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グランド・アーク
再会の罠
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ゼロのいる牢に、シュットは単身でやって来た。
「うむ。人形、いや、ゼロくん。キミには会いたい人がいるよね」
時に牢の中にまで立ち入るシュットだが、今日は外側からドールに語りかけた。
「知りません」
「スフィアという、マテリアー王国の王女」
「え、なぜ知っているのです」
ゼロは驚いた。シュットに、スフィアを知っている事はおろか、スフィアが仲間である事、そして今、最も会いたい人である事を話した覚えなど全くなかったからだ。
「素直なんだね、ゼロくんは。見直した。もしキミが望むなら会わせてあげよう」
「本当に、会えるんですか」
「ああ。彼女は今、ママルマラにいるからね。本当に会えるんだよ」
ゼロは、罪を償う気持ちがシュットに伝わり、遂に許しを得たのだと思った。
それが、この男シュットの卑劣な陰謀とも知らずに。
「見えてきた。ジュコの長牢獄だ」
ダランたちはシュットに、ゼロという生きている人形の所在を尋ね、この場所の存在を知った。
ダランが初めてゼロを見たのはシュットの屋敷の前。ならばシュットは、ゼロと何らかの関わりを持っていたかもしれないと考え、どうやらそれが正しかったというわけだ。
「罠なんじゃねェか?賞金首を連行する手間を省く悪徳野郎の可能性は、残念ながらそこそこのモンだろ」
「だとしても、スフィアのためプリ」
「皆様、私のためにごめんなさい」
スフィアは謝った。
記憶がない以上、スフィアを知っているというダランたちと行動を共にする他は、考えを持てないでいたのだ。
(ゼロ、名前すら覚えてない。本当に私はあなたを知っているの?)
シュットには、策があった。
「スフィアとゼロ。彼らには恐らく引き寄せ会う運命がある。もしそうなら・・・楽しませてもらえそうだ」
「シュット様。ダランという冒険者たちが、ゼロに面会を希望しております」
「やはり来たか、通せ。ヤツらこそ革命の駒だ」
「姫」
遂に、ゼロはスフィアに再会した。面会室での一時的なものとは言え、ゼロは心から嬉しかったのだ。
ダランたちはスフィアを気遣い、面会室の外にいた。スフィアが記憶を取り戻すには、一人でゼロと話した方が良い、そう結論付けたのだ。
しかし、ゼロに対しスフィアからは想像通りの言葉が返ってきた。そしてそれは、何も知らないゼロには想像出来なかった言葉だった。
「やっぱり私、あなたを知りません。本当に、私の知り合いなのですか?」
その時、遠くから悲鳴が聞こえた。
「シュット様。な、何をしているのです」
刑務官が騒ぎ立て、またその一部は無惨に切り殺されていた。
「う、裏切り、者が」
「裏切りはいつもお前たちからだろう。これは正当な制裁だ。これからママルマラは我ら革新派の自由国家となるのだァ」
シュットはサーベルを掲げ叫んだ。更にそれに乗じてトリシムを始め、数十名の私兵たちが怒号を上げた。
血の革命。ずっと後にそう呼ばれる事になる、歴史の一ページが今、始まった。
シュットは、面会室から驚いて出てきたスフィアを躊躇いなくサーベルで指し示した。
「王女、私はあなたの味方だ。悪しき人形や賞金首ダランと関係を断ち、我ら革命軍にご参加頂きたい」
「え、賞金・・・首?」
スフィアはダランが賞金首とは、元から知らされていなかった。
「シュット、何がしたいのだ」
ダランは慌てず、しかし強い語気でシュットを問い詰めた。どう見ても、穏やかにゼロを返してくれなければ、ダランたちを許す気もない男には、そんな風にしか話せないのだろう。
「リーグイースト。冒険者でありながら賞金首に堕落した不届き者を、革命だからと見逃すなど本気で信じたか」
「かぁ。やっぱ、最低嘘つき野郎なんだな、てめェは」
「大盗賊。シュット様への侮辱はこのトリシム=カズーヒークへの侮辱。成敗を望むと同じと心得よ」
長牢獄は、ざわめき出した。
ジュコの長牢獄は、その名前に違わぬ長方形の牢獄だ。しかも、その長さは世界一と言われる。
世紀の犯罪集団クレイジー・ドーン、あるいは殺人竜人ホアナッド。これら収容すべき重犯罪者は全てジュコ送りになり、その度に増築されてきた。
その結果、「終わりの証」という別称を頂くほどに、ジュコは不名誉な場所という共通認識が培われてきたのだ。
「トリシム、今はよせ。命じられた事から果たすのだ」
「はっ、仰せのままに」
トリシムはダランたちがいる面会室側とは反対の向きに去っていった。
「さて、これから君たちと戦っても私は勝てる。実は私は強いからな。だがその前に1つ忠告しておこう」
シュットは出し抜けに、ダランたちにしたことを説明し始めた。
「
ダラン=リーグイースト。
スプスー。
ワルガー=ザン。
マジル=カヤルーサ。
そして、スフィア=ジルアファン。
これらの者には、ママルマラ転覆の
革命罪の容疑を手配した。
私のした事は、キミたちがした事だ。
