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349:おかげさまで
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月が沈む前、マティスとわたしは起き出して、
台所を借りている。
朝ごはんはホットケーキだ。
テムローサが喜びそうだ。
「愛しい人は子供が好きなのか?」
「んー?難しい質問だね。子供は全般にかわいいと思うよ。
可愛がりたいとおもう。あのカップ君も含めてね。
あははは!カップ君も子供だね。
でも、軍部のあの子たちはちょっとね。子供らしい子供が好きだな。
ああ、自分の子供とかそういうのとは違うな。
可愛らしいものが好きなんだ。だからマティスも好き!」
「?」
「マティスはかわいいから。ん、ん、んって。」
「あなたは!!
よく恥ずかしげもなくそういうこと月が沈んでから言える!!」
「ぐふふふふ。ほら、顔を真っ赤にしてるマティスがかわいい。」
こういう時はわたしのほうが強い。
が、これ以上やるとマティスからの攻撃で、
わたしが瀕死になるからこれ以上はダメだ。
「ほら、テムローサが起きてきた。ホットケーキ焼いて?
わたしはコーヒーを入れよう。」
「・・・覚えて置きやがれ!」
「くふふふふ。もちろん。」
「モウさん!」
「かわいいテムローサ、おはよう。」
「オハヨウ?」
「そ、月が沈んだらいう挨拶。」
「おはよう!モウさん!」
「うふふ。髪を結ってあげよう。こっち座って。」
「はい!」
「どうしようかな?今日は勇ましいテムローサだから邪魔にならないように、
編み込みで行こうかな。」
少しきつめに編み込んで、後ろに流す。
赤い大きなリボンを付けると、ほら、ますますかわいい。
「あの、あとで、友達にも教えてくれますか?」
「もちろん。なかなか自分ではできないからね。友達にしてあげて、
自分は友達にしてもらえばいい。さ、月が沈んだら軽く食事をするんだ。
食べよう。」
パルナさんも起きてきて、一緒に。
「最初の村でも軽く食べますね。少し作業が終わってからですが。」
「そうですね。一日が短いといいんですが、長いとおなかがすきますから。」
自分で言って気付いたよ。
今は1日が36時間?それが一食なんて死ぬ。
12時間でも一食では死ぬ。
村の入口に向かうと村長が声を掛けたのだろうゾロゾロと
男衆が集まってくる。
その間にテムローサの友達も集まって、髪の編み込みを教える。
子供もみな仲良しのようでたのしく遊んだ。
髪ゴムはたくさんあるので、その子たちにもプレゼントした。
嬉しそうだ。
そろそろ集まったかと廻りをみると、
確実に大人の女の人も集まっている。
「村長さん?女の人も豚狩り?」
「違います。その男衆を見に?会わずの月の日も近いし、雨の日が近いから。」
「ああ!見定めるんだ!」
「そうですね。みな張り切っています。」
一番村に近い大きな林で狩りを行うことになった。
女の人たちは見送って村で待っている。
モウさん、テム、頑張って!と女の子たちから声援をもらう。
女性陣は厳しい顔だ。
お目当ての男が手ぶらで帰ってきたらがっかりという奴だ。
みんな殺気立っているからますます豚は巣から出てこない。
この時期に豚が狩れないのはそれも関係しているのでは?と思ってしまった。
「みな!今日はあの豚の狩り方をこのお二方が教えてくれる!
そうだ!あの青いアヒル、ぶは!失礼、そのお二方だ!
さ!ティスさん、モウさん!教えてください!」
ここでは青いアヒルの2人で通るようだ。
こんな場合話すのはわたしの役目。
「みなさん。まずは、深呼吸。スーハーと。
そんなに殺気立ってたらダメです。静かに、シー。そうそう。
テム!そこから、10歩離れて、うん、そこ。槍で地面を叩いてごらん?
そら、出た!ハッ!!」
真正面に飛び込んできた豚を正面突き。
おお!!!と歓声だ。
「理屈はこんな感じ。巣穴もなかなか見付にくいのかな?
じゃ、何人かの組になって、誰かが、地面を叩く。驚いた豚は巣穴にから飛び出る。
そこにいたものが仕留める!これで行ってみよう!!交代でね。
槍は刺すのでなく叩きつけろ!
