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魔王を迎撃?(マーチャント)
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そして今、魔王を迎撃せざるをえない状況に至っている。
迎撃と言っても攻撃をするつもりはない。魔王が仕掛けてきたのは、ある意味自己都合だ。
大きな闇魔法を目の前に振りかぶっている魔王に俺は待ったをかける。
『魔王様お待ちください。本当によろしいのですか?』
ここで戦い始めたら俺の方が分が悪い。モラハ様を守りながら戦うのは今の俺ではなんとかなるような問題じゃない。魔王の攻撃なんて一撃食らえば即死ものだ。
「なにがよ」
『貴方が始末しようとしているモラハ・ラスゴイのことです』
魔王が本来のストーリーを逸脱するのは構わないが、俺と命が繋がっているモラハ様の死を回避できない状況に陥らせないでほしい。頑張っている俺の努力が報われないだろ。
魔王には延々とモラハ様を始末した際のデメリットを説明していく。
『推測になりますがストーリー通りの進行でない場合本来あるべきイベントが起きないわけですから、双子の主人公を取り巻く登場人物の影響は計り知れません。例えば、悪役から主人公を守ろうとしていた登場人物との接点の消失にはじまり、好意の有無による関係値の行動心理にまでおよび「あー、わかった。わかった」さらには』
魔王が手のひらをひらひら振りながら俺の言葉を遮る。
「悪役も主人公からしてみれば、必要悪ってことね。もともとのシナリオがあるわけだし。悪役も主人公にとって大事なスパイスってわかったわよ。どのみち、悪役のそいつは死ぬ運命にあるもんね」
死なせねぇけどな。
『ご理解いただけて恐縮です』
ジョブをマーチャントに変更しておいて良かった……!!! 商人系のスキルが充実しているから、説得が成功したのかもしれない。相手が少し疑問に思ったくらいでは説得を失敗させる脅威にはならないってことがわかった。交渉に関係するスキルMaxだしな。
「ねぇ、あたしが最初に言ったこと覚えてる?」
なんだっけ?
そう思ったが口からはぺらぺらと魔王が言っていた言葉が滑るようにでてくる。
『えぇ、もちろんです。道に迷われてしまったとお聞きしております。転生者という特殊な状況を鑑みるに帰る場所もないというところでしょうか』
「うん。そうなの。元の世界に戻れるのかもわからないし、性別まで変わってるし。あたし魔王なんでしょ? 鏡がないから自分のことなんてわからないじゃない? できることと言ったら、魅了のような魔法を使ったり、戦ってみたりするくらいなのよね」
じゃぁ、そもそもどうやって野良ドラゴンに魅了をかけたんだよ。っていうか、聞き捨てならない言葉がちらっとでたな。
『どのようにして神にも等しいドラゴンに魅了をかけたのかとても興味があります』
ないない。全然興味ない。さっさと魔王の前から立ち去りたい!
「気になるわよね。来たばっかりでこの世界のスキルが使えるなんて不思議に思うわよね。魅了については、女神様に教えてもらったのよ。話がとっても長くなっちゃったけど、雑談なんてそんなものよね。まさか魔王に転生してるなんて思わなかったけど。とにかく女神様に異世界に転移させてもらったら、目の前にドラゴンがいるじゃない? それで、「貴族学園らぶみーどぅー」の世界ってあたし教えてもらっていたわけよ。とりあえず、魅了かけるでしょ」
とりあえずで、普通はドラゴンに魅了なんてかけねーよ?! アホなの?
『なるほど。そうだったんですね。ちなみに可愛らしい話し方も転生前からですか?』
「そうよ。男性になったとしても前世の記憶があるからすぐに変えるのは難しいわね……」
ひっかかってた言葉がでてきた。そうだよ、魔王の前世の性別って女の子だったの?! わぁ、可哀想……って、全然、可哀想じゃねーよ。悪役っていうだけで子供の時に始末しようなんて考えてドラゴンをよこしてくるくらいだからな。こいつは元々頭おかしい女の子だったんだ。
『それはご苦労されましたね』
俺が苦労しまくったけどな?! マーチャントってジョブはフェミニストっていうか優しすぎじゃねぇの?!
「迷子になってから一日もたってないけどね!」
少しは苦労しろよ、元女の子。
『戻る場所もないとなると心細いことでしょう。それでは居場所を提供する代わりに是非あなた様の類まれなる力をおかしくださいませ』
え? 何言っちゃってんの?! やめて? 本当にやめて?! 金の匂いでもかぎつけたのか?! マーチャントおおおおおっ!!!
