最強猫科のベヒーモス ~モフりたいのに、モフられる~

メイン君

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第一章 モフはモフを呼ぶ

第28話「討伐戦の報酬が、予想以上な件」

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 まだ日が高いうちに街に戻ってきた。

 これから冒険者ギルドに討伐依頼達成を報告して、その後でギルドマスターとお話だ。

 門をくぐってギルドまで向かう。

 今日は朝から道ゆく人々によく声をかけられる。
 感謝の言葉をかけられるのが一番多いけど、小さな子供とかだと俺をなでさせてっていうのが結構多かった。

 子供は遠慮ないもので、「この猫、ちかくで見ると目つきわるいんだね」とか言われたりした。

 でも、リルが「え~、この目つきが可愛いんじゃん」と言ってくれたから、差し引き大幅プラスだ。

 街は今日も平和だね。





 ギルドでは出発の時と同じく、カーミラが担当になった。

「リルさん、おかえりなさい。荷物多いですし、裏の倉庫へどうぞ」

 カーミラは、台車からあふれそうなのを見て、倉庫に案内してくれた。


「はい、ちょうど2万ソマリですね」

「カーミラさん、ありがとうございます」

 リルがカーミラから銀貨2枚を受け取る。

 最近ちょっと通貨価値が分かってきた。
 騎士の入団当初の給金が大体20万ソマリくらいらしい。
 そう考えると半日の稼ぎにしてはなかなかだ。

 あとで知ったんだけど、Aランクの凶悪な鹿、フルフルのときは100万ソマリももらっていたようだ。
 金貨だと10枚分だけど、あの時は銀貨も多く混じってたから、ずっしり重かったようだ。
 フルフルを丸ごと持って帰ってくれば、もっともらえていたらしい。
 Aランク魔物おそるべしだ……。

「お疲れさまでした。そうだ、リルさん。ギルドマスターが帰ってきてますよ」

「はい。行ってみます」

 倉庫で報酬を受け取った俺たちは、ギルドマスターの部屋に向かった。



「リル、待っていたよ」
 
 ギルドマスターのレイモンドが、すでに腰かけて待っていた。
 今日はレイモンドのおっちゃん一人だけだ。

「レイモンドさん、こんにちは。なんだか、久しぶりの気がする」

 リルがおっちゃんにあいさつする。
 討伐軍に参加する準備を始めてからは、ギルドにも来てなかったからね。

「ああ、ひさしぶりだ。それにしてもずいぶん活躍したみたいだな」

「ほとんどシュンがね……。いつの間にかオークキングも倒してちゃってたよ」

 リルがあきれた様子をみせる。
 ただ、どことなく嬉しそうだ。

「クルニャー!(俺だって、いつの間にか倒してたんだよ!)」

 まさかオークキングだとは思ってなかったよ。
 感慨もなにもあったもんじゃない。

「いやほんと凄まじいな……。計り知れない存在だな」

 おっちゃんはため息をつきながらも、興味津々といったようすだ。

「えへへ~」

 褒められたと思ったのか、リルが笑みをうかべる。

「今日は二つ伝えることがある。まずはお前たちの討伐軍参戦の報酬についてだ」

「報酬もらえるのって嬉しいな。リルも冒険者なんだって思えるんだ」

 俺も少しドキドキワクワクしてる。
 オークキングを倒したことを考えると1000万ソマリとかもあるかもしれないぞ……。

 おっちゃんが真剣な顔で金額を教えてくれる。

「まず合計額だが、2億5020万ソマリだ」

「ふぇ……?」

「ルニャ?(えっ?)」

 ちょっとよく聞こえなかった……。

 いや……、聞こえた金額が、平均的な兵士の生涯賃金を超えてたのだが……。
 きっと聞き間違えたのだろう。

 おっちゃんは、俺たちの戸惑いを気にせず話を続ける。

「内訳は、オークキングが2億ソマリ、
 オークジェネラル2体で4000万ソマリ、
 あとはグレートボアの素材や討伐軍参戦の日当とかだな。
 この金額には領主側から出てる金額も入ってるぞ」

