創世樹

mk-2

文字の大きさ
211 / 223

第210話 終結の繭

しおりを挟む
 ――一方。エリーを追ってガイたちも必死に創世樹内部を上へ、上へと駆け上っている最中だった。




 だが、最初に創世樹を見た時以上の謎にガイたちは触れていた。




「――せいッ!! りゃあッ!!」




 ――二刀を振るい、飛び上がりながら、ガイは鋭く刺しに来る木枝や絞め殺そうと伸びて来る触手を叩き斬っていった。その斬った感触と断面に、彼は違和感を覚えた。




「――機械!? こりゃあ、機械じゃあねえのか――――!?」




 ――斬った手応えは、樹木のそれではなく、鉄骨のようなそれだった。機械仕掛けのロボットでも斬ったような手応えだったのだ。





「――確かに、機械のように感じるな……『創世樹』と聞いてずっとでかい樹だと思っていたが……機械なのか…………!?」




 セリーナも練気チャクラの龍に乗り、迫り来る木枝と触手を大槍で払ったり突いたりしていたが、ガイが感じたものと同様機械のような手応えだった。





「――今まで、創世樹と聞いて思い込んでいたが……思えば生命の刷新進化アップデートから始まり、グロウとアルスリアを初期化修復システムリカバーする機能、創世樹にプログラムされたかのような『養分の男』と『種子の女』の本能。そして創世樹自体の『セキュリティ』…………まさか、創世樹は純然たる生命体ではなく巨大なコンピューターなのか!? 人工物…………?」




 テイテツも戸惑いながらも光線銃改ブラスターガンネオで木枝と触手を焼き払いつつ、上を目指す。




 イロハは、さすがに相手が木枝や触手ではハンマーで打ちづらいので、ハンマーをカプセルに仕舞い、腰に備えていた大型ナイフに練気の電磁圧を通して対応していた。




「――確かに、こいつらどっちかっつーと植物より金属っス! ウチの電磁圧を込めたナイフで斬ると、纏めてスパークしたように壊れていくッスよ!! ここ、ホントに一体何なんスか――――!?」





 ――訳のわからない疑念は焦燥を生み、戸惑う一行。





「とおッ!! ――ここであれこれ考えてもしょうがねえ! とにかく上だ! 上を目指すんだ!!」





 ――この場で何か思案しても無意味。そう判断したガイは全員に号する。皆も納得したのか、邪魔しに来る木枝や触手は切り払い、焼き払い……とにかく上層を目指すことにした。





 <<





「――さあ…………とうとう辿り着いたよ。ここがこの創世樹の中核であり、『養分の男』と『種子の女』が融合を果たして創世樹を完全に発動させる部屋であり――――そして君と私が初夜を迎えるベッドルームさ。」





「――ここが…………。」





 アルスリアとグロウの眼前には、巨大な種籾とも、巨大な繭とも似付かぬ大きく、そして柔らかな質感を感じる碧色の物体が光を放っていた。





「――――ああ…………とうとう、この瞬間だ。私にとっての悲願だ。君とひとつになる。ひとつになって、この星を作り変えるんだ――――人間をはじめ、生命の存在しない、死の星へ。さあ……共に行こう…………。」




「………………。」




 ――アルスリアに手を引かれ、グロウも歩き出す。




 お互いに危害を加えられないのであれば、もはやこれ以上講じる手立ては無い。アルスリアとの融合を以て、彼女の邪念に対しグロウ自身の精神の抵抗に全てを賭けるしかなかった。





 身体は、もう目の前の繭を求めているようだ。自然と吸い寄せられるように足が動く――――





「――――さあ、入ろう。私と君の、永遠の世界へ――――。」





 物言わぬ繭のような目の前の『ベッドルーム』。アルスリアもグロウも、共に招かれるまま――――その身を繭の中に埋めた――――。





 <<




 ――一方。ガイたちは何とかエリーに追いついた。エリーの後ろ姿を見つけ、声を掛ける。





「――エリー!! 無事だったか!! すぐにグロウを助け――――エリー?」




 ――ただ疲労しているだけではない、エリーの後ろ姿。やや暗い空間に各々の目が慣れ、光景が見えて来る――――




「――――うげっ。この真っ黒い炭くずになってんの…………エリーさんがやったんスか?」





 エリーは、伏した目で答える。





「…………そうよ。あいつが……昔の、アナジストン孤児院にいた頃のあたしをコピーして、襲わせたの――――もう、あんな悲劇は誰にも味わわせないと固く誓ったつもりだったのに――――。」





「――むっ……これは…………原型を留めていないが、確かにエリーと共通の遺伝情報――――!!」





 ――科学者として生体実験などのえげつない行ないを繰り返してきたテイテツですらも……悪臭を放ち、筆舌に尽くし難いほどに傷んだエリーの模倣生物クローンたちの死骸を見て、吐き気を催した。




 心中を察し、セリーナも声を掛ける。





「――エリー…………惨いことになったな。よく耐えた。すぐに――」





「――すぐに、グロウを助けに行こう。もうあたしらには悲しみに浸っている暇も無いの。」




 エリーは顔を上げ、頭上を睨んだ。創世樹全体が揺れ震え、上層部の繭はどんどんと肥大化していた――――創世樹による世界変革カタストロフィまでもう一刻も無い。





「――あの、変な塊の中にグロウが…………今行くわ、グロウ!!」





 ――エリーは、さらに己の限界を超える練気を高め、肥大化する繭へと飛びついた――――
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。 だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。 失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。 どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。 「悪女に、遠慮はいらない」 そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。 「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。  王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」 愛も、誇りも奪われたなら── 今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。 裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス! ⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...