嫌いなアイツと一緒に○○しないと出れない部屋に閉じ込められたのだが?!

海野(サブ)

文字の大きさ
8 / 13

めんどくせぇ奴 (シリウス視点)

しおりを挟む
 オレは生まれた時からヒライアカル家の次男として周りに比べられてはガッカリされる日々を送っていた。
 とても素晴らしいことに、父上と兄上はとても優れていたのだ。妹も良い評価を得ている。
 オレ自身も別に要領は悪くない。なんなら人よりは優れている方だと思っている。
 けれども父上と兄上には敵わない。
 それだけなら別に良いのだが、父親、兄が完璧なら息子であり弟でもあるヒライアカル家の次男も完璧なのだろうと期待される。
 んで、オレの結果をみて父親や兄のように優れていないとガッカリされるのがオチだ。そしてオレから離れていくのだ。
 どんなに努力したって結果は同じだ。

 いつしかやる気を出さなくなった。

 せめてシリウスとして評価してくれていればまだやる気はあったかもしれない。けどいつまでもヒライアカル家の次男としか見られなくなってきたから、馬鹿馬鹿しくなっていた。
 出来るだけその環境に居たくなかったオレは、家を飛び出して平民ばかりが所属する騎士団に入った。
 そこならオレ自身を評価されると思っていたが、結局場所が変わってもオレがヒライアカル家の次男としか見られていなかった。
 だからもう大事な場面以外ではやる気は出さないようにしてきた。訓練だって可能性な範囲はサボっていた。
 流石に市民に身の危険が起きた時は本気を出しだが。

 そんなある日だった。訓練中同期であるライアンが手合わせ願ってきたのだ。
 ライアンは正直言ってしまえばバカ真面目な奴だった。
 同期ということ以外ほとんど接点なかったから急に手合わせ願ってきたことに驚いた。
 だが真面目に相手にしたところで結果は見えてる。だから適当にやって負けた。
 これで勝手に失望してもう関わってこないだろと思っていたのに、次もまたその次もライアンは俺に手合わせ願ってきたのだ。
 
『貴様!!何故本気で来ない?!』

 流石に本気にしてないことに気づいたのか、ライアンは俺に怒鳴ってきた。

『ヒライアカル家の生まれだからって期待しないでくれよな。』

 そう言ってさっさと去ろうとしたが、ライアンの顔は更に怒りに満ちた顔をしていた。

『はぁ?!自分がやる気出さない理由に家の名前を使うな!!!シリウス!お前はお前だろうが!俺はお前だから手合わせ願っているんだ!』

 オレはそれを聞いた瞬間、鳩が豆鉄砲を食ったような表情をしていたのだろう。

『…お前は、オレがヒライアカル家の次男だから手合わせ願ったんじゃないのか…?』

『そんなわけないだろ!!お前が何者だろうが関係ない!!』

 そう言われて、オレはすごく驚いた。と言ってもそれを表に出さなかったが。
 初めてだった。ヒライアカル家の次男ではなく、シリウスとして見てくれていることを。
 なら期待に応えないとな、そう思いブキを手に取った、が。その時はオレは不安が過った。

もし、本気のオレを見て、失望されたら?

 正直訓練は怠けているから強くない筈だ。もし手合わせして、俺が負けたら?所詮こんなもんかとガッカリされてしまうのではないか。
 そう考えが頭を埋め尽くす。

『…悪いがオレはやる気ないんだ。よそを当たってくれ…』

 結局ライアンに失望されるのが怖くてオレは逃げた。

 まぁ、当の本人は諦めがつかないのかそれから手合わせを願ってくる。それだけじゃない、会う度に文句を言ってくる。
 どうやらオレのことが嫌いになったらしい。それは当たり前だとは思う。けど嫌いなら関わろうとしなければ良いのに、律儀に手合わせ願ってくる。
 けど…

 ライアンはちゃんとオレを見てくれている。

 そう思うと、オレは嫌われてもよかったなとなる。こうやってオレに関わろうとしてくれているのだ。
 ライアンは俺を嫌っているが、反対にオレはだんだんライアンが好きになっていた。ライクではなくラブとしての意味でだ。
 別に恋人になりたいとか、仲良くなりたいとかは思っていない。ただこうやって突っかかってくれるだけでオレは嬉しかった。
 だからこそ、オレは本気を出せなかった。じゃないと、ライアンがオレから離れてしまうんじゃないかと…そんな不安があった。

 しばらくして、キャスが生成した魔術の部屋にライアンと閉じ込められた時だった。
 【SEXしないと出られない】そんな悪趣味な条件をクリアしないと出られない使用だった。
 ライアンは絶対女役は嫌だろうな、しかも嫌っているオレに抱かれるのは尚更だろうし。

