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「回りくどい言い方は止す。……当主。瀧を私に預けてはくれないだろうか」
「えっ……」
今度こそ声が出た。咎められなかったのは、身内が大なり小なり声を上げたからだ。
「瀧を?!」
全員の視線が突き刺さる。「何故」という視線が突き刺さるのがわかるが、その理由は瀧のほうこそ知りたかった。
「ここにおります水津耶と海青も、親の目からは出来の良い子たちですが……」
「瀧が良い。何も陰陽師としての出来で選んでいるわけではないし、兄ふたりが劣っているとも思わない。私の個人的な事情だ。見返りが欲しければ言いつけてくれればよい。それとも……何か問題が?」
ほんのわずか声が低くなっただけで、父はほとんど土下座する。上位神族の気を害してどうなったか、先例は枚挙にいとまがない。同じ轍を踏むことは避けたいに違いなかった。
「問題、というより、懸念はございます」
「承知している。その問題に関しては、土御門にも大陸の狐神にも話は通してある。倭国の狐神も理解していよう。……少しばかり時間はかかったが」
梓玥が吐いた息は、ほんのわずか溜息のように感じられた。
(……? なんで土御門や狐神が出てくるんだ?)
懸念とやらに関係があるのだろうが、梓玥が気にしていないというより、気にしないように根回しをするほどのこと、という事実のほうが気になった。
(オレのことで倭国第一の陰陽師家と上位神族が絡むなんて……)
瀧がこの場で発言をする権利は、きっとないだろう。後でこっそり梓玥に聞いたら教えてくれるだろうか。
「いえ、何も問題はありません」
「よろしい。ならば本日連れ帰る」
「今日?!」
さすがにまた思わず声が出た。
「瀧!」
「っ、すみません」
父親に制され、反射的に謝り、頭を下げる。
「善は急げというだろう。当主どの、奥方どの。感謝する。……この件に関して、余人の関与を許さない」
最後の冷ややかとも受け取れる言葉に、瀧以外の全員が頭を畳に擦りつけんばかりに平服した。
「えっ……」
今度こそ声が出た。咎められなかったのは、身内が大なり小なり声を上げたからだ。
「瀧を?!」
全員の視線が突き刺さる。「何故」という視線が突き刺さるのがわかるが、その理由は瀧のほうこそ知りたかった。
「ここにおります水津耶と海青も、親の目からは出来の良い子たちですが……」
「瀧が良い。何も陰陽師としての出来で選んでいるわけではないし、兄ふたりが劣っているとも思わない。私の個人的な事情だ。見返りが欲しければ言いつけてくれればよい。それとも……何か問題が?」
ほんのわずか声が低くなっただけで、父はほとんど土下座する。上位神族の気を害してどうなったか、先例は枚挙にいとまがない。同じ轍を踏むことは避けたいに違いなかった。
「問題、というより、懸念はございます」
「承知している。その問題に関しては、土御門にも大陸の狐神にも話は通してある。倭国の狐神も理解していよう。……少しばかり時間はかかったが」
梓玥が吐いた息は、ほんのわずか溜息のように感じられた。
(……? なんで土御門や狐神が出てくるんだ?)
懸念とやらに関係があるのだろうが、梓玥が気にしていないというより、気にしないように根回しをするほどのこと、という事実のほうが気になった。
(オレのことで倭国第一の陰陽師家と上位神族が絡むなんて……)
瀧がこの場で発言をする権利は、きっとないだろう。後でこっそり梓玥に聞いたら教えてくれるだろうか。
「いえ、何も問題はありません」
「よろしい。ならば本日連れ帰る」
「今日?!」
さすがにまた思わず声が出た。
「瀧!」
「っ、すみません」
父親に制され、反射的に謝り、頭を下げる。
「善は急げというだろう。当主どの、奥方どの。感謝する。……この件に関して、余人の関与を許さない」
最後の冷ややかとも受け取れる言葉に、瀧以外の全員が頭を畳に擦りつけんばかりに平服した。
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