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蜜月、その5
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「神性ミネルヴァの手足にして耳目たる神官アウローラが、新たな特級魔導士ルーラとその契約魔性アメルにご挨拶と成約のお祝いを申し上げます」
神官が頭を下げることに礼節以上の意味はない。
「ありがとうございます」
神殿が運営する子供園育ちのルーラは心得たよう返礼すると、アウローラが連れてきた他の神官たちとも定型の挨拶を交わし、仮住まいの応接間へと招き入れた。
「連絡員のまとめ役は、神官アウローラにお願いします」
「謹んでお受けします」
来月にはミネルヴァの学院へ入学することが決まっているルーラは、当分の間ミネーヴァの街を離れる予定がない。
アウローラとの個人的な付き合いの長さを考慮しなかったとしても、拠点とする街で最も規模が大きい神殿の神官を連絡員のまとめ役に指名することは理に適っていた。
それが順当とばかり、他の神官たちからも異論の声は上がらない。
他にもいくつかの確認事項を手早く処理して、アウローラを含む神官たちは慌ただしくルーラとアメルの仮住まい――ただでさえ、契約したばかりで気が立っている特級魔性の塒――を後にした。
「アメルでも、自分のテリトリーに他人が入ってきたら嫌な気持ちになったりするの?」
特級魔性――その気になって力を揮えば街の一つくらい、ものの十秒で更地にできてしまうような人外――の不興を買うとわかっていても、契約翌日というデリケートなタイミングで神官たちがそのテリトリーを侵すのは、今後のための顔合わせという以上に、新米の魔導士がきちんと己の魔性をコントロールできているかを見極めるため、という意味合いが大きい。
だからこそ、アメルは自分とルーラのための場所に神性の気配を纏った神官がぞろぞろやってきても我慢していたわけで。
「むしろなんでならないと思うの? 僕は君と契約した魔性だよ?」
面倒な顔合わせが終わって体の空いたルーラをアメルはさっそく捕まえて、応接間のソファに転がした。
「そんなに私のことが好きなら、儀式の前はなんであんなにごねてたの?」
「大人には色々あるんだよ」
ローブの留め具を外されて、これから何をされるかわからないほど初心ではないはずなのに、ルーラはアメルの下から逃げようともせず、むしろ自分から腕を広げて虫の居所が悪い魔性を抱き寄せた。
「いいの?」
「いいけど、昨日みたいにやり過ぎたらまた吐くから」
「ちゃんと手加減するよ」
また手の届かないところで泣かれては堪らない。
それさえなければ、ルーラが魔力に酔って晒す醜態を見てみたい気もしたが。アメルはそんな本音をおくびにも出さず、気安く体を預けてくるルーラに努めてそっと口付けた。
「君をこんなふうに独り占めできるのは蜜月の間だけだから、少しくらい物足りなくても、ずっとくっついていられる方がいい」
神官が頭を下げることに礼節以上の意味はない。
「ありがとうございます」
神殿が運営する子供園育ちのルーラは心得たよう返礼すると、アウローラが連れてきた他の神官たちとも定型の挨拶を交わし、仮住まいの応接間へと招き入れた。
「連絡員のまとめ役は、神官アウローラにお願いします」
「謹んでお受けします」
来月にはミネルヴァの学院へ入学することが決まっているルーラは、当分の間ミネーヴァの街を離れる予定がない。
アウローラとの個人的な付き合いの長さを考慮しなかったとしても、拠点とする街で最も規模が大きい神殿の神官を連絡員のまとめ役に指名することは理に適っていた。
それが順当とばかり、他の神官たちからも異論の声は上がらない。
他にもいくつかの確認事項を手早く処理して、アウローラを含む神官たちは慌ただしくルーラとアメルの仮住まい――ただでさえ、契約したばかりで気が立っている特級魔性の塒――を後にした。
「アメルでも、自分のテリトリーに他人が入ってきたら嫌な気持ちになったりするの?」
特級魔性――その気になって力を揮えば街の一つくらい、ものの十秒で更地にできてしまうような人外――の不興を買うとわかっていても、契約翌日というデリケートなタイミングで神官たちがそのテリトリーを侵すのは、今後のための顔合わせという以上に、新米の魔導士がきちんと己の魔性をコントロールできているかを見極めるため、という意味合いが大きい。
だからこそ、アメルは自分とルーラのための場所に神性の気配を纏った神官がぞろぞろやってきても我慢していたわけで。
「むしろなんでならないと思うの? 僕は君と契約した魔性だよ?」
面倒な顔合わせが終わって体の空いたルーラをアメルはさっそく捕まえて、応接間のソファに転がした。
「そんなに私のことが好きなら、儀式の前はなんであんなにごねてたの?」
「大人には色々あるんだよ」
ローブの留め具を外されて、これから何をされるかわからないほど初心ではないはずなのに、ルーラはアメルの下から逃げようともせず、むしろ自分から腕を広げて虫の居所が悪い魔性を抱き寄せた。
「いいの?」
「いいけど、昨日みたいにやり過ぎたらまた吐くから」
「ちゃんと手加減するよ」
また手の届かないところで泣かれては堪らない。
それさえなければ、ルーラが魔力に酔って晒す醜態を見てみたい気もしたが。アメルはそんな本音をおくびにも出さず、気安く体を預けてくるルーラに努めてそっと口付けた。
「君をこんなふうに独り占めできるのは蜜月の間だけだから、少しくらい物足りなくても、ずっとくっついていられる方がいい」
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