最強猫科のベヒーモス ~モフりたいのに、モフられる~

メイン君

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第一章 モフはモフを呼ぶ

第26話「帰ってきたよ」

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 凱旋がいせんといことで、もうすぐ街の門から入るところだ。
 先ぶれを出していたので、街では俺たちを迎え入れる準備ができているらしい。

 今、リルは馬にまたがっている。
 俺はリルと馬の頭の間でグデーっとなっている。
 
 街に入る手前に馬が用意されていた。
 メインストリートを通るときに華やかに見えるようにらしい。 

 街でも今回の討伐軍のことは知られていて、市民に不安が広まりつつあったらしい。
 軍の凱旋と英雄の誕生を華々しく行うことによって、街に活気を与えるという政治的な意味もあるそうだ。

 リルが馬に乗ったことがないということで、誰かに馬を引かせようかとグレゴリーに提案された。
 ところが、リルは初めから熟練の騎士のように上手く騎乗している。

「さすが英雄だな、シュンという伝説級の従魔を従えることに比べれば、馬に乗ることなんて朝飯前だったか」

 隣でグレゴリーが感心している。
 グレゴリーはさすが手慣れたもので、馬を乗りこなしている。

 ここ数日、グレゴリーがしゃべっているのを聞く機会が多かったからか、気づいたことがある。
 この騎士団長はあれだな、伝説とかそういうのが好きなタイプの人だ。

 冒険者ともうまが合いそうなタイプだ。
 そういえば、伯爵と一緒に冒険者パーティーを組んでたことがあるって言ってたな。
 アルフレッドと同じくらいの歳ってことは、まだ三十代かな?
 アルフレッドと違って落ち着いた雰囲気のためか、もう少し上の歳だと思ってた。

 伝説を目指して冒険者をやっていたのだろうか。

 
 街の門まであと少しという時だ。

 街の中からワッと歓声が上がった。
 俺たち先頭が到着することが分かったのだろう。

 門をくぐり抜けると、歓声はさらに増す。

「よくやった!」
「魔王討伐ありがと~!!」
「グレゴリー将軍! 万歳~!!」
「リルちゃーん! 私たちの英雄~~!!」

 凄い熱気と勢いを感じる。
 俺たちが戦った意味を実感させてくれる。

 この街を守ることができて良かったよ。
 
 騎士たちや冒険者たちの中にも名前を呼ばれている人たちがいた。
 みんなまんざらでもなさそうだ。

 この街ってこんなに人がいたんだってくらい、道に人があふれている。
 今日は仕事を投げ出して休みにしている人も多そうだ。

 出店もいつもより多い気がする。

「クルルゥ(あそこの串焼き、美味しそう……)」

 そんなことを考えていたら、急に浮遊感を感じた。

 リルが俺を両手で頭上にかかげた。
 多くの人に見えるようにしたのだろうか。
 
 ちょ、なんだか恥ずかしい……。
 生まれたままの姿がみんなに見られてる……いつもだけど。

「シュンをみんなに見てもらいたいし、シュンも周りがよく見えるでしょ」

 リルのやさしさだったようだ。

 よく見えるよ。

 お!?

 路地の方に猫の集団発見!
 オークキングの現れた場所まで来てた猫もいる。
 今度行くからね。

「ねこしゃ~ん!」

 聞き覚えのある舌ったらずな少女の声。
 ふと目を向けると、父親らしき男に肩車をしてもらってる。
 迷子になってぐずってた女の子だ。
 隣にはあの時の母親が笑顔で寄り添っていて、幸せな家族といった感じだ。

 肩車されている女の子、かかげられている俺、なんとなく親近感だ……。
 
 その時、グレゴリーがちょうどいいとばかりに声を出す。

「このワイルドキャットは、銀狼族の少女リルの従魔、シュンだ! こたびの戦いで、縦横無尽の活躍をしてくれた!! 我らが勝利になくてはならない存在だった!」

 グレゴリーはいつも手放しで褒めすぎだ。
 縦横どころか空にぶっ飛んだけどさ。

 人々から歓声があがる。

 いまだ俺はかかげられていて、みんなの視線を集めている。

 オラに……ちょっとずつ視線が集まってくる……。

 リルもなんだか嬉しそうだからいいんだけどね……。

「クルニャ~!(帰ってきたよ~!)」


 その後、伯爵のアルフレッドにグレゴリーが討伐戦の報告をして解散となった。
 アルフレッドは今日は忙しそうで、また後日会いに行くことになった。


◇◇◇


「ただいま~!」

「クルニャー!(ただいま~)」

 俺とリルはミーナの家に帰ってきた。

「おかえり、ほんと無事で良かったよ……」

 ミーナが少し涙ぐんでいる。
 冒険者ギルドの受付嬢をしている彼女には、今回の討伐戦が危険だということが分かっていたのだろう。

「ミーナ~」

 リルがミーナに抱きつく。

「ルニャ~!(俺も俺も)」

 ミーナの足にヒシっと抱きつく。
 一瞬コアラっぽいなと思った。

「おつかれさま……。帰ってきたばかりで休みたいだろうから、ご飯は私が作るね」

 ミーナが優しい眼差しで、なにやら恐ろしいことを言った。

「ミーナ、大丈夫だよ。リルはまだまだ戦えるよ! ご飯つくるね!」

「クルニャン!(外で買ってくるのもありだと思う! 屋台がいっぱい出てたしさ!)」

 リルと俺は必死に回避をこころみる。

 どれくらい必死かというと、オークジェネラルと戦ったときより必死だと思う。

「そ、そう……。じゃあ食べるもの買ってくるね」

 ミーナが買い出しに行ってくれることで落ち着いた。
 今日の今日だと、俺やリルは人ごみで揉みくちゃにされるかもしれないとのことだった。


 お湯で体を綺麗にして、美味しいご飯を食べて、ゆっくり休むことになった。
 昼過ぎのまだ外が明るい時間から、モフモフにつつまれて眠ることができるのは何よりの至福だ。

 幸せな昼寝をしながら、帰ってきたんだなあと実感したのだった。

 
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