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グランド・アーク
シュットの陰謀
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ダランたちは、ママルマラに到着した。火事があったハード区の中央街は、平和を取り戻していた。道の片隅に花束があるのは、おそらく火災での死者が出た事を意味しているのだろう。
その花束は、偶然でないならゼロがいた十字架がある、シュットの家の前にあったのだ。
「シュット=バーニング。穏健派を中心とした平和の国、ママルマラにおいて、過激な革新に動く革命家の男だったかな」
知る人ぞ知る話らしく、ワルガーがその知識を披露した。
「火事があったんだよね、確か?」
「ああ。姫様の友だちが関わっている」
「スフィア、覚えているプリか」
スプスーは、茫然としているスフィアに尋ねた。
「いえ、ごめんなさい」
「謝ることはないさ。一応、占い館も見せたい」
仕事仲間くらいでは効果が薄いだろうと思いながらも、ダランはスフィアに『占い博士・アポーンの館』を見せた。
アポーンに会わせても、スフィアからすれば記憶がないのは知られたくないだろう。それが、今の限界なのだ。
そこに、シュットはいた。
ちょうど、占い館から出てくるところだ。
「皆、念のため、さりげなく後退だ」
ダランは一行に指示した。
シュットは革新派とは言え、愛国心が強い。賞金首には詳しい可能性を、ダランは考慮したのだ。
いかにも道を間違えたかのように、身振りを交えながら踵を返す。
だが、スプスーはどうしても目立った。
「そこの者ども、待て」
意外にも、一行はシュットの屋敷に案内された。ダランを見て訝る顔こそしたが、もしかしたら人違いでもしているかのように、愛想良い笑みを浮かべたのだ。
「私、特務執行監査長のシュット=バーニングと申します。以後、お見知りおきを」
ダランたちも自己紹介をした。こういう場合、相手の思惑が何であれ嘘は通らないと考え、それぞれが正直に自己紹介をした。
「そちらの麗しいお嬢様は」
シュットは、スフィアを手で示した。
「スフィア王女です。滅びたマテリアー王国から、逃げ延びたお辛い方です」
嘘がないように、しかし同情を得られるように、慎重にダランはスフィアを説明した。シュットはスフィアを知らないのか、ただフン、と鼻を鳴らしただけだ。
「となると、賞金首ではなく、あくまで冒険者として尊い姫の護衛を買って出たのですか。ダラン=リーグイースト」
「知っていてお声を頂くとは、お恥ずかしい」
ダランは丁寧に謙遜した。シュットは革新派のリーダー、つまり権力を持つ。機嫌を損なえばどうなるかは分からないからだ。
「それに、大盗賊を従えるなんて。ドラゴン勲章で脅したのかな」
「おい、シュットとか言ったか」
「まあまあ、ワルガー。平和的に話そう」
ワルガーは俯いた。騎士時代の過去は祖国により秘匿とされている。実際、いらぬ詮索をされるよりは平和に過ぎるのが、ワルガーにとっても都合が良いのだ。
「ならば、スフィア王女を無事に護衛した暁には、君たちの賞金を取り下げても良い」
シュットは思いがけない提案を、ダランたちに投げ掛けた。
「それは、つまり」
「そのままの意味だ。私は世界中央府に繋がりがある。それを利用出来るだけの才能もある。有罪が無罪になるのだ、嬉しいだろう」
シュットは、スフィアを見た。もしかしたら、シュットは彼女に対して何らかの思惑を抱いたのかもしれない。
「代わりに、あなたに付けと言うわけね」
「いや、そんな望みはない。私は優秀な人間が落ちぶれるのが、ただ嫌なだけだ」
シュットは爽やかな微笑を浮かべた。部下に囲まれているだけあり、持ち前のしたたかさは巧妙に笑顔に隠されているのだった。
「シュットは、意外と良いヤツなのプリ」
スプスーは素直な感想を述べた。だが、スフィア以外は暗い面持ちをしていた。
「スプスー、確かに表面上はそうだ。だが、私はああいう人間に何度も会ったが、大抵は嘘つきか冷たい人間なのだよ」
「分かるぜ。俺もあんな騎士は死ぬほど知っている」
「私は、直感で危ない人と思った」
マジルの直感は、殺し屋の直感だ。そんな彼女の感想がそうなら、信じて良いのだろうと一同は思った。
「スフィア=ジルアファン、か。あったぞ」
シュットは、ママルマラにある大図書館で調べものをしていた。目的は、新聞のアーカイブだ。
「マテリアー王国、爆発か。凄い見出しだな」
そこには、マテリアー王国が大魔王ワレスの主導で進められ、1日にして国ひとつが壊滅状態になった事が書かれていた。
国王レゼットは死亡が確認されたが、王女であるスフィアは行方不明となっている。
そして、その記事にはレゼットとスフィアの似顔絵が描かれていたのだ。
「ふむ、確かに今日の少女は王女スフィア=ジルアファンのようだな」
それを確かめたシュットは、密かに笑った。
「これは、使える」
あくる日、シュットはジュコの長牢獄に足を運んだ。すると、入り口の門近くに魔術師の姿をしたゾーンが突然に現れたのだ。
【ここにいる私は、分身だ。信頼するお前に、伝えねばならない事がある】
