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25 水落鬼4
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「……少し待て」
梓玥が一度席を外す。外で電話をかけるようだ。
オカ研四人と香山が自然と集まる。
「なあ、今のどういうこと?」
「普通に考えれば、この水落鬼とその両親を会わせる手段があるってことだけど」
香山の問いに西山が答える。嶋田が「えっ」と声を上げた後、慌ててひそめた。
「そんなこと、神族だからってできるんですか?」
「いやぁ……普通ならできないだろうけど……」
「えっ、あのひと……あの方、神族なのか?!」
「声がデカい! いや、本人がそう言ったわけじゃないけど、たぶんそうだろうって俺たちが予想してるだけ」
「でもさ、神族とか獣人とかって、身体的特徴を隠さないだろ? あの方はそういうのないけど……」
神族・獣人の身体的な特徴は、わかりやすいところでは尻尾や羽根、牙や鱗や角だ。ヒトと間違えられることを避けるため、あるいは己の種族を誇示したいため。理由は種族や個人によるが、ほとんどの神族や獣人は特徴を隠さない。
香山のもっともな疑問に答えたのは真岡だ。
「考えてみろ。あれだけの美形で神族の特徴を出しっぱなしだったら、どう考えても大学で浮くし、まともな学生生活できないだろ」
そもそも基本的に神族はヒトの目から見れば並外れた美形揃いだ。神族としての格が上であればあるほど、神秘的な美しさが増すし、術や符、頭脳や体力、その他ヒトが及ばない能力が高い。
異質なほど美しいものに惹かれるし禁忌に触れたくなる好奇心がある者なら騒ぎ立てるだろうし、豪胆な者なら色々な意味で自分を売り込もうとするかもしれない。様々な思惑を抱えた者に囲まれる学園生活は、さぞ不便だろう。だから目立たないように気配を消しているのだろうし、身体的特徴も隠しているのだ。
真岡の言葉を、香山は納得したようだ。
「まあ……たしかに雰囲気ある方だよな……」
「だろ? で、だからそういう方ならワンチャン……」
「でもそういうことができるのって、倭国なら神様だし、大陸なら天帝とかに仕える天官くらいじゃないか?」
西山の言葉に、真岡がふと何かを思い出した顔をする。
「そういえば竜王ではないみたいなこと言ってたな……」
「えっ、それって竜王より偉いってこと?」
香山の問いに四人が顔を合わせる。
「……場合というか、官職によっては、まあ……」
「嘘だろ……なんでそんな方がこんなとこに……」
「それは俺たちも本当に訊きたい」
ぼそぼそと話しているうち、噂されていた当人が戻ってきた。見知らぬふたりを連れてきている。
「梓玥サン、そのおふたりは……?」
「その子の無念を晴らさせることができる相手だ」
赤っぽい大陸風の服を着た細身細面の青年と、ずいぶんと背の低い皺の多くて長い杖をついた老人が頷いた。
これはもう完全に少なくとも天官だ、と全員の心の中で意見が一致する。
「ふたりとも、後は頼む」
「珍しいことですからね、構いませんよ」
「宮が言うのであれば、必要なことじゃろ。ほれ童子、わしらと共に来い」
老人が杖で招けば、水の塊は彼らのほうへと移動する。そのまま連れて行かれるようだ。
「では紫之宮、ごきげんよう」
「またの」
「ごきげんよう。例の酒は後で届けさせる」
その場から去ったふたりと水落鬼を見送ると、香山は「ありがとうございました!」と梓玥に勢いよく頭を下げる。
「これで解決したってことですよね。これで部員と今まで通り、練習できます!」
「うん。何かあったらまた真岡に連絡を」
「はい!」
隣にいたから真岡の「何故俺に」と言いたい顔を見たが、それは部長だし香山は部長の友人だからですよと部員全員が心の中で呟いた。
*******
梓玥が一度席を外す。外で電話をかけるようだ。
オカ研四人と香山が自然と集まる。
「なあ、今のどういうこと?」
「普通に考えれば、この水落鬼とその両親を会わせる手段があるってことだけど」
香山の問いに西山が答える。嶋田が「えっ」と声を上げた後、慌ててひそめた。
「そんなこと、神族だからってできるんですか?」
「いやぁ……普通ならできないだろうけど……」
「えっ、あのひと……あの方、神族なのか?!」
「声がデカい! いや、本人がそう言ったわけじゃないけど、たぶんそうだろうって俺たちが予想してるだけ」
「でもさ、神族とか獣人とかって、身体的特徴を隠さないだろ? あの方はそういうのないけど……」
神族・獣人の身体的な特徴は、わかりやすいところでは尻尾や羽根、牙や鱗や角だ。ヒトと間違えられることを避けるため、あるいは己の種族を誇示したいため。理由は種族や個人によるが、ほとんどの神族や獣人は特徴を隠さない。
香山のもっともな疑問に答えたのは真岡だ。
「考えてみろ。あれだけの美形で神族の特徴を出しっぱなしだったら、どう考えても大学で浮くし、まともな学生生活できないだろ」
そもそも基本的に神族はヒトの目から見れば並外れた美形揃いだ。神族としての格が上であればあるほど、神秘的な美しさが増すし、術や符、頭脳や体力、その他ヒトが及ばない能力が高い。
異質なほど美しいものに惹かれるし禁忌に触れたくなる好奇心がある者なら騒ぎ立てるだろうし、豪胆な者なら色々な意味で自分を売り込もうとするかもしれない。様々な思惑を抱えた者に囲まれる学園生活は、さぞ不便だろう。だから目立たないように気配を消しているのだろうし、身体的特徴も隠しているのだ。
真岡の言葉を、香山は納得したようだ。
「まあ……たしかに雰囲気ある方だよな……」
「だろ? で、だからそういう方ならワンチャン……」
「でもそういうことができるのって、倭国なら神様だし、大陸なら天帝とかに仕える天官くらいじゃないか?」
西山の言葉に、真岡がふと何かを思い出した顔をする。
「そういえば竜王ではないみたいなこと言ってたな……」
「えっ、それって竜王より偉いってこと?」
香山の問いに四人が顔を合わせる。
「……場合というか、官職によっては、まあ……」
「嘘だろ……なんでそんな方がこんなとこに……」
「それは俺たちも本当に訊きたい」
ぼそぼそと話しているうち、噂されていた当人が戻ってきた。見知らぬふたりを連れてきている。
「梓玥サン、そのおふたりは……?」
「その子の無念を晴らさせることができる相手だ」
赤っぽい大陸風の服を着た細身細面の青年と、ずいぶんと背の低い皺の多くて長い杖をついた老人が頷いた。
これはもう完全に少なくとも天官だ、と全員の心の中で意見が一致する。
「ふたりとも、後は頼む」
「珍しいことですからね、構いませんよ」
「宮が言うのであれば、必要なことじゃろ。ほれ童子、わしらと共に来い」
老人が杖で招けば、水の塊は彼らのほうへと移動する。そのまま連れて行かれるようだ。
「では紫之宮、ごきげんよう」
「またの」
「ごきげんよう。例の酒は後で届けさせる」
その場から去ったふたりと水落鬼を見送ると、香山は「ありがとうございました!」と梓玥に勢いよく頭を下げる。
「これで解決したってことですよね。これで部員と今まで通り、練習できます!」
「うん。何かあったらまた真岡に連絡を」
「はい!」
隣にいたから真岡の「何故俺に」と言いたい顔を見たが、それは部長だし香山は部長の友人だからですよと部員全員が心の中で呟いた。
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