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魔法の剣
完成、魔法剣
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テックは、神託の庭に来ていた。
「よう、ババア。修行付けてくれるって聞いたんだけど」
「ああ、それならキジュアに頼んだんだぜ。あれでヤツは死神だったからな。しかも最近、出世して冥界神になりやがった」
「よく分からんが、大変だなババアも」
そしてテックはキジュアが最近、新たに創造したという世界への経路方陣を教えてもらった。経路方陣の描き方で、第三剣での転移先が決定する。いわば方陣の形が転移先の住所になるのだ。
帰る時は描かれた方陣がある場所に戻るだけなので、行きの方陣の模様が勇者にとっては重要なのである。
冥力の部室。
キジュアはそこにいた。前まではいかにも人間らしい見た目だったが、冥界神になったからか、牙や補眼―――いわゆる第三の眼が備わっている。
「テック、よく来たな。私を見てどう思う」
「いや、別に何も。早く修行してくれよ」
「ははは、まあそう焦るな。しかも、今回の修行だけでお前にも第七剣まで全て使えるようにしてやる」
「マジかよ。キジュア様、一生付いて行きます」
良いご褒美には正直なテックなのだった。
「よし、テック。今からお前に、強力な魔力を送り込む。お前に秘められた潜在的なチカラを一気に引き出すからな。ただし、副作用があるかもしれん。気分が悪くなったら言ってくれよ」
「えええ。ちょっと待て、いや待ってください。副作用あんの?」
「し、仕方ないだろう。今さら魂の剣を減らしても、バランスは元には戻らない。こちらが弱くなるだけなんだ。後は、お前が強くなるのが一番だろう」
「それなら俺1人で良くなかった?ねえ、どういうこと?ねえ」
「じゃあ、ちょっとフレイア様に相談してくるから待ってろ」
「出世したのにかよ!?」
「ふっ、キジュア。お前、死神どころか人間からやり直した方がマシなんだぜ」
フレイアによると、魔力を送り込むまでは正しいが、準備が必要なのだそうだ。
「普通、人間の肉体は、魔力を持てるマックスの限界がある。それをまず引き上げないと、無意味なんだぜ。それじゃどうするかっていうと、まあ、これを飲め」
そう言ってフレイアがテックに差し出したのは、小さな薬瓶だ。
「その名も神薬だ。ありがたく飲むんだぜ」
「ババアも人が悪いな。最初からくれよ」
「はは。キジュアが思ったよりダメでな」
「なっ、なんですと」
焦るキジュアを尻目に、テックは神薬を飲み干した。
「うわ、まっず。神様はみんなこんなの飲むのかよ」
「いや、急ぎのバカしか飲まないから味は知らんだぜ」
「くっ、悪かったなバカで」
「テック。フレイア様は正しいだろ」
「キジュアは出世をやりきれ」
なんだかんだで魔力の限界が高まったらしく、次はいよいよ魔力の注入だ。
「で、ババア。副作用あんの?」
「知らん」
「ぶ、ぶっ殺してえ」
「ええい、根性でなんとかしろ。テック、行くぞ」
キジュアが魔力をテックに注いで行く。死神になった時点で、人間を遥かに上回る魔力を持つため、他者に分け与えてもなんともないのだ。これが普通の人間なら、魔力が足りずに様々な病気になってしまう。
「うっ、・・・頭がクラクラする」
「やはり副作用なのでは。魔力を吐かせますか」
「いや、それくらいなら直に馴染むはずなんだぜ。多分」
それからテックは、魔力が自らの物として吸収されるまで普通の生活を送った。時間にして1週間ほどで、その間は過剰な運動は禁じられた。また、食事制限も付き、麦以外は食べてはならない生活を送った。
まだ制御しきれない魔力は、ほんの些細なコトで暴発する恐れがあったからだ。
「ババア、そろそろ良いだろ。魔法剣、全部教えてくれよ」
「うーん、本当はあと1ヶ月続けないと色々と安定しないんだぜ。でもまあ、いいか」
突貫作業みたいな修行だが、こうしてテックは魔力を限界まで高め、全ての魔法剣を使えるようになったのだった。
弓矢の第五剣・因果。
鉄球の第六剣・受。
円盤の第七剣・本気。
テックが思い描いたように、それぞれの魔法剣は召喚された。
「すげえぜ。これなら杖魔だろうが悪魔だろうがぶっ倒せるじゃん」
「わはは。テック、驚くなよ。剣の勇者は、今後更に増える」
キジュアはオーディンから、魂の剣を作る役目を授かっている。それをもってすれば、勇者は何人でも増やせるというのだ。
「じゃあ、俺じゃなくて良くない?」
「え?あ、ああ。そうかも」
「キジュアさーーん。言うの遅いって」
しかし、とにかくテックは魔法剣をマスターしたのだ。
そして、相手を強くしないで、反魔力だけを取り出す事に成功したキジュアの魔法剣なら、リスクなしに戦力を増やせる。
「我々の勝利は目前だ」
「まあ、そうだけどさ。なーんか、見落としてそうなんだよな」
「分からない事を気にしても無駄なんだぜ。テック、決戦に備えろ」