待ってる女どもにいいところを見せてやれ!
行くぞ!野郎ども!!エイエイエオー!!!」
「オーーー!!!」
「テム!テムローサおいで!わたしたちは2人で狩ろう。
ティスは危なくないように、それとなく巣穴の場所を教えてあげて?
みなが1匹は取れるように。」
「わかった。」
わたしたちはちょっと離れたところで、
昨日の教えてもらった腐らない木、イペーロの木を探す。
「これですよ。ビルに似てるけど、ちょっと赤っぽいのが特徴で、
葉が大きい。」
「おお!これか!へー。よし、覚えた。じゃ、豚を狩ろうか?
テムローサなら豚の気配はわかるだろ?土の下で、息をしているような気配。」
「・・・・。あ、これ?はい、わかります。そうか、これか。」
「その近くに地面が廻りとちょっと違う感じ、そう、それ、それが巣の出入り口。
わたしがやって見せるから見てて。」
なんて、マティスに教わったことをそのまま教えている。
ドン!
飛んで、撃つ。
「こんな感じね。」
「すごい!」
「やってみ?後ろに飛ぶのはちょっと馴れがいるから、
前に飛んで、槍先で頭を叩けばいい。」
「はい!」
これがなかなか難しい。
出入口は複数あるようで違う出口から一目散と逃げていくこともある。
その場合はわたしが。
ドンピシャだとしても、ジャンプ力があと少し足りない。
槍を長く持つと遅くなり、威力も落ちる。
2人ですれば問題ないがテムローサは一人で狩りたいようだ。
「槍を投げる?反対の出口の方に刺せばうまく誘導できるかな?」
「はい!!」
少し短めの槍を構え投擲。
グサ!
ピギ!
バシ!
巣に刺さり、驚き、出てきたところを叩く。
「やった!」
この方法で落ち着いた。
「上出来上出来!
ま、村の人と連携すればいいんだけど。」
「・・・あまりわたしと一緒に狩りはしません。わたしの方がうまいから。」
「あはははは!そうなるのか。仕方がないね。
男は男でいろいろあるんだろうな。テムは天性がある。それに努力もしている。
ねたまれることもあるだろうけど、正々堂々としてればいい。」
「はい!」
「全部で5頭。気配が分かるから、こんなもんだろう。
もうすぐ半分だ。もどろうか。」
「いつもより多いです!」
最初に集まったちょっとした広場に戻るが、
まだ誰もいない。遠くでわーわーという声が聞こえる。
(マティス?どう?)
(まずまずか。一人1匹以上は狩っている)
(そうか。こっちは5頭だよ)
(さすがだな。こちらも終わろう)
「ティスさん!モウさん!大収穫ですよ!わたしも狩れましたから。」
みんな喜んでいる。
村に戻ると女性陣も満足げだった。
用意してもらった荷車に荷物を積んでもらっているあいだ、
軽くテムローサと手合わせをする。槍と槍だ。
前回より動きが速い。
「参りました!」
「いや、前回よりすごいね、
テムローサは成長が速いよね。若さだね。うん。ね?ティス?」
「ああ、あとは体力と基本の力が付けばいい。焦らずニックの教えをこなせばいい。」
「はい!」
見ていたギャラリーから拍手をもらってテムが照れている。
かわいいな。
荷物がそろったので出発。
食の祭りにはわたしも馬相手に店をすると宣伝だけしておく。
ちょっとバタバタしたが仕方がない。
最初の村に向けて出発だ。
完全に村から離れると、収納。
国境まで移動してよいしょと超えて、
最初の村の手前まで移動した。
荷車を引いているのはマティスだけ。
わたしは荷台の上で、樹石の軽石状態のもので、置き式の樹石入れを作る。
今あるテーブルの下に置けばいい。
テーブルの廻りは魚の皮で塞ぐ。
テーブル式のこたつだ。
うん、この方法もセサミンに報告。
門の前つくと前回と同じように村長さんが
こっくりこっくり、転寝しながら守衛の仕事をしていた。
「村長さーん!」
「ん?あんたたちか!よく来た!おお!今回も行商か?
