を織機で編んでいく途中で自動調整を追加して、空気性の良いシャツを人数分作っていった。シャツを作るとあんなに有った糸が丁度無くなってしまったので、下着に回す事が出来なくなってしまったが、その分上級ダンジョンで取れた皮と違う糸を使い、ズボンやスカートを作って皆に渡してあげた。武器や防具には、自動修復がついているので、やることが無くなってしまったので、食事の時間までゆっくりと、雑談を皆でして楽しんでいった。

 そして、食事の時間になったので、皆で手分けをして食事の準備を開始いていく。今日の料理は白米と焼き魚と、ちょっとした漬物とみそ汁にしてみた。皆の反応が楽しみではあるが、俺は懐かしい物が出来たので、心の中でとても喜んでいた。

「この料理はっていうか、この茶色のスープは何かしら?」
「それは俺の育った国の飲み物でみそ汁って言うものなんだよ。皆の口に合えば良いけど…。」

 皆は恐る恐る口にしていった。

「……! なにこれ~~。とても美味しいよ! 私これ好きかも。」
「確かにこれは凄く美味しいです」
「主、これは美味すぎですぞ!」
「あはは。皆に喜んでくれたようでなによりだな。まだあるから、お代わりしてもいいぞ。」
「私、お代わり頂戴。」
「「私も」」
「自分も欲しいです」

 皆が一斉にお代わりを所望してきたので、皆にみそ汁をよそってあげて持ってきた。食事も終わり、風呂にミラと一緒に入り、イチャイチャして一緒に寝るのだった。

 それから、何だかんだで三日経っていた。俺は休養は十分と考え、上級ダンジョンの十一階以降の攻略に着手しようとしていた。準備するものは、まず武器と防具。回復アイテムや結界石といった補助的なアイテム。それから十分な食料品と食器と調理道具。それを全員分必要になる。こう考えると持っていくものは結構な数になる。

 それから俺達は足りないものを、市場にいって買い足していった。各々必要だと思うものを購入していく。俺は足りないものって言うと、料理で使う材料だ。ダンジョンではパンが主流となるので、小麦粉を大量に購入したり、鍋に入れるものを購入していった。肉は魔物の食べられる肉が、まだまだ大量に有るから必要ないので、そこはスルーしていく。

 ある程度揃えたら、家に帰り食パンを大量に作っていった。それを食べやすい大きさに切っていき、保存が効く箱に入れて、アイテムボックスに放り込んでいく。野菜類はそのまま、別の容器に入れて、アイテムボックスにいれていく。そうこうするうちに、良い時間になるので、夕食を作っり食べてお風呂に入って、就寝した。
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