こうして、テックは剣の勇者としての修行を無事に終えたのだった。
「よう、ババア。修行付けてくれるって聞いたんだけど」
「ああ、それならキジュアに頼んだんだぜ。あれでヤツは死神だったからな。しかも最近、出世して冥界神になりやがった」
「よく分からんが、大変だなババアも」
そしてテックはキジュアが最近、新たに創造したという世界への経路方陣を教えてもらった。経路方陣の描き方で、第三剣での転移先が決定する。いわば方陣の形が転移先の住所になるのだ。
帰る時は描かれた方陣がある場所に戻るだけなので、行きの方陣の模様が勇者にとっては重要なのである。
冥力の部室。
キジュアはそこにいた。前まではいかにも人間らしい見た目だったが、冥界神になったからか、牙や補眼―――いわゆる第三の眼が備わっている。
「テック、よく来たな。私を見てどう思う」
「いや、別に何も。早く修行してくれよ」
「ははは、まあそう焦るな。しかも、今回の修行だけでお前にも第七剣まで全て使えるようにしてやる」
「マジかよ。キジュア様、一生付いて行きます」
良いご褒美には正直なテックなのだった。
「よし、テック。今からお前に、強力な魔力を送り込む。お前に秘められた潜在的なチカラを一気に引き出すからな。ただし、副作用があるかもしれん。気分が悪くなったら言ってくれよ」
「えええ。ちょっと待て、いや待ってください。副作用あんの?」
「し、仕方ないだろう。今さら魂の剣を減らしても、バランスは元には戻らない。こちらが弱くなるだけなんだ。後は、お前が強くなるのが一番だろう」
「それなら俺1人で良くなかった?ねえ、どういうこと?ねえ」
「じゃあ、ちょっとフレイア様に相談してくるから待ってろ」
「出世したのにかよ!?」
「ふっ、キジュア。お前、死神どころか人間からやり直した方がマシなんだぜ」
フレイアによると、魔力を送り込むまでは正しいが、準備が必要なのだそうだ。
「普通、人間の肉体は、魔力を持てるマックスの限界がある。それをまず引き上げないと、無意味なんだぜ。それじゃどうするかっていうと、まあ、これを飲め」
そう言ってフレイアがテックに差し出したのは、小さな薬瓶だ。
「その名も神薬だ。ありがたく飲むんだぜ」
「ババアも人が悪いな。最初からくれよ」
「はは。キジュアが思ったよりダメでな」
「なっ、なんですと」
焦るキジュアを尻目に、テックは神薬を飲み干した。
「うわ、まっず。神様はみんなこんなの飲むのかよ」
「いや、急ぎのバカしか飲まないから味は知らんだぜ」
「くっ、悪かったなバカで」
「テック。フレイア様は正しいだろ」
「キジュアは出世をやりきれ」
なんだかんだで魔力の限界が高まったらしく、次はいよいよ魔力の注入だ。
「で、ババア。副作用あんの?」
「知らん」
「ぶ、ぶっ殺してえ」
「ええい、根性でなんとかしろ。テック、行くぞ」
キジュアが魔力をテックに注いで行く。死神になった時点で、人間を遥かに上回る魔力を持つため、他者に分け与えてもなんともないのだ。これが普通の人間なら、魔力が足りずに様々な病気になってしまう。
「うっ、・・・頭がクラクラする」
「やはり副作用なのでは。魔力を吐かせますか」
「いや、それくらいなら直に馴染むはずなんだぜ。多分」
それからテックは、魔力が自らの物として吸収されるまで普通の生活を送った。時間にして1週間ほどで、その間は過剰な運動は禁じられた。また、食事制限も付き、麦以外は食べてはならない生活を送った。
まだ制御しきれない魔力は、ほんの些細なコトで暴発する恐れがあったからだ。
「ババア、そろそろ良いだろ。魔法剣、全部教えてくれよ」
「うーん、本当はあと1ヶ月続けないと色々と安定しないんだぜ。でもまあ、いいか」
突貫作業みたいな修行だが、こうしてテックは魔力を限界まで高め、全ての魔法剣を使えるようになったのだった。
弓矢の第五剣・因果。
鉄球の第六剣・受。
円盤の第七剣・本気。
テックが思い描いたように、それぞれの魔法剣は召喚された。
「すげえぜ。これなら杖魔だろうが悪魔だろうがぶっ倒せるじゃん」
「わはは。テック、驚くなよ。剣の勇者は、今後更に増える」
キジュアはオーディンから、魂の剣を作る役目を授かっている。それをもってすれば、勇者は何人でも増やせるというのだ。
「じゃあ、俺じゃなくて良くない?」
「え?あ、ああ。そうかも」
「キジュアさーーん。言うの遅いって」
しかし、とにかくテックは魔法剣をマスターしたのだ。
そして、相手を強くしないで、反魔力だけを取り出す事に成功したキジュアの魔法剣なら、リスクなしに戦力を増やせる。
「我々の勝利は目前だ」
「まあ、そうだけどさ。なーんか、見落としてそうなんだよな」
「分からない事を気にしても無駄なんだぜ。テック、決戦に備えろ」
こうして、テックは剣の勇者としての修行を無事に終えたのだった。
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