ありがたいな!まだ月が昇るまでだいぶある。
先に売ってしまうか?泊っていくだろう?」
「ええ、お願いします。」
まずは村長さんちにいって、休憩。
荷は氷室に。
すれ違う人はみな元気そうだ。
また鐘を鳴らすから集まってくれと声を掛ける。
ああ、楽しみだと言われた。
「奥さーん!!」
「あれ?あらあら!また来てくれたのね!うれしいわ!
お茶にしましょう。」
「ありがとうございます。」
あれから、デイからの行商に卵と乳を必ず持ってきてくれと頼んだが、
その時は早馬になるので、少しお高めになるそうだ。それは仕方がないね。
冷蔵馬車、揺れない馬車、ここにも需要がある。
「これ、前に出してもらった甘煮の豆がおいしくて、
わたしも作ってみたんです。
米をつぶして丸めたものと一緒に食べてみてください。」
小さくしているので喉に詰まらすことはないだろう。
ぜんざいだ。
「ま!おいしいわ!」
「よかった。ここの豆がいいからですよ。
甘煮の作り方は一緒なんで、今度コットワッツである食の祭りに出したら?」
「ここから出すものがないから、見に行くだけでも行ってみようって話になっているんだ。
プリンの本場だろ?楽しみにしているんだ。」
ああ、ハードルがどんどん上がる。
プリンアラモードだな。
「しかし、いいな。参加するのも。これはここの豆だろ?
この白いのは?」
「これは米です。ここでも作ってるでしょ?粘りがあるからちょうどいいですよ。」
御餅の作り方も説明。
あとはアレンジしていただきたい。
イリアスも参加してもいいけど、頑張ってっていう結構自由な感じなので、
参加の通知はとりあえず出すとのこと。
マティスと奥さんがお餅作り、ぜんざいを作っている。
村長さんとわたしは、それを見ている。そういう分担なのだ。
「村長さん、井戸の方は?」
「ああ、毎日汲んでいる。枯れない。凍ることは凍るが樹石と砂漠石のおかげで、
すぐに溶ける。改めて礼を言わしてくれ。ありがとう。」
「うん。井戸を作ったのは村長さんだから。それがあるからこそなんだよ。
で、そのおかげ、おかげ様でっていうのも大事。
でね、その樹石。コットワッツでも出たの。」
「へー。そうなんだな。湿地にあるということだな。
しかし、使わないだろう?あんたは知らないかもしれないが、
泥のなかから取るのは若いものは嫌がる。樹石取りに若い奴はいない。
それに、砂漠石の方が使いやすいからな。
ここの村のものが何人かやってるんだ。
樹石は安いから使っているんだ。貧乏人が使うんだよ。」
「あははは。そうなんだ。樹石ね。ニバーセルである次の会合で
コットワッツが大体的に発表するよ。便利な燃料として。」
「・・・コットワッツ?よく知らんがあれだろ?若き領主と言われてる?
領主を継いだのは20そこそこだと聞いたぞ。わるいが、物をしらないのか?
俺のように笑われるだけだぞ?」
「うふふふふ。でも、井戸を作ったことは間違いじゃなかったでしょ?」
「そうだが、それはあんたがいたからだ。!なんかあるんだな?」
「うん。これ、コットワッツの樹石。ここのよりちょっと小さいかな?見て?」
手のひらに少し小さめの樹石を置く。
「小さいな。しかし、これは樹石だ。」
上にわたしの手を置き、バルスではないが、
「暖かく。」
「!!」
「もういいよ、ありがとう。」
「!!!」
「ね?便利でしょ?暖炉にも使える。
最初の一つは燃やして、白くなったものと一緒に入れて
この温度を保ってって。結構長持ちする。
お風呂にも燃やしたものを入れるんじゃなくて、
温めてって。着替えを用意している間にお湯になってる。
そのままその温度を維持してもらえばいい。
使え終わればもいいよって、ありがとうって。
砂漠石の熱に特化したものだと思えばいい。
ね?これ、便利でしょ?売れると思わない?
