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EP01「女魔術師、奴隷を買う」
SCENE-008 >> 別バージョンとして全てのマーカー位置を同時参照できる大型(ロマン仕様)のものもある
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「もしも森の中ではぐれたら、この針が指す方に向かって歩くのよ」
導きの石を持っていないラルに、私が失せ物探しのために作った天球儀――それっぽい見た目の法具――を持たせて。使い方を教えるために、平べったいペンダントを手の上でかちゃりと展開して見せる。
「これは私が作った法具だけど、目印としてあらかじめ魔力結晶を設置しておけば導きの石と似たような使い方ができるから。石を持ってないラルにあげる」
マーカーをいくつも用意して身の回りのものにつけておけば失せ物探しが捗ると思って作りはしたものの、出しっぱなしにしないで使ったら都度魔法鞄に放り込む癖をつけたらそもそも物を失くすということがなくなって。他に使い途もなく死蔵していたものだから、ラルにあげても惜しくはない。
完全に手放してしまうには、平べったい収納状態から立体的に展開するペンダントの構造に手間をかけすぎた。
「落とすと面倒だからラル用の魔法鞄が用意できるまでは私が持っておくけど、目印の魔力結晶はこれね。法具のここに、ぐるっと数字が刻んであるのはわかる? この数字と魔力結晶に彫った数字が対応してるの。『ⅩⅡ』の魔力結晶を宿の部屋に置いてきたから、もしも森の中で私とはぐれるようなことになったら、これを見ながら自力で宿まで戻るのよ。――わかった?」
こくん、と物分かり良く頷いたラルは、私の手から魔力結晶を一つ摘まみ上げると、残りの魔力結晶をしまうよう身振りで私に促した。
身の回りのものにつけても邪魔にならないよう小粒の魔力結晶で作り、一つ一つ色違いの紐を結びつけてあるマーカーを元通りハンカチに包んでポーチにしまうと。そうして空いた私の手に、ラルが一つだけ除けておいた『Ⅵ』のマーカーを握らせてくる。
(そうきたか……)
素直に賢いな、と思ったことは口に出さないでおく。
「街中ではぐれた時とかにも使えるだろうから、私が一つ持っておくのはいいんだけど……森の中ではぐれた時に使うのはダメだからね? はぐれるような状況で傍に来られると危ないし、邪魔だから」
「はぐれないようにする」
「うん、まぁ……確かにはぐれなければそれが一番いいんだけど」
そうだぞ、とでも言うよう重々しく頷いて見せたラルが、元の平べったい状態にかちゃりと戻した失せ物探しの法具を首からさげて、シャツの下へとしまいこむ。
マーカーとしての機能は魔法鞄に入れると無効になってしまうから。ラルが私を見つけるための魔力結晶は、とりあえず、落とさないようポーチのベルトにしっかりと結びつけておいた。
導きの石を持っていないラルに、私が失せ物探しのために作った天球儀――それっぽい見た目の法具――を持たせて。使い方を教えるために、平べったいペンダントを手の上でかちゃりと展開して見せる。
「これは私が作った法具だけど、目印としてあらかじめ魔力結晶を設置しておけば導きの石と似たような使い方ができるから。石を持ってないラルにあげる」
マーカーをいくつも用意して身の回りのものにつけておけば失せ物探しが捗ると思って作りはしたものの、出しっぱなしにしないで使ったら都度魔法鞄に放り込む癖をつけたらそもそも物を失くすということがなくなって。他に使い途もなく死蔵していたものだから、ラルにあげても惜しくはない。
完全に手放してしまうには、平べったい収納状態から立体的に展開するペンダントの構造に手間をかけすぎた。
「落とすと面倒だからラル用の魔法鞄が用意できるまでは私が持っておくけど、目印の魔力結晶はこれね。法具のここに、ぐるっと数字が刻んであるのはわかる? この数字と魔力結晶に彫った数字が対応してるの。『ⅩⅡ』の魔力結晶を宿の部屋に置いてきたから、もしも森の中で私とはぐれるようなことになったら、これを見ながら自力で宿まで戻るのよ。――わかった?」
こくん、と物分かり良く頷いたラルは、私の手から魔力結晶を一つ摘まみ上げると、残りの魔力結晶をしまうよう身振りで私に促した。
身の回りのものにつけても邪魔にならないよう小粒の魔力結晶で作り、一つ一つ色違いの紐を結びつけてあるマーカーを元通りハンカチに包んでポーチにしまうと。そうして空いた私の手に、ラルが一つだけ除けておいた『Ⅵ』のマーカーを握らせてくる。
(そうきたか……)
素直に賢いな、と思ったことは口に出さないでおく。
「街中ではぐれた時とかにも使えるだろうから、私が一つ持っておくのはいいんだけど……森の中ではぐれた時に使うのはダメだからね? はぐれるような状況で傍に来られると危ないし、邪魔だから」
「はぐれないようにする」
「うん、まぁ……確かにはぐれなければそれが一番いいんだけど」
そうだぞ、とでも言うよう重々しく頷いて見せたラルが、元の平べったい状態にかちゃりと戻した失せ物探しの法具を首からさげて、シャツの下へとしまいこむ。
マーカーとしての機能は魔法鞄に入れると無効になってしまうから。ラルが私を見つけるための魔力結晶は、とりあえず、落とさないようポーチのベルトにしっかりと結びつけておいた。
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