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220:くじ引き
しおりを挟む8つの領国、従者は護衛を入れて75名。
40名が参加。師匠を入れると41名。
王都からは中央院10名、資産院5名、生産院5名、
天秤院6名、軍部が67名、王都にいるものほぼすべて。
4軍はあの後すぐに解散となっている。
なので、今回の功績によっては4軍の副隊長になれる。
隊長のおじいちゃんは実質引退。
4軍再編成であらたに隊長を決めるようだ。
総勢134名。
ラルトルガのように寄せ集めたものばかりではない。
4軍のようなものもいない。みな腕に覚え有りだ。
それぞれが趣向を凝らした衣裳を着ている。
うちだけだったらかなり浮いているもの。
トックスさんの話では布屋が布屋ではなかったと。
丈夫な皮はほぼ皆無だったらしい。
それでも、トックスさんの求めるレースや絹はあったので
満足な買い物はできたそうだ。
お針子も総動員で各領国の衣裳を仕立てたとか。
そのあとの懇親会用のドレスの注文もすごかったらしい、と。
よかった、トックスさんを確保できて。
そのときにさりげなく流行りを聞いてきたらしく、
マティスと手合わせをしている間にヘッドドレスを作ってくれた。
サファイヤが散りばめてあり後ろの花びらのレースにつながるようなデザインだ。
毛皮の羽織を着ても邪魔にはならない。
「いいだろ?」
慰労会に着ていく服も手持ちの服からそれぞれにアレンジを加えて作ってくれていた。
男前です!トックスさん。
マティスも満足そうだ。
準備万端。
いざ開戦!
大技場は満員御礼。
トックスさんも観客席で見ているだろう。一般席、王族、貴族、領国と席が分かれている。
134人分のくじ引きから始まる。
これは誰が作ったのと聞くと、中央院だそうだ。
雑務もこなす。なるほど。
134の番号が付いた札がランダムに手元に来る。
石使いだ。しかし、これ、不正し放題だよね?
1番を誰に飛ばすか、自在だもの。
案の定、コットワッツは129・130・131・132・133。
134は?と思えば1番副隊長だ。
彼が一番強いとされているんだ。
では、われわれは強いと認識されたのか?ならば良し。
ここで、コットワッツのモテ期到来だ。
1番から指名していくのだが、
1番の2番隊長がマティスを指名、2番の3番隊長、ああ、ややこしいな、が
ルグを指定。
後は指名パスか、コットワッツの誰か、軍部では2番隊長、3番隊長が多い。
そりゃそうだ、だって名前知らないんだもの。
マティスは結構有名なので、指名者は多い。
ルグもセサミンが宣伝していたおかげで多い、ドーガーも名前は出ないが次席指名と来る。
師匠は資産院5名から指名をもらった。師匠は嬉しそうだ。ちょっと怖い。
他の領国で交流があるのか、ちらほらと指名者がでて、知っているものは知っているのだろう、
おお!という声も上がる。
そしてわたしも多いのだ。領国参加の女性全員8名、生産院の5名、あと軍部の人たち、17名。
副隊長以外で3名以上の指名を受けているのはコットワッツだけだ。
「師匠、これどうやって組み合わせるの?」
「お互いを指名しあえば、まずはその組み合わせからですね。」
「マティスが2番さん指名すればすぐってこと?」
「そうです。」
「じゃ、指名された人たち全員と順番に?」
「そうなりますね。ちょっと面倒ですね。」
「まとめて逆指名はできないのかな?」
「ああ、いいですね。それ。そうしましょう。」
「次!129番 指名を!」
「はいはい。129番、コットワッツに出向中の資産院ワイプ。
わたしを指名してくれた資産院5名を指名します。複数指名は禁止されてませんから。」
おお!!声が上がる。
マティスとルグたちがこれに続く。
「130番、コットワッツ マティス。2番隊長以外の指名者全員だ。」
「131番、コットワッツ ルグ。3番隊長以外の指名者全員。」
「132番、コットワッツ ドーガー。指名者全員。」
大歓声。コットワッツは団体戦が得意だという話が流れている。
ラルトルガの話だろう。
「次!133番 指名を!」
『133番、コットワッツ モウ。わたくしを指名していただいた皆さま全員を
指名いたします。』
30名一番人数が多い。ちんたらやってられない。
コットワッツの連中は間抜けだという声も聞こえる。
間違いではないな。
「最後!134番 指名を!」
1番副隊長だ。
「誰も指名しなかったもので指名もされなかったもの全員と、コットワッツ モウ殿と」
そうなのだ。指名なしで自分も指名されなければ、20名の中に残る可能性は高い。
それを1番さんは一掃するということだ。だから最後か。
落胆した声が聞こえる。それでも、20名の総当たりに出る気はあったんだからそれなりの腕はあるのだろう。
やっぱりこの順番は決まっていたんだ。
しかし、そこになぜにわたしがはいる?
「当然でしょう?このなかで、実戦で誰が一番強いかとなれば、マティス君か、ま、わたしかですが、
試合方式だとモウ殿でしょうね。」
「そうかー。マティス、いい?」
「もちろん、かまわない。勝つかどうかはわからないが、
良い相手だ。引く時は引く。それでいい。」
「はい、マティス師匠。」
久々にマティスを師匠と呼んだ。マティスも師匠なのだから。
「ワイプ、聞いたか?やはり、私が師匠なのだ。お前は棒術のみだ。」
「はいはい、そうですね。では、モウ殿はなにで戦いますか?
彼はなんでもありの人ですよ。」
「じゃ、こちらもなんでもありで。」
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