コットワッツ領主は会合で発表するまえに、
ここ、イリアスの領主と話をするはずだ。
コットワッツの湿地はここと比べれば小さいからね。
取りつくせばなくなるだろう。
しかし、便利なものを知ったら人は手放せない。ゆくゆくはイリアスの樹石を
砂漠石を買うように皆が買い始める。
その前に、お世話になった村長さんには教えておきたかったの。
先に取れるだけ取っておけばいい。買占めがあったり、樹石が高騰して
普段使っている人が困るのはよくないからね。」
「すごいぞ!!」
「ああ、手放しに喜ばないで!考えることはいっぱいなんだよ。
コットワッツもここイリアスの領主も賢い人なんだ、あなたもね。
コットワッツでは願うだけで暖かくなるのを防ぐために、油紙で巻いたり、
ただの石を樹石だと偽って売らないように封印することまで考えている。
コットワッツの人間より樹石の扱いになれてるとは思うけど、
大人はいいよ?子供が樹石をもって熱く!っていうだけで火傷してしまう。
それも考えないとね。
認識の違いがあるから、ここはここでの危険性を認識させないと。」
「そうだな、ああ、そうだ。」
「それにね。これ。使い切った樹石で軽石ね、それで作った入れ物。
これに、樹石を入れるでしょ?で、暖かくって。」
「ああ、あたたかいな。」
「うん、これを足元に置いて、ああ、脚のっけても大丈夫よ。
暖炉には元の火があるから温度が上昇するけど、
この中に入れておけばそこまでいかない。
で、魚の皮ね。」
しまった。どうやって取り付ける?
「どうした?」
「んー、これ、ぐるっと縁に付けたい。」
「?とりあえず、釘を打つか?」
「ああ、そうなるか。うん。お願いします。」
釘を打ち付けてもらう。
引っ掛けられるように考えてもらえばいいか。
「こうか?」
「そうそう。で。あ!椅子の後ろから逃げる!ここ、ここにも打ち付けて!」
「はいはい。」
む!孫がわがままを言って、
それを言われるがままにしてくれるおじいちゃんのようだ。
いや、村長さんはそんな年齢ではないのだけれど。
「・・・いま、ものすごく子供扱いしたでしょ?」
「わはははは!そうだな。したな。」
「もう!うん、4つともね。じゃ座って!マティス!奥さんも座って!」
いきなり大工仕事を始めたのをみていた2人だが、
だまって座ったくれた。
もちろん、ぜんざいは出来上がっている。
「「「「はー。」」」」
「ね?いいでしょ?これ、こたつっていうの。
下に座るのと、ちょっと台を汲んでその上に座る掘りごたつと
このテーブルタイプ。
椅子に座るほうが楽な人はこれかな?魚の皮も取外しが聞くようにすればいい。
ね?いいでしょう。」
奥さんは手放しで喜んでいる。
懐炉もだ。
「これ、村長さんのほうで発表してくれる?」
「これも売るんじゃないのか?」
「いや、売れるもんでもないでしょ?足元の形ももっと考えないといけないし、
魚の皮を釘で売ってるんだよ?もっと完成されてるんなら商売になるけど
この段階ではね。ああ、コットワッツで売り出す予定のこたつは
もっと考えているよ。温度調整ができたり、この魚の皮に代わるものとかね。
ここからはこっちで考えて?」
「これは売れる。しかし、まずはこの村で皆が使えるほうがいいな。」
「そうそう。それよ。みんなが知っていれば隠匿もできないからね。
でも、問題もある。これ、なかなか外に出る気がしないの。」
「ああ、そうだな。もうそろそろ鐘を鳴らさないと。」
「ね。ああ、この足元にあるものを火鉢にしてもいいよ。」
「ひばち?」
「うん。こうね。」
いやいやながらもこたつから出て、
背負子から火鉢を出す、振りをする。
砕いた軽石もいれて、火鉢。
あー、あったかい。御餅焼きたい。
「おーい!ライバー?まだ始まらないのか?」
呼びに来るまでまたまったりとしてしまった。
慌てて準備だ。
マティスと奥さんは50人分のぜんざいをつくったのだが、
器をまた揃えないといけない。
それは各自持ってきてもらおう。
広場にまた魚の皮を敷き詰めた。
台所を借りている。
朝ごはんはホットケーキだ。
テムローサが喜びそうだ。
「愛しい人は子供が好きなのか?」
「んー?難しい質問だね。子供は全般にかわいいと思うよ。
可愛がりたいとおもう。あのカップ君も含めてね。
あははは!カップ君も子供だね。
でも、軍部のあの子たちはちょっとね。子供らしい子供が好きだな。
ああ、自分の子供とかそういうのとは違うな。
可愛らしいものが好きなんだ。だからマティスも好き!」
「?」
「マティスはかわいいから。ん、ん、んって。」
「あなたは!!