テレパシーでゾーンは、シュットに秘密を打ち明けた。
「運命。ふはは、天運は我に向いたぞ」
シュットは、不気味に開眼したような顔つきになったのだった。
その花束は、偶然でないならゼロがいた十字架がある、シュットの家の前にあったのだ。
「シュット=バーニング。穏健派を中心とした平和の国、ママルマラにおいて、過激な革新に動く革命家の男だったかな」
知る人ぞ知る話らしく、ワルガーがその知識を披露した。
「火事があったんだよね、確か?」
「ああ。姫様の友だちが関わっている」
「スフィア、覚えているプリか」
スプスーは、茫然としているスフィアに尋ねた。
「いえ、ごめんなさい」
「謝ることはないさ。一応、占い館も見せたい」
仕事仲間くらいでは効果が薄いだろうと思いながらも、ダランはスフィアに『占い博士・アポーンの館』を見せた。
アポーンに会わせても、スフィアからすれば記憶がないのは知られたくないだろう。それが、今の限界なのだ。
そこに、シュットはいた。
ちょうど、占い館から出てくるところだ。
「皆、念のため、さりげなく後退だ」
ダランは一行に指示した。
シュットは革新派とは言え、愛国心が強い。賞金首には詳しい可能性を、ダランは考慮したのだ。
いかにも道を間違えたかのように、身振りを交えながら踵を返す。
だが、スプスーはどうしても目立った。
「そこの者ども、待て」
意外にも、一行はシュットの屋敷に案内された。ダランを見て訝る顔こそしたが、もしかしたら人違いでもしているかのように、愛想良い笑みを浮かべたのだ。
「私、特務執行監査長のシュット=バーニングと申します。以後、お見知りおきを」
ダランたちも自己紹介をした。こういう場合、相手の思惑が何であれ嘘は通らないと考え、それぞれが正直に自己紹介をした。
「そちらの麗しいお嬢様は」
シュットは、スフィアを手で示した。
「スフィア王女です。滅びたマテリアー王国から、逃げ延びたお辛い方です」
嘘がないように、しかし同情を得られるように、慎重にダランはスフィアを説明した。シュットはスフィアを知らないのか、ただフン、と鼻を鳴らしただけだ。
「となると、賞金首ではなく、あくまで冒険者として尊い姫の護衛を買って出たのですか。ダラン=リーグイースト」
「知っていてお声を頂くとは、お恥ずかしい」
ダランは丁寧に謙遜した。シュットは革新派のリーダー、つまり権力を持つ。機嫌を損なえばどうなるかは分からないからだ。
「それに、大盗賊を従えるなんて。ドラゴン勲章で脅したのかな」
「おい、シュットとか言ったか」
「まあまあ、ワルガー。平和的に話そう」
ワルガーは俯いた。騎士時代の過去は祖国により秘匿とされている。実際、いらぬ詮索をされるよりは平和に過ぎるのが、ワルガーにとっても都合が良いのだ。
「ならば、スフィア王女を無事に護衛した暁には、君たちの賞金を取り下げても良い」
シュットは思いがけない提案を、ダランたちに投げ掛けた。
「それは、つまり」
「そのままの意味だ。私は世界中央府に繋がりがある。それを利用出来るだけの才能もある。有罪が無罪になるのだ、嬉しいだろう」
シュットは、スフィアを見た。もしかしたら、シュットは彼女に対して何らかの思惑を抱いたのかもしれない。
「代わりに、あなたに付けと言うわけね」
「いや、そんな望みはない。私は優秀な人間が落ちぶれるのが、ただ嫌なだけだ」
シュットは爽やかな微笑を浮かべた。部下に囲まれているだけあり、持ち前のしたたかさは巧妙に笑顔に隠されているのだった。
「シュットは、意外と良いヤツなのプリ」
スプスーは素直な感想を述べた。だが、スフィア以外は暗い面持ちをしていた。
「スプスー、確かに表面上はそうだ。だが、私はああいう人間に何度も会ったが、大抵は嘘つきか冷たい人間なのだよ」
「分かるぜ。俺もあんな騎士は死ぬほど知っている」
「私は、直感で危ない人と思った」
マジルの直感は、殺し屋の直感だ。そんな彼女の感想がそうなら、信じて良いのだろうと一同は思った。
「スフィア=ジルアファン、か。あったぞ」
シュットは、ママルマラにある大図書館で調べものをしていた。目的は、新聞のアーカイブだ。
「マテリアー王国、爆発か。凄い見出しだな」
そこには、マテリアー王国が大魔王ワレスの主導で進められ、1日にして国ひとつが壊滅状態になった事が書かれていた。
国王レゼットは死亡が確認されたが、王女であるスフィアは行方不明となっている。
そして、その記事にはレゼットとスフィアの似顔絵が描かれていたのだ。
「ふむ、確かに今日の少女は王女スフィア=ジルアファンのようだな」
それを確かめたシュットは、密かに笑った。
「これは、使える」
あくる日、シュットはジュコの長牢獄に足を運んだ。すると、入り口の門近くに魔術師の姿をしたゾーンが突然に現れたのだ。
【ここにいる私は、分身だ。信頼するお前に、伝えねばならない事がある】
テレパシーでゾーンは、シュットに秘密を打ち明けた。
「運命。ふはは、天運は我に向いたぞ」
シュットは、不気味に開眼したような顔つきになったのだった。
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