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前編
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……いや待て待て、なんで同窓会の悩みからクロへの仕返しに変わっているんだよ。
とはいえこのまま同窓会のこと悩んでいるのも時間の無駄だ。行かないなら行かないって早めに灰島さんに言わないと迷惑だろうし。けど1人でウジウジ悩んでるのもな…
「……はぁ、しょうがない…」
ーーーーーーーー
「なるほどね、同窓会に行くか悩んでるんだ。」
結局、クロに相談をした。他に相談できる人がいなかったからだ。
「…………逆になんで行きたい気持ちはあるの?」
「え?いやその…灰島さんが誘ってくれたから…」
「けど無理なら来なくても良いと言ったんでしょ?なら行かなくていいじゃん。」
「それはそうだが……」
やっぱり予想通りというか、行かないという選択肢をクロは提案してきた。
もちろん行かなくていいなら行きたくない。けど、行きたくないって気持ちがあるのに、どうして行くという選択肢があるのだろうか。灰島さんが居るからと言っても、灰島さんはずっと俺に構ってくれる訳ではないだろうし。
「まだ、期待しちゃうの?もしかしたら今なら仲良く出来るかもって。」
「あ、そう、かも…」
そうだ、俺は期待しているんだ。灰島さんと少しずつ仲良くなったように、もしかしたら当時はお互い怖がって関われなかったけど、今なら親しく出来るかもって。
「なるほどねぇ、けど前も言ったけど相手に期待したらダメだって言ったじゃん。」
「正直、灰島さんがいなかったら俺は同窓会行かないって断言してたかもしれない、いや、灰島さんと少し話せるようになったから行こうって思えたのかもしれない。」
「……」
「わかってる、灰島さんがそうだっただけで、他の人も仲良くなれるか保証はない。けどさ、やっぱり期待しちまうよ。それに誤解されたままは嫌だし。」
本当は、同窓会に行きたいんだな、俺は。けど昔みたいに怖がられたままじゃないか、誰とも親しく出来ないまま終わるんじゃないかって。クロに相談を持ちかけられなかったのは、行かないことの肯定ではなく、行けという指示が欲しかったんだ。
でも、クロは俺の不安な方に同情してくれてるんだ。傷ついて欲しくないって気持ちがきっとあったのだろう。
「……あ、そうだ。クロ、お前当日一緒に来てくれないか?」
「…は?」
突然のお願いにクロは思わず変な顔をした。
「いや、僕そこ参加出来るわけないでしょ。何言ってんのシロウ。」
「だって不安だし怖いし!お前妖怪なんだから透明になる妖術とか持ってないのか?!」
「あったらとっくにシロウに色々いたずらしてるよ。」
どんなイタズラをしてくる気だ…と一瞬気になってしまったが、そんなことはどうでもいい。
「じゃあ同級生に妖術をかけてクロという同級生が居たと思わせるのは…?」
「…………僕が使えるまじゅ、ゴホン、妖術は相手を眠らせることと、少しだけ錯覚させることだけだよ。」
「あぁ、なるほど。だからお前のトイレの後始末した気になってたのか。じゃなくて!じゃあ猫の時の姿に…」
「どんだけ僕について来て欲しいのさ。」
色々提案して必死にお願いしてくる俺にクロはため息ついて呆れていた。
「……よくよく考えたら、灰島さんと仲良く話せるようになったのって、クロのおかげだなって。」
「え、そうなの?」
「お前の話をしてからだな。あ、安心しろ。別にお前が化け猫だってのは言ってないから。」
そう、灰島さんと仲良くなったきっかけはクロだ。灰島さんにクロのことを聞かれてから、俺の誤解が解けたらしく気さくに話しかけてくれる。まぁ、俺の方は相手が異性というのもあってまだちょっと緊張しているのだが。
「だから思ったんだ。クロがいれば俺は少し緊張が解けるし、少し親しみやすさが出ると思うんだ。頼む、クロ!」
俺は両手を合わせてお願いした。クロは眉をひそめて困っていた。
「…………それって、僕を利用しようってこと?」
「えっ?」
「なんか、話の話題作りに利用される感が拭えないんだけど。」
「あ、わ、悪いっ、違う!」
俺は慌て訂正する。クロを利用しようとかさらさら思っていなかった。
「俺はただ、お前が側に居てくれれば安心すると思って…」
「ふーん?」
「本当に悪かった…駄目だな、変わろうと思ったのに、ちょっと調子乗ってたのかもしれない。」
最近上手くいっているからって俺は調子に乗っていたようだ。
俺はそんな自分を恥ずかしくてうなだれた。
「……一緒に同窓会には行けないけど、近くにまでは一緒に行ってあげるよ。」
「え?」
顔を上げるとクロは目を細め口元を緩めていた。
「ほ、本当か…?」
「うん。シロウのこと心配だしね。」
「あ、ありがとう!」
クロの優しさに俺は思わず感激して、心の底からのお礼を口にした。
「そのかわり、妖術たーくさん溜めさせてね♪」
ニコッと小悪魔のような笑みで言われた。やっぱり締めはそれを言うのか…!
「~~~!!わ、わかった…」
「……マジ?」
まさか承諾されてると思っていなかったようで、クロは目を丸くした。
だって散々頼んでおいて、頼んだ相手のお願いを断るほど、俺は非情ではない!