よく恥ずかしげもなくそういうこと月が沈んでから言える!!」
「ぐふふふふ。ほら、顔を真っ赤にしてるマティスがかわいい。」
こういう時はわたしのほうが強い。
が、これ以上やるとマティスからの攻撃で、
わたしが瀕死になるからこれ以上はダメだ。
「ほら、テムローサが起きてきた。ホットケーキ焼いて?
わたしはコーヒーを入れよう。」
「・・・覚えて置きやがれ!」
「くふふふふ。もちろん。」
「モウさん!」
「かわいいテムローサ、おはよう。」
「オハヨウ?」
「そ、月が沈んだらいう挨拶。」
「おはよう!モウさん!」
「うふふ。髪を結ってあげよう。こっち座って。」
「はい!」
「どうしようかな?今日は勇ましいテムローサだから邪魔にならないように、
編み込みで行こうかな。」
少しきつめに編み込んで、後ろに流す。
赤い大きなリボンを付けると、ほら、ますますかわいい。
「あの、あとで、友達にも教えてくれますか?」
「もちろん。なかなか自分ではできないからね。友達にしてあげて、
自分は友達にしてもらえばいい。さ、月が沈んだら軽く食事をするんだ。
食べよう。」
パルナさんも起きてきて、一緒に。
「最初の村でも軽く食べますね。少し作業が終わってからですが。」
「そうですね。一日が短いといいんですが、長いとおなかがすきますから。」
自分で言って気付いたよ。
今は1日が36時間?それが一食なんて死ぬ。
12時間でも一食では死ぬ。
村の入口に向かうと村長が声を掛けたのだろうゾロゾロと
男衆が集まってくる。
その間にテムローサの友達も集まって、髪の編み込みを教える。
子供もみな仲良しのようでたのしく遊んだ。
髪ゴムはたくさんあるので、その子たちにもプレゼントした。
嬉しそうだ。
そろそろ集まったかと廻りをみると、
確実に大人の女の人も集まっている。
「村長さん?女の人も豚狩り?」
「違います。その男衆を見に?会わずの月の日も近いし、雨の日が近いから。」
「ああ!見定めるんだ!」
「そうですね。みな張り切っています。」
一番村に近い大きな林で狩りを行うことになった。
女の人たちは見送って村で待っている。
モウさん、テム、頑張って!と女の子たちから声援をもらう。
女性陣は厳しい顔だ。
お目当ての男が手ぶらで帰ってきたらがっかりという奴だ。
みんな殺気立っているからますます豚は巣から出てこない。
この時期に豚が狩れないのはそれも関係しているのでは?と思ってしまった。
「みな!今日はあの豚の狩り方をこのお二方が教えてくれる!
そうだ!あの青いアヒル、ぶは!失礼、そのお二方だ!
さ!ティスさん、モウさん!教えてください!」
ここでは青いアヒルの2人で通るようだ。
こんな場合話すのはわたしの役目。
「みなさん。まずは、深呼吸。スーハーと。
そんなに殺気立ってたらダメです。静かに、シー。そうそう。
テム!そこから、10歩離れて、うん、そこ。槍で地面を叩いてごらん?
そら、出た!ハッ!!」
真正面に飛び込んできた豚を正面突き。
おお!!!と歓声だ。
「理屈はこんな感じ。巣穴もなかなか見付にくいのかな?
じゃ、何人かの組になって、誰かが、地面を叩く。驚いた豚は巣穴にから飛び出る。
そこにいたものが仕留める!これで行ってみよう!!交代でね。
槍は刺すのでなく叩きつけろ!