迎撃と言っても攻撃をするつもりはない。魔王が仕掛けてきたのは、ある意味自己都合だ。
大きな闇魔法を目の前に振りかぶっている魔王に俺は待ったをかける。
『魔王様お待ちください。本当によろしいのですか?』
ここで戦い始めたら俺の方が分が悪い。モラハ様を守りながら戦うのは今の俺ではなんとかなるような問題じゃない。魔王の攻撃なんて一撃食らえば即死ものだ。
「なにがよ」
『貴方が始末しようとしているモラハ・ラスゴイのことです』
魔王が本来のストーリーを逸脱するのは構わないが、俺と命が繋がっているモラハ様の死を回避できない状況に陥らせないでほしい。頑張っている俺の努力が報われないだろ。
魔王には延々とモラハ様を始末した際のデメリットを説明していく。
『推測になりますがストーリー通りの進行でない場合本来あるべきイベントが起きないわけですから、双子の主人公を取り巻く登場人物の影響は計り知れません。例えば、悪役から主人公を守ろうとしていた登場人物との接点の消失にはじまり、好意の有無による関係値の行動心理にまでおよび「あー、わかった。わかった」さらには』
魔王が手のひらをひらひら振りながら俺の言葉を遮る。
「悪役も主人公からしてみれば、必要悪ってことね。もともとのシナリオがあるわけだし。悪役も主人公にとって大事なスパイスってわかったわよ。どのみち、悪役のそいつは死ぬ運命にあるもんね」
死なせねぇけどな。
『ご理解いただけて恐縮です』
ジョブをマーチャントに変更しておいて良かった……!!! 商人系のスキルが充実しているから、説得が成功したのかもしれない。相手が少し疑問に思ったくらいでは説得を失敗させる脅威にはならないってことがわかった。交渉に関係するスキルMaxだしな。
「ねぇ、あたしが最初に言ったこと覚えてる?」
なんだっけ?
そう思ったが口からはぺらぺらと魔王が言っていた言葉が滑るようにでてくる。
『えぇ、もちろんです。道に迷われてしまったとお聞きしております。転生者という特殊な状況を鑑みるに帰る場所もないというところでしょうか』
「うん。そうなの。元の世界に戻れるのかもわからないし、性別まで変わってるし。あたし魔王なんでしょ? 鏡がないから自分のことなんてわからないじゃない? できることと言ったら、魅了のような魔法を使ったり、戦ってみたりするくらいなのよね」
じゃぁ、そもそもどうやって野良ドラゴンに魅了をかけたんだよ。っていうか、聞き捨てならない言葉がちらっとでたな。
『どのようにして神にも等しいドラゴンに魅了をかけたのかとても興味があります』
ないない。全然興味ない。さっさと魔王の前から立ち去りたい!
「気になるわよね。来たばっかりでこの世界のスキルが使えるなんて不思議に思うわよね。魅了については、女神様に教えてもらったのよ。話がとっても長くなっちゃったけど、雑談なんてそんなものよね。まさか魔王に転生してるなんて思わなかったけど。とにかく女神様に異世界に転移させてもらったら、目の前にドラゴンがいるじゃない? それで、「貴族学園らぶみーどぅー」の世界ってあたし教えてもらっていたわけよ。とりあえず、魅了かけるでしょ」
とりあえずで、普通はドラゴンに魅了なんてかけねーよ?! アホなの?
『なるほど。そうだったんですね。ちなみに可愛らしい話し方も転生前からですか?』
「そうよ。男性になったとしても前世の記憶があるからすぐに変えるのは難しいわね……」
ひっかかってた言葉がでてきた。そうだよ、魔王の前世の性別って女の子だったの?! わぁ、可哀想……って、全然、可哀想じゃねーよ。悪役っていうだけで子供の時に始末しようなんて考えてドラゴンをよこしてくるくらいだからな。こいつは元々頭おかしい女の子だったんだ。
『それはご苦労されましたね』
俺が苦労しまくったけどな?! マーチャントってジョブはフェミニストっていうか優しすぎじゃねぇの?!
「迷子になってから一日もたってないけどね!」
少しは苦労しろよ、元女の子。
『戻る場所もないとなると心細いことでしょう。それでは居場所を提供する代わりに是非あなた様の類まれなる力をおかしくださいませ』
え? 何言っちゃってんの?! やめて? 本当にやめて?! 金の匂いでもかぎつけたのか?! マーチャントおおおおおっ!!!
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