とはいえこのまま同窓会のこと悩んでいるのも時間の無駄だ。行かないなら行かないって早めに灰島さんに言わないと迷惑だろうし。けど1人でウジウジ悩んでるのもな…
「……はぁ、しょうがない…」
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「なるほどね、同窓会に行くか悩んでるんだ。」
結局、クロに相談をした。他に相談できる人がいなかったからだ。
「…………逆になんで行きたい気持ちはあるの?」
「え?いやその…灰島さんが誘ってくれたから…」
「けど無理なら来なくても良いと言ったんでしょ?なら行かなくていいじゃん。」
「それはそうだが……」
やっぱり予想通りというか、行かないという選択肢をクロは提案してきた。
もちろん行かなくていいなら行きたくない。けど、行きたくないって気持ちがあるのに、どうして行くという選択肢があるのだろうか。灰島さんが居るからと言っても、灰島さんはずっと俺に構ってくれる訳ではないだろうし。
「まだ、期待しちゃうの?もしかしたら今なら仲良く出来るかもって。」
「あ、そう、かも…」
そうだ、俺は期待しているんだ。灰島さんと少しずつ仲良くなったように、もしかしたら当時はお互い怖がって関われなかったけど、今なら親しく出来るかもって。
「なるほどねぇ、けど前も言ったけど相手に期待したらダメだって言ったじゃん。」
「正直、灰島さんがいなかったら俺は同窓会行かないって断言してたかもしれない、いや、灰島さんと少し話せるようになったから行こうって思えたのかもしれない。」
「……」
「わかってる、灰島さんがそうだっただけで、他の人も仲良くなれるか保証はない。けどさ、やっぱり期待しちまうよ。それに誤解されたままは嫌だし。」
本当は、同窓会に行きたいんだな、俺は。けど昔みたいに怖がられたままじゃないか、誰とも親しく出来ないまま終わるんじゃないかって。クロに相談を持ちかけられなかったのは、行かないことの肯定ではなく、行けという指示が欲しかったんだ。
でも、クロは俺の不安な方に同情してくれてるんだ。傷ついて欲しくないって気持ちがきっとあったのだろう。
「……あ、そうだ。クロ、お前当日一緒に来てくれないか?」
「…は?」
突然のお願いにクロは思わず変な顔をした。
「いや、僕そこ参加出来るわけないでしょ。何言ってんのシロウ。」
「だって不安だし怖いし!お前妖怪なんだから透明になる妖術とか持ってないのか?!」
「あったらとっくにシロウに色々いたずらしてるよ。」
どんなイタズラをしてくる気だ…と一瞬気になってしまったが、そんなことはどうでもいい。
「じゃあ同級生に妖術をかけてクロという同級生が居たと思わせるのは…?」
「…………僕が使えるまじゅ、ゴホン、妖術は相手を眠らせることと、少しだけ錯覚させることだけだよ。」
「あぁ、なるほど。だからお前のトイレの後始末した気になってたのか。じゃなくて!じゃあ猫の時の姿に…」
「どんだけ僕について来て欲しいのさ。」
色々提案して必死にお願いしてくる俺にクロはため息ついて呆れていた。
「……よくよく考えたら、灰島さんと仲良く話せるようになったのって、クロのおかげだなって。」
「え、そうなの?」
「お前の話をしてからだな。あ、安心しろ。別にお前が化け猫だってのは言ってないから。」
そう、灰島さんと仲良くなったきっかけはクロだ。灰島さんにクロのことを聞かれてから、俺の誤解が解けたらしく気さくに話しかけてくれる。まぁ、俺の方は相手が異性というのもあってまだちょっと緊張しているのだが。
「だから思ったんだ。クロがいれば俺は少し緊張が解けるし、少し親しみやすさが出ると思うんだ。頼む、クロ!」
俺は両手を合わせてお願いした。クロは眉をひそめて困っていた。
「…………それって、僕を利用しようってこと?」
「えっ?」
「なんか、話の話題作りに利用される感が拭えないんだけど。」
「あ、わ、悪いっ、違う!」
俺は慌て訂正する。クロを利用しようとかさらさら思っていなかった。
「俺はただ、お前が側に居てくれれば安心すると思って…」
「ふーん?」
「本当に悪かった…駄目だな、変わろうと思ったのに、ちょっと調子乗ってたのかもしれない。」
最近上手くいっているからって俺は調子に乗っていたようだ。
俺はそんな自分を恥ずかしくてうなだれた。
「……一緒に同窓会には行けないけど、近くにまでは一緒に行ってあげるよ。」
「え?」
顔を上げるとクロは目を細め口元を緩めていた。
「ほ、本当か…?」
「うん。シロウのこと心配だしね。」
「あ、ありがとう!」
クロの優しさに俺は思わず感激して、心の底からのお礼を口にした。
「そのかわり、妖術たーくさん溜めさせてね♪」
ニコッと小悪魔のような笑みで言われた。やっぱり締めはそれを言うのか…!
「~~~!!わ、わかった…」
「……マジ?」
まさか承諾されてると思っていなかったようで、クロは目を丸くした。
だって散々頼んでおいて、頼んだ相手のお願いを断るほど、俺は非情ではない!
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