待ってる女どもにいいところを見せてやれ!
行くぞ!野郎ども!!エイエイエオー!!!」
「オーーー!!!」
「テム!テムローサおいで!わたしたちは2人で狩ろう。
ティスは危なくないように、それとなく巣穴の場所を教えてあげて?
みなが1匹は取れるように。」
「わかった。」
わたしたちはちょっと離れたところで、
昨日の教えてもらった腐らない木、イペーロの木を探す。
「これですよ。ビルに似てるけど、ちょっと赤っぽいのが特徴で、
葉が大きい。」
「おお!これか!へー。よし、覚えた。じゃ、豚を狩ろうか?
テムローサなら豚の気配はわかるだろ?土の下で、息をしているような気配。」
「・・・・。あ、これ?はい、わかります。そうか、これか。」
「その近くに地面が廻りとちょっと違う感じ、そう、それ、それが巣の出入り口。
わたしがやって見せるから見てて。」
なんて、マティスに教わったことをそのまま教えている。
ドン!
飛んで、撃つ。
「こんな感じね。」
「すごい!」
「やってみ?後ろに飛ぶのはちょっと馴れがいるから、
前に飛んで、槍先で頭を叩けばいい。」
「はい!」
これがなかなか難しい。
出入口は複数あるようで違う出口から一目散と逃げていくこともある。
その場合はわたしが。
ドンピシャだとしても、ジャンプ力があと少し足りない。
槍を長く持つと遅くなり、威力も落ちる。
2人ですれば問題ないがテムローサは一人で狩りたいようだ。
「槍を投げる?反対の出口の方に刺せばうまく誘導できるかな?」
「はい!!」
少し短めの槍を構え投擲。
グサ!
ピギ!
バシ!
巣に刺さり、驚き、出てきたところを叩く。
「やった!」
この方法で落ち着いた。
「上出来上出来!
ま、村の人と連携すればいいんだけど。」
「・・・あまりわたしと一緒に狩りはしません。わたしの方がうまいから。」
「あはははは!そうなるのか。仕方がないね。
男は男でいろいろあるんだろうな。テムは天性がある。それに努力もしている。
ねたまれることもあるだろうけど、正々堂々としてればいい。」
「はい!」
「全部で5頭。気配が分かるから、こんなもんだろう。
もうすぐ半分だ。もどろうか。」
「いつもより多いです!」
最初に集まったちょっとした広場に戻るが、
まだ誰もいない。遠くでわーわーという声が聞こえる。
(マティス?どう?)
(まずまずか。一人1匹以上は狩っている)
(そうか。こっちは5頭だよ)
(さすがだな。こちらも終わろう)
「ティスさん!モウさん!大収穫ですよ!わたしも狩れましたから。」
みんな喜んでいる。
村に戻ると女性陣も満足げだった。
用意してもらった荷車に荷物を積んでもらっているあいだ、
軽くテムローサと手合わせをする。槍と槍だ。
前回より動きが速い。
「参りました!」
「いや、前回よりすごいね、
テムローサは成長が速いよね。若さだね。うん。ね?ティス?」
「ああ、あとは体力と基本の力が付けばいい。焦らずニックの教えをこなせばいい。」
「はい!」
見ていたギャラリーから拍手をもらってテムが照れている。
かわいいな。
荷物がそろったので出発。
食の祭りにはわたしも馬相手に店をすると宣伝だけしておく。
ちょっとバタバタしたが仕方がない。
最初の村に向けて出発だ。
完全に村から離れると、収納。
国境まで移動してよいしょと超えて、
最初の村の手前まで移動した。
荷車を引いているのはマティスだけ。
わたしは荷台の上で、樹石の軽石状態のもので、置き式の樹石入れを作る。
今あるテーブルの下に置けばいい。
テーブルの廻りは魚の皮で塞ぐ。
テーブル式のこたつだ。
うん、この方法もセサミンに報告。
門の前つくと前回と同じように村長さんが
こっくりこっくり、転寝しながら守衛の仕事をしていた。
「村長さーん!」
「ん?あんたたちか!よく来た!おお!今回も行商か?
