【完結】狐と竜の怪異専門探偵事務所~千年前に構った竜の子に現世で再会、溺愛執着されています~

オジカヅキ・オボロ

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 梓玥に連れて帰られた新たな居住の地は、八階建てのマンションの八階、3LDKの部屋三世帯分を改装した部屋だった。
 大学からは徒歩五分以内だし、近隣にはコンビニもあるし、与えられた部屋は二十畳もある。まるでリビングだ。家具などはすでに整えられていたが、古代大陸とアジアエスニックが混ざったテイストの広いベッドやルームライト、家具はすぐに気に入った。
 とはいえ、色々と聞かねばならないことはある。
 一通りの荷解きを終えた後、部屋よりずっと広いリビングに構えられたソファに座った。斜向かいに座った梓玥が、コーヒーで満たしたマグカップを置いてくれる。

「教えてほしいことがたくさんあるんですけど……」
「もう少し言葉を崩してくれるなら」

 思い切って口を開いたのに、思いがけない要求だ。面食らいつつ、要求通りにした。

「…………教えてほしいことがたくさんあるんだけど」
「うん」

 口調をラフにしたほうが機嫌がいいなんて、どういうことだろう。

「この前の……水落鬼の時、なんでオレに狐神の特徴が出たのか。みんなの注目が突然オレから逸れたのはどうしてか。入学してきた時にオレに興味があるって言ってたけど、それはどうしてか。あと、なんでオレと同居したかったのかと、懸念事項って何なのか」

 言ってから、多かっただろうかと思う。が、梓玥は瀧のほうへ体を向けて口を開く。

「話す順番は変わるが……君から注目が逸れたのは、私が目眩ましと記憶を操作する術を使ったから。その他の回答は、ほぼひとつに集約される」
「というと?」
「君はヒトだが、本性は別にある。君の父母や土御門、狐神はそれを知っていたから、君がまだ胎児の時に本性を封印した」

 どくん、と鼓動が跳ねる。

「本性……って……?」
「かつて狐神の公主と竜王の間に生まれた九尾の狐。それが君の本性で、前世」
「え……えええええ……?」

 唐突、かつ予想外のことを言われると思考が止まると知った。本当に自分のことだろうか?

(いや知りたかったけど……狐神、と、竜?)

 狐と竜のハーフ。異種神族同士の結婚は、血を重んじる神族にとっては珍しいものだ。

「君は術力や妖力など、ただの狐神や竜神より遙かに上回っていたが、一番の問題は、魅了にあった」
「魅了?」
「君の母君である狐も九尾だったそうだから、母君の力を濃く受け継いだのだろう。九尾はただの狐神よりずっと強い力を持つ。そして、生まれつき魅了の力も持つことが多い。君もその例に漏れずだった。そのせいで君や母君は望むと望まざるとに関わらず見る者を惑わせる力が強く、意に沿わぬ争いを生んでいた。たいていの者は魅了から身を守れない」

 梓玥は嘘をついていない。
 直感で理解した。だから瀧はかつてそんな力を持っていたのだろうと納得するしかない。
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