私に代わり、永遠に責任を取りたまえ。
」
シュットは続けた。
「なんて事をしてしまったんだろうな。私とした事が、革命したさに犯罪者をうっかり釈放してしまった。全てな」
「うむ。人形、いや、ゼロくん。キミには会いたい人がいるよね」
時に牢の中にまで立ち入るシュットだが、今日は外側からドールに語りかけた。
「知りません」
「スフィアという、マテリアー王国の王女」
「え、なぜ知っているのです」
ゼロは驚いた。シュットに、スフィアを知っている事はおろか、スフィアが仲間である事、そして今、最も会いたい人である事を話した覚えなど全くなかったからだ。
「素直なんだね、ゼロくんは。見直した。もしキミが望むなら会わせてあげよう」
「本当に、会えるんですか」
「ああ。彼女は今、ママルマラにいるからね。本当に会えるんだよ」
ゼロは、罪を償う気持ちがシュットに伝わり、遂に許しを得たのだと思った。
それが、この男シュットの卑劣な陰謀とも知らずに。
「見えてきた。ジュコの長牢獄だ」
ダランたちはシュットに、ゼロという生きている人形の所在を尋ね、この場所の存在を知った。
ダランが初めてゼロを見たのはシュットの屋敷の前。ならばシュットは、ゼロと何らかの関わりを持っていたかもしれないと考え、どうやらそれが正しかったというわけだ。
「罠なんじゃねェか?賞金首を連行する手間を省く悪徳野郎の可能性は、残念ながらそこそこのモンだろ」
「だとしても、スフィアのためプリ」
「皆様、私のためにごめんなさい」
スフィアは謝った。
記憶がない以上、スフィアを知っているというダランたちと行動を共にする他は、考えを持てないでいたのだ。
(ゼロ、名前すら覚えてない。本当に私はあなたを知っているの?)
シュットには、策があった。
「スフィアとゼロ。彼らには恐らく引き寄せ会う運命がある。もしそうなら・・・楽しませてもらえそうだ」
「シュット様。ダランという冒険者たちが、ゼロに面会を希望しております」
「やはり来たか、通せ。ヤツらこそ革命の駒だ」
「姫」
遂に、ゼロはスフィアに再会した。面会室での一時的なものとは言え、ゼロは心から嬉しかったのだ。
ダランたちはスフィアを気遣い、面会室の外にいた。スフィアが記憶を取り戻すには、一人でゼロと話した方が良い、そう結論付けたのだ。
しかし、ゼロに対しスフィアからは想像通りの言葉が返ってきた。そしてそれは、何も知らないゼロには想像出来なかった言葉だった。
「やっぱり私、あなたを知りません。本当に、私の知り合いなのですか?」
その時、遠くから悲鳴が聞こえた。
「シュット様。な、何をしているのです」
刑務官が騒ぎ立て、またその一部は無惨に切り殺されていた。
「う、裏切り、者が」
「裏切りはいつもお前たちからだろう。これは正当な制裁だ。これからママルマラは我ら革新派の自由国家となるのだァ」
シュットはサーベルを掲げ叫んだ。更にそれに乗じてトリシムを始め、数十名の私兵たちが怒号を上げた。
血の革命。ずっと後にそう呼ばれる事になる、歴史の一ページが今、始まった。
シュットは、面会室から驚いて出てきたスフィアを躊躇いなくサーベルで指し示した。
「王女、私はあなたの味方だ。悪しき人形や賞金首ダランと関係を断ち、我ら革命軍にご参加頂きたい」
「え、賞金・・・首?」
スフィアはダランが賞金首とは、元から知らされていなかった。
「シュット、何がしたいのだ」
ダランは慌てず、しかし強い語気でシュットを問い詰めた。どう見ても、穏やかにゼロを返してくれなければ、ダランたちを許す気もない男には、そんな風にしか話せないのだろう。
「リーグイースト。冒険者でありながら賞金首に堕落した不届き者を、革命だからと見逃すなど本気で信じたか」
「かぁ。やっぱ、最低嘘つき野郎なんだな、てめェは」
「大盗賊。シュット様への侮辱はこのトリシム=カズーヒークへの侮辱。成敗を望むと同じと心得よ」
長牢獄は、ざわめき出した。
ジュコの長牢獄は、その名前に違わぬ長方形の牢獄だ。しかも、その長さは世界一と言われる。
世紀の犯罪集団クレイジー・ドーン、あるいは殺人竜人ホアナッド。これら収容すべき重犯罪者は全てジュコ送りになり、その度に増築されてきた。
その結果、「終わりの証」という別称を頂くほどに、ジュコは不名誉な場所という共通認識が培われてきたのだ。
「トリシム、今はよせ。命じられた事から果たすのだ」
「はっ、仰せのままに」
トリシムはダランたちがいる面会室側とは反対の向きに去っていった。
「さて、これから君たちと戦っても私は勝てる。実は私は強いからな。だがその前に1つ忠告しておこう」
シュットは出し抜けに、ダランたちにしたことを説明し始めた。
「
ダラン=リーグイースト。
スプスー。
ワルガー=ザン。
マジル=カヤルーサ。
そして、スフィア=ジルアファン。
これらの者には、ママルマラ転覆の
革命罪の容疑を手配した。
私のした事は、キミたちがした事だ。
私に代わり、永遠に責任を取りたまえ。
」
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