ありがたいな!まだ月が昇るまでだいぶある。
先に売ってしまうか?泊っていくだろう?」
「ええ、お願いします。」
まずは村長さんちにいって、休憩。
荷は氷室に。
すれ違う人はみな元気そうだ。
また鐘を鳴らすから集まってくれと声を掛ける。
ああ、楽しみだと言われた。
「奥さーん!!」
「あれ?あらあら!また来てくれたのね!うれしいわ!
お茶にしましょう。」
「ありがとうございます。」
あれから、デイからの行商に卵と乳を必ず持ってきてくれと頼んだが、
その時は早馬になるので、少しお高めになるそうだ。それは仕方がないね。
冷蔵馬車、揺れない馬車、ここにも需要がある。
「これ、前に出してもらった甘煮の豆がおいしくて、
わたしも作ってみたんです。
米をつぶして丸めたものと一緒に食べてみてください。」
小さくしているので喉に詰まらすことはないだろう。
ぜんざいだ。
「ま!おいしいわ!」
「よかった。ここの豆がいいからですよ。
甘煮の作り方は一緒なんで、今度コットワッツである食の祭りに出したら?」
「ここから出すものがないから、見に行くだけでも行ってみようって話になっているんだ。
プリンの本場だろ?楽しみにしているんだ。」
ああ、ハードルがどんどん上がる。
プリンアラモードだな。
「しかし、いいな。参加するのも。これはここの豆だろ?
この白いのは?」
「これは米です。ここでも作ってるでしょ?粘りがあるからちょうどいいですよ。」
御餅の作り方も説明。
あとはアレンジしていただきたい。
イリアスも参加してもいいけど、頑張ってっていう結構自由な感じなので、
参加の通知はとりあえず出すとのこと。
マティスと奥さんがお餅作り、ぜんざいを作っている。
村長さんとわたしは、それを見ている。そういう分担なのだ。
「村長さん、井戸の方は?」
「ああ、毎日汲んでいる。枯れない。凍ることは凍るが樹石と砂漠石のおかげで、
すぐに溶ける。改めて礼を言わしてくれ。ありがとう。」
「うん。井戸を作ったのは村長さんだから。それがあるからこそなんだよ。
で、そのおかげ、おかげ様でっていうのも大事。
でね、その樹石。コットワッツでも出たの。」
「へー。そうなんだな。湿地にあるということだな。
しかし、使わないだろう?あんたは知らないかもしれないが、
泥のなかから取るのは若いものは嫌がる。樹石取りに若い奴はいない。
それに、砂漠石の方が使いやすいからな。
ここの村のものが何人かやってるんだ。
樹石は安いから使っているんだ。貧乏人が使うんだよ。」
「あははは。そうなんだ。樹石ね。ニバーセルである次の会合で
コットワッツが大体的に発表するよ。便利な燃料として。」
「・・・コットワッツ?よく知らんがあれだろ?若き領主と言われてる?
領主を継いだのは20そこそこだと聞いたぞ。わるいが、物をしらないのか?
俺のように笑われるだけだぞ?」
「うふふふふ。でも、井戸を作ったことは間違いじゃなかったでしょ?」
「そうだが、それはあんたがいたからだ。!なんかあるんだな?」
「うん。これ、コットワッツの樹石。ここのよりちょっと小さいかな?見て?」
手のひらに少し小さめの樹石を置く。
「小さいな。しかし、これは樹石だ。」
上にわたしの手を置き、バルスではないが、
「暖かく。」
「!!」
「もういいよ、ありがとう。」
「!!!」
「ね?便利でしょ?暖炉にも使える。
最初の一つは燃やして、白くなったものと一緒に入れて
この温度を保ってって。結構長持ちする。
お風呂にも燃やしたものを入れるんじゃなくて、
温めてって。着替えを用意している間にお湯になってる。
そのままその温度を維持してもらえばいい。
使え終わればもいいよって、ありがとうって。
砂漠石の熱に特化したものだと思えばいい。
ね?これ、便利でしょ?売れると思わない?