 本当は、物凄く抱きたい。

 と、思っていたらまさか自分が女役を引き受けるとは思わなかった。
 なら出来るだけ負担を減らそうと心がけた、が。

『んっんあっ…』

 正直エロい。エロかった。想像以上だった。負担怒ってばかりいるライアンが必死に我慢しながらも喘いている姿はとても興奮した。結局挿入までしてしまったが、オレのモノで感じるライアンがとても可愛く見えた。
 
 それからキャスの生成した魔術の部屋をきっかけに距離が縮まった気がする。というかオレに赤面する事が多くなった気がするのだが、少なからずもオレに対して気になってくれているのか?
 それに、おおいぬ座シリウスが彫られたシルバーリンクが良いと言っていたし。自惚れて良いよな?
 それをプレゼントとして渡したら付けてくれた上に、左手の薬指にはめるし、しかもまるでオレの思いが連動したかのように抜けなくなるというハプニング付き。

 恋人にならなくても良い。けど、もっとライアンと仲良くなりたい。
 だからこそ、オレは本気を出さないようにしなくては。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

何故か男の俺が王子の閨係に選ばれてしまった

まんまる
BL
貧乏男爵家の次男アルザスは、ある日父親から呼ばれ、王太子の閨係に選ばれたと言われる。 なぜ男の自分が?と戸惑いながらも、覚悟を決めて殿下の元へ行く。 しかし、殿下はただベッドに横たわり何もしてこない。 殿下には何か思いがあるようで。 《何故か男の僕が王子の閨係に選ばれました》の攻×受が立場的に逆転したお話です。 登場人物、設定は全く違います。

酔った俺は、美味しく頂かれてました

雪紫
BL
片思いの相手に、酔ったフリして色々聞き出す筈が、何故かキスされて……? 両片思い(?)の男子大学生達の夜。 2話完結の短編です。 長いので2話にわけました。 他サイトにも掲載しています。

騎士は魔王に囚われお客様の酒の肴に差し出される

ミクリ21
BL
騎士が酒の肴にいやらしいことをされる話。

【BL】SNSで出会ったイケメンに捕まるまで

久遠院 純
BL
タイトル通りの内容です。 自称平凡モブ顔の主人公が、イケメンに捕まるまでのお話。 他サイトでも公開しています。

お試しの彼氏が本命になりました!

ふき
BL
兄が幼馴染と付き合い始めた。 祝いたい気持ちはあるのに、知らされていなかったことにショックを受け、梓は逃げ出す。 やけ酒の勢いで出会った男・礼司に「お試しの彼氏」として流されてしまうが……。 最初は戸惑いながらも、強引で甘い礼司に振り回されていくうちに、梓の心は少しずつ揺らいでいく。 ※直接的な描写は少ないですがサブCPあり ※ストーカー要素あり 大人強引ズル甘攻め×チョロい流され受け 忽那礼司(クツナレイジ)×神崎梓(カンザキアズサ)

息子よ……。父を性的な目で見るのはやめなさい

チョロケロ
BL
《息子×父》拾った子供が成長したらおかしくなってしまった。どうしたらいいものか……。 ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。 宜しくお願いします。

記憶喪失になったら弟の恋人になった

天霧 ロウ
BL
ギウリは種違いの弟であるトラドのことが性的に好きだ。そして酔ったフリの勢いでトラドにキスをしてしまった。とっさにごまかしたものの気まずい雰囲気になり、それ以来、ギウリはトラドを避けるような生活をしていた。 そんなある日、酒を飲んだ帰りに路地裏で老婆から「忘れたい記憶を消せる薬を売るよ」と言われる。半信半疑で買ったギウリは家に帰るとその薬を飲み干し意識を失った。 そして目覚めたときには自分の名前以外なにも覚えていなかった。 見覚えのない場所に戸惑っていれば、トラドが訪れた末に「俺たちは兄弟だけど、恋人なの忘れたのか?」と寂しそうに告げてきたのだった。 ※ムーンライトノベルズにも掲載しております。 トラド×ギウリ (ファンタジー/弟×兄/魔物×半魔/ブラコン×鈍感/両片思い/溺愛/人外/記憶喪失/カントボーイ/ハッピーエンド/お人好し受/甘々/腹黒攻/美形×地味)

俺の婚約者が変態過ぎる!〜いいだろ。コイツ俺のなんだぜ?〜

ミクリ21
BL
婚約者のヒューゴのことを、主人公のユリスは苦手であった。 何故なら、ヒューゴは超ド級の変態だったからだ。 しかし、ある時前世の記憶を思い出したユリスは、ヒューゴを深く深く愛し始める。 何故なら、ユリスは前世で変態大好きな性癖だったから………。

処理中です...