5 / 20
4
しおりを挟む
僕は、リックベル・フランチェス。フランチェス侯爵家の次期当主候補…まあ、現在は僕以外に候補が居ないので、ほぼ次期当主だと確定しているのだけれど。
僕には、姉が居る。
一つ違いの筈なのに、そう見えない程に美しい、自慢の姉だ。
だが、そんな姉にも一つだけ不満…欠点…相容れない…そんな事がある。
四六時中、常にアレを世話しているのだ。母上からは、双子だと聞いているが、体格が似ても似つかない、顔は少し似ている気がするが、眼の色が違う。
双子といいよりは、親子と言われた方が納得できるような見た目なのだ。
アレは、おそらく僕よりも小さく、幼く見える。
アレの名前は、アリシア。母上はシアと呼び微笑んでいるが、父上と僕は良く思っていない。名前を呼んであげる権利すらない。"アレ"で良い。
産まれてから今まで、ほとんど声を聞いた事がないし、まして、話をしたこともない。
いつもクリスお姉様