コットワッツ領主は会合で発表するまえに、
ここ、イリアスの領主と話をするはずだ。
コットワッツの湿地はここと比べれば小さいからね。
取りつくせばなくなるだろう。
しかし、便利なものを知ったら人は手放せない。ゆくゆくはイリアスの樹石を
砂漠石を買うように皆が買い始める。
その前に、お世話になった村長さんには教えておきたかったの。
先に取れるだけ取っておけばいい。買占めがあったり、樹石が高騰して
普段使っている人が困るのはよくないからね。」
「すごいぞ!!」
「ああ、手放しに喜ばないで!考えることはいっぱいなんだよ。
コットワッツもここイリアスの領主も賢い人なんだ、あなたもね。
コットワッツでは願うだけで暖かくなるのを防ぐために、油紙で巻いたり、
ただの石を樹石だと偽って売らないように封印することまで考えている。
コットワッツの人間より樹石の扱いになれてるとは思うけど、
大人はいいよ?子供が樹石をもって熱く!っていうだけで火傷してしまう。
それも考えないとね。
認識の違いがあるから、ここはここでの危険性を認識させないと。」
「そうだな、ああ、そうだ。」
「それにね。これ。使い切った樹石で軽石ね、それで作った入れ物。
これに、樹石を入れるでしょ?で、暖かくって。」
「ああ、あたたかいな。」
「うん、これを足元に置いて、ああ、脚のっけても大丈夫よ。
暖炉には元の火があるから温度が上昇するけど、
この中に入れておけばそこまでいかない。
で、魚の皮ね。」
しまった。どうやって取り付ける?
「どうした?」
「んー、これ、ぐるっと縁に付けたい。」
「?とりあえず、釘を打つか?」
「ああ、そうなるか。うん。お願いします。」
釘を打ち付けてもらう。
引っ掛けられるように考えてもらえばいいか。
「こうか?」
「そうそう。で。あ!椅子の後ろから逃げる!ここ、ここにも打ち付けて!」
「はいはい。」
む!孫がわがままを言って、
それを言われるがままにしてくれるおじいちゃんのようだ。
いや、村長さんはそんな年齢ではないのだけれど。
「・・・いま、ものすごく子供扱いしたでしょ?」
「わはははは!そうだな。したな。」
「もう!うん、4つともね。じゃ座って!マティス!奥さんも座って!」
いきなり大工仕事を始めたのをみていた2人だが、
だまって座ったくれた。
もちろん、ぜんざいは出来上がっている。
「「「「はー。」」」」
「ね?いいでしょ?これ、こたつっていうの。
下に座るのと、ちょっと台を汲んでその上に座る掘りごたつと
このテーブルタイプ。
椅子に座るほうが楽な人はこれかな?魚の皮も取外しが聞くようにすればいい。
ね?いいでしょう。」
奥さんは手放しで喜んでいる。
懐炉もだ。
「これ、村長さんのほうで発表してくれる?」
「これも売るんじゃないのか?」
「いや、売れるもんでもないでしょ?足元の形ももっと考えないといけないし、
魚の皮を釘で売ってるんだよ?もっと完成されてるんなら商売になるけど
この段階ではね。ああ、コットワッツで売り出す予定のこたつは
もっと考えているよ。温度調整ができたり、この魚の皮に代わるものとかね。
ここからはこっちで考えて?」
「これは売れる。しかし、まずはこの村で皆が使えるほうがいいな。」
「そうそう。それよ。みんなが知っていれば隠匿もできないからね。
でも、問題もある。これ、なかなか外に出る気がしないの。」
「ああ、そうだな。もうそろそろ鐘を鳴らさないと。」
「ね。ああ、この足元にあるものを火鉢にしてもいいよ。」
「ひばち?」
「うん。こうね。」
いやいやながらもこたつから出て、
背負子から火鉢を出す、振りをする。
砕いた軽石もいれて、火鉢。
あー、あったかい。御餅焼きたい。
「おーい!ライバー?まだ始まらないのか?」
呼びに来るまでまたまったりとしてしまった。
慌てて準備だ。
マティスと奥さんは50人分のぜんざいをつくったのだが、
器をまた揃えないといけない。
それは各自持ってきてもらおう。
広場にまた魚の皮を敷き詰めた。
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