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第17話「ドラゴンコミュニケーション」
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俺たちはタナリアの森を進んでいく。
レーカは相変わらず黒ドラゴンをズルズルと引きずっている。
哀れな黒ドラゴン……。
「あっ!?」
今、黒ドラゴンが大きめの木にぶつけられて、一瞬目を覚ましたぞ。
すぐにもう一度、木にぶつけられて気を失ったけど……。
あれは俺の睡眠魔法で眠っているんじゃなくて、気絶してるだけだな。
なんだか黒ドラゴンが可哀想になってきた。
レーカのやつ、本当に餌のつもりで運んでいないだろうなあ。
さすがにそれは無い……か。
あるの?
◇
そのまま、三十分ほど歩き続けた。
周囲の木々はどこまで行っても黒いものばかり。
「アル。
そういえばなんでこの森は木が黒くなってるんだ?」
いまさらながらの疑問を口にする。
「んー、おそらくだけどね。
瘴気に影響されて、
アンデッドみたいな状態になってるんだと思うよ」
アルの言葉にセシルさんがビクッとなった。
周りの木が、スケルトンと同じアンデッドみたいと言われたら、不気味に感じるよね。
なんだか木が襲ってきそうでさ。
「アンデッドって可愛いモノと正反対だよね……」
セシルさんがトボトボと歩いている。
どうやら、精神的に疲れていて、可愛いものに飢えてるようだ。
こういう時は……。
アルをモコモコしていいからさ、とセシルさんにアルを押し付ける。
セシルさんの表情がパアッと明るくなり、アルをモコモコなでなでし始めた。
パーティーメンバーの精神安定だいじ。
ちょっとの罪悪感と程々の達成感にひたっていると、我らがレッドドラゴンが急に歩みを止めた。
そして、引きずってきた黒ドラゴンをペイっと放り出した。
「レーカ、
どうしたんだ?」
『何かあるよ。
うーん、お家かな?』
レーカの視線の先を見てみると。
何やら大きな石がいくつも積み重なっている。
家なのか?
ドラゴンは無理だけど、人族なら何人かは入れそうな大きさだ。
「これは祠だね。
しかも土魔法でつくられてる感じだよ」
セシルさんの腕の中から、アルが説明してくれた。
「土魔法ねえ……。
村長の言葉からすると、
何かが封印されてるってことかな?」
俺が呟いたその時。
ペイっとされてた黒ドラゴンがうめき声を上げた。
『……グルゥゥ』
あれだけ雑に扱われたら、目を覚ますよね。
ただ、その様子は俺たちを襲ってきた時と違い、少し敵意は残っているものの理性を感じられるものだ。
黒ドラゴンの迫力はいまだに恐ろしいところはあるものの、レーカに勝てないことが分かっているためか、今は大人しくしている。
『そこのドラゴンが、
ほこらには手を出さないでって言ってるよ』
一瞬、頭にクエスチョンが浮かんだけど、レーカには黒ドラゴンの言いたいことが分かるってことなのだろう。
ドラゴンにだけ分かる言葉とかあるのかな。
「レーカ!
そこのドラゴンに理由を聞けるか?」
『聞いてみるっ!』
その後、クルル……グルゥ……クゥイー……ガルル……と、なにやらコミュニケーションがおこなわれている。
ふと思ったのだが。
これ実は、すごい貴重な場面に立ち会ってるんじゃないのか。
物語でもドラゴンの会話なんて見たことも聞いたこともない。
ドラゴンの研究をしている学者たちが、泣いて喜ぶ状況なのでは……。
そんなことを考えていると、レーカがこっちを振り向いた。
『なんかね。
そこにはこのドラゴンの大事なモノが眠ってるんだって。
手を出さないでってお願いされちゃった』
伝説の武器でも眠っているのだろうか。
そういえば物語のドラゴンで財宝を集めるのが好きなやつがいたなあ。
その時、アルが話しかけてきた。
「ネロ。
あの中にこの瘴気の原因があるみたいだよ」
「そうなの?」
「時間があったから、
周囲の魔力の動きを調査してたんだ。
どうもあの中から瘴気が広がってるんだ。
それにこの状況を生んだやつにちょっと心当たりがあるんだ」
いつになくアルが真剣だ。
これは祠を放置して帰るわけにはいかないかもしれない。
「レーカ!
そのドラゴンにさ。
悪いようにはしないから、
中を見せてくれるように頼めないかな。
中にあるものを盗ったりはしないよって」
『聞いてみるっ』
またしばしの、クルルガルル…………。
『分かったってさ。
中のものを傷つけないでくれるならって言ってるよ』
おお!
レーカがなんだか凄くデキる子に見えてきた。
まあ実際、やるときはやりすぎる子だしね。
黒ドラゴンとしては、争ってもレーカには歯が立たないっていうのも、あるのかもしれないけどね。
カッと赤い光が周囲に広がり、レーカが人化した。
セシルさんが、すぐにレーカに駆け寄って服を着せ始めた。
慣れてきたな、セシルさん。
レーカは人化しちゃったけど、黒ドラゴンがいきなり襲ってくるとかないよね?
一抹の不安を感じつつも、黒ドラゴンの落ち着いた様子を見て、大丈夫だと自分に言い聞かせることにした。
黒ドラゴンに見守られる中、俺たちは祠の中に足を踏み入れる。
黒ドラゴンは大きさからして入れないから、外でお留守番。
巨大な体ながら、心配そうにこちらを見ている様子は、なんだか愛嬌があって可愛い気さえした。
祠の中は、そこまで広いものではなく、入るとすぐに中央の台座が目に入った。
台座の上には……
人?
人が寝ている?