 おっちゃんが、伯爵と話して俺たちへの報酬を預かってきたのだという。
 
「2億…………。お肉がいっぱい……かな?」

「クルルゥ……(肉がいっぱい……だね……)」

 リルも俺も、現実感のない金額に放心している。
 高級肉に囲まれている白昼夢を見ていた。

「肉って……。
 まあ、それだけ凄いことをしたってことだぞ。
 オークどもが街まで攻めて来たら、被害はそんなものではすまないからな。
 功績にふさわしい金額だと思うぞ。おめでとう」

 おっちゃんがニヤッと笑いながら称賛してくれる。

「シュン、どうしよう……?
 そんなに持ってたら重くて歩けないよ。
 潰れちゃうかも……」

 リルがアワアワしている。
 いろいろと混乱しているようだ。

 2億ソマリだと……、金貨で2000枚、銀貨だと2万枚だもんね。
 でも、商人がいるくらいだし、いい方法があるはず……。

「ああ……。
 金貨の上に白金貨っていうのもあるぞ。
 金貨10枚で白金貨1枚の価値だ。
 それに、ギルドで預かっておくこともできる。
 使いたいときに使いたい分だけ出金できるってわけだ」

 ギルドには銀行的な機能もあるんだね。
 それは助かるかもしれない。

 リルの方に視線をおくる。

「そ、それならとりあえず、預かってて欲しいな……」

 リルはまだ少し混乱しているようで、なんとか預金しておくことを伝えた。

 ちょっと違うかもしれないけど、いきなり宝くじに当たった感じだろうか。

「分かった、必要なときはいつでも言ってくれ。それと大事なことがもう一つだ」

「うん」

 リルが、もう驚かないぞと話を聞く姿勢をとる。

「リルが受けてくれるなら、Aランク冒険者になれることが決定した。
 さらに、これは前例のないことなんだが……。
 シュンがAランク冒険者と同等のAランク従魔になれることが決まった。
 これも、リルの了承があればだ」

 おっちゃんが、どうだすげーだろと嬉しそうに告げてきた。
 こんなに短期間でAランクになるなんて、歴史に残るぞと。

 さらに、今まで無かった従魔のランクというものを設けることになったそうだ。

「…………」

 リルが言葉を失う。

 俺もリルのランクアップはちょっと予想していたけど、自分のことは完全に予想外だ。

「シュンの件は、騎士団長の強い推薦や、他の冒険者たちの賛同があってな。
 どっちのAランクも、領主やギルドの他幹部の了承が取れたってわけだ。
 もちろん、俺は大賛成だ」

 やったなお前らと、おっちゃんが笑う。

「う、嬉しいです! リルのこともだけど、シュンがみんなに認められたことが……」

 リルが、いつになく興奮している。

「じゃあ、リルとシュンはAランクを受けてくれるってことでいいか?」

「うん! ありがとうございます!!」

「クルニャーン!(俺も嬉しいよ!)」

 リルが立ち上がって、俺を両手で高くかかげる。
 向き合っているので、リルの顔がよく見える。
 嬉しいのか、リルが少し涙ぐんでいる。

 俺は胸がジーンとした。

「やったね! シュン!!」

 リルにギュッと抱きしめられた。
 俺のお腹に、顔を埋めてくる。

 俺のお腹の白くて柔らかい毛に、リルが包まれる。
 リルが息を吸い込むとき、ちょっとくすぐったい。

 思う存分モフるがいい。 

 そんな風に強気に思ったものの、ゴロゴロとのどが鳴るのを止められない。
 俺の猫の体は、喜びにとても正直なのだった。 




――――――――――――――――――
【通貨単位】
(ソマリ)
白金貨1枚=100万ソマリ
金貨 1枚=10万ソマリ
銀貨 1枚=1万ソマリ
銅貨 1枚=1000ソマリ
鉄貨 1枚=100ソマリ

1ソマリ≒1円
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