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31 秘密2
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「だから比較的温厚で基礎能力が高く、魅了されにくい竜神の土地にあった森の中で、父君と母君による結界の中、母君と暮らしていた。……母君は若くして亡くなられたそうだから、その後はひとりで住んでいた」
「…………何か……知ってる気がする……」
「それはそのはず。君は、その時のことを夢という形で見ている」
「……あ! あの、森の……」
既視感のある設定だと思ったら、昔から見ていた夢は現実だったということか。
(つまり、覚えてない記憶……ってことになる……?)
「それから、君の黒狐のシロは、式神ではない。君自身の力が漏れ出たもの」
「シロが? オレの?」
「ヒトや倭国、大陸の竜神や狐神の封印では御しきれなかったということ。だから君には常に監視があった。封印された後でもだ。式神や、ヒトという形で」
「えっ!? 見張られてたってこと?! ずっと!?」
「そう。式神は目障りだったから祓ってしまったが……ヒトのほうは、君に情もあるようだからそのままにしてある」
「…………」
情がなかったらどうしていたのかと思うと空恐ろしいものがある。気付かなかったことにしよう。
「……梓玥サンは、いつオレが狐だって気付いたんだ?」
「最初は、シロが気になった」
「シロ?」
「お使いの狐にしては能力がありすぎるから。私を見ても臆することなく助けを求めてきたのも。……それから、君たちを宿へ泊めた夜。夢の話をしてもらっただろう?」
「うん」
「私の記憶と合致していたから、本人ではないかと睨んで色々調べさせてもらっていた。……確信はやはり、プールでの出来事」
「水落鬼の……」
「そう。あの時、九尾の姿になった君を見て、やはりそうかと思った。だから君の実家にも行った」
「……ん? ちょっと待って。梓玥サンと狐だったオレって、面識あるってこと?」
「……ずっと探していた。会いたかった。……会えて、嬉しい」
微笑んだ梓玥は苦しげに見えた。そうして瀧は悟る。今、梓玥が会いたかったのは自分ではなく狐の――いわば前世の自分だっただろうことに。
「君は今、ヒトという殻に閉じ込められている状態だ。……君が望めば、狐の時の記憶も引き出せる」
望まなければしない。
(……優しいな)
選択肢を与えてくれるのは優しいと思う。上位神族なら、瀧が今はヒトであることを建前に、強引に記憶封印を解除させることもできるからだ。
梓月はそうしない。
「まだ、……今はよくわからない。だから、待ってほしい」
「わかった」
頷いた梓玥の頬に髪がかかる。落とされた影すら繊細で、もしかしたら梓玥もこの告白には緊張したのかもしれないと思えた。
*******
「…………何か……知ってる気がする……」
「それはそのはず。君は、その時のことを夢という形で見ている」
「……あ! あの、森の……」
既視感のある設定だと思ったら、昔から見ていた夢は現実だったということか。
(つまり、覚えてない記憶……ってことになる……?)
「それから、君の黒狐のシロは、式神ではない。君自身の力が漏れ出たもの」
「シロが? オレの?」
「ヒトや倭国、大陸の竜神や狐神の封印では御しきれなかったということ。だから君には常に監視があった。封印された後でもだ。式神や、ヒトという形で」
「えっ!? 見張られてたってこと?! ずっと!?」
「そう。式神は目障りだったから祓ってしまったが……ヒトのほうは、君に情もあるようだからそのままにしてある」
「…………」
情がなかったらどうしていたのかと思うと空恐ろしいものがある。気付かなかったことにしよう。
「……梓玥サンは、いつオレが狐だって気付いたんだ?」
「最初は、シロが気になった」
「シロ?」
「お使いの狐にしては能力がありすぎるから。私を見ても臆することなく助けを求めてきたのも。……それから、君たちを宿へ泊めた夜。夢の話をしてもらっただろう?」
「うん」
「私の記憶と合致していたから、本人ではないかと睨んで色々調べさせてもらっていた。……確信はやはり、プールでの出来事」
「水落鬼の……」
「そう。あの時、九尾の姿になった君を見て、やはりそうかと思った。だから君の実家にも行った」
「……ん? ちょっと待って。梓玥サンと狐だったオレって、面識あるってこと?」
「……ずっと探していた。会いたかった。……会えて、嬉しい」
微笑んだ梓玥は苦しげに見えた。そうして瀧は悟る。今、梓玥が会いたかったのは自分ではなく狐の――いわば前世の自分だっただろうことに。
「君は今、ヒトという殻に閉じ込められている状態だ。……君が望めば、狐の時の記憶も引き出せる」
望まなければしない。
(……優しいな)
選択肢を与えてくれるのは優しいと思う。上位神族なら、瀧が今はヒトであることを建前に、強引に記憶封印を解除させることもできるからだ。
梓月はそうしない。
「まだ、……今はよくわからない。だから、待ってほしい」
「わかった」
頷いた梓玥の頬に髪がかかる。落とされた影すら繊細で、もしかしたら梓玥もこの告白には緊張したのかもしれないと思えた。
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