石の台座の上には、死んだように眠っている美少女の姿があった――――。
レーカは相変わらず黒ドラゴンをズルズルと引きずっている。
哀れな黒ドラゴン……。
「あっ!?」
今、黒ドラゴンが大きめの木にぶつけられて、一瞬目を覚ましたぞ。
すぐにもう一度、木にぶつけられて気を失ったけど……。
あれは俺の睡眠魔法で眠っているんじゃなくて、気絶してるだけだな。
なんだか黒ドラゴンが可哀想になってきた。
レーカのやつ、本当に餌のつもりで運んでいないだろうなあ。
さすがにそれは無い……か。
あるの?
◇
そのまま、三十分ほど歩き続けた。
周囲の木々はどこまで行っても黒いものばかり。
「アル。
そういえばなんでこの森は木が黒くなってるんだ?」
いまさらながらの疑問を口にする。
「んー、おそらくだけどね。
瘴気に影響されて、
アンデッドみたいな状態になってるんだと思うよ」
アルの言葉にセシルさんがビクッとなった。
周りの木が、スケルトンと同じアンデッドみたいと言われたら、不気味に感じるよね。
なんだか木が襲ってきそうでさ。
「アンデッドって可愛いモノと正反対だよね……」
セシルさんがトボトボと歩いている。
どうやら、精神的に疲れていて、可愛いものに飢えてるようだ。
こういう時は……。
アルをモコモコしていいからさ、とセシルさんにアルを押し付ける。
セシルさんの表情がパアッと明るくなり、アルをモコモコなでなでし始めた。
パーティーメンバーの精神安定だいじ。
ちょっとの罪悪感と程々の達成感にひたっていると、我らがレッドドラゴンが急に歩みを止めた。
そして、引きずってきた黒ドラゴンをペイっと放り出した。
「レーカ、
どうしたんだ?」
『何かあるよ。
うーん、お家かな?』
レーカの視線の先を見てみると。
何やら大きな石がいくつも積み重なっている。
家なのか?
ドラゴンは無理だけど、人族なら何人かは入れそうな大きさだ。
「これは祠だね。
しかも土魔法でつくられてる感じだよ」
セシルさんの腕の中から、アルが説明してくれた。
「土魔法ねえ……。
村長の言葉からすると、
何かが封印されてるってことかな?」
俺が呟いたその時。
ペイっとされてた黒ドラゴンがうめき声を上げた。
『……グルゥゥ』
あれだけ雑に扱われたら、目を覚ますよね。
ただ、その様子は俺たちを襲ってきた時と違い、少し敵意は残っているものの理性を感じられるものだ。
黒ドラゴンの迫力はいまだに恐ろしいところはあるものの、レーカに勝てないことが分かっているためか、今は大人しくしている。
『そこのドラゴンが、
ほこらには手を出さないでって言ってるよ』
一瞬、頭にクエスチョンが浮かんだけど、レーカには黒ドラゴンの言いたいことが分かるってことなのだろう。
ドラゴンにだけ分かる言葉とかあるのかな。
「レーカ!
そこのドラゴンに理由を聞けるか?」
『聞いてみるっ!』
その後、クルル……グルゥ……クゥイー……ガルル……と、なにやらコミュニケーションがおこなわれている。
ふと思ったのだが。
これ実は、すごい貴重な場面に立ち会ってるんじゃないのか。
物語でもドラゴンの会話なんて見たことも聞いたこともない。
ドラゴンの研究をしている学者たちが、泣いて喜ぶ状況なのでは……。
そんなことを考えていると、レーカがこっちを振り向いた。
『なんかね。
そこにはこのドラゴンの大事なモノが眠ってるんだって。
手を出さないでってお願いされちゃった』
伝説の武器でも眠っているのだろうか。
そういえば物語のドラゴンで財宝を集めるのが好きなやつがいたなあ。
その時、アルが話しかけてきた。
「ネロ。
あの中にこの瘴気の原因があるみたいだよ」
「そうなの?」
「時間があったから、
周囲の魔力の動きを調査してたんだ。
どうもあの中から瘴気が広がってるんだ。
それにこの状況を生んだやつにちょっと心当たりがあるんだ」
いつになくアルが真剣だ。
これは祠を放置して帰るわけにはいかないかもしれない。
「レーカ!
そのドラゴンにさ。
悪いようにはしないから、
中を見せてくれるように頼めないかな。
中にあるものを盗ったりはしないよって」
『聞いてみるっ』
またしばしの、クルルガルル…………。
『分かったってさ。
中のものを傷つけないでくれるならって言ってるよ』
おお!
レーカがなんだか凄くデキる子に見えてきた。
まあ実際、やるときはやりすぎる子だしね。
黒ドラゴンとしては、争ってもレーカには歯が立たないっていうのも、あるのかもしれないけどね。
カッと赤い光が周囲に広がり、レーカが人化した。
セシルさんが、すぐにレーカに駆け寄って服を着せ始めた。
慣れてきたな、セシルさん。
レーカは人化しちゃったけど、黒ドラゴンがいきなり襲ってくるとかないよね?
一抹の不安を感じつつも、黒ドラゴンの落ち着いた様子を見て、大丈夫だと自分に言い聞かせることにした。
黒ドラゴンに見守られる中、俺たちは祠の中に足を踏み入れる。
黒ドラゴンは大きさからして入れないから、外でお留守番。
巨大な体ながら、心配そうにこちらを見ている様子は、なんだか愛嬌があって可愛い気さえした。
祠の中は、そこまで広いものではなく、入るとすぐに中央の台座が目に入った。
台座の上には……
人?
人が寝ている?
石の台座の上には、死んだように眠っている美少女の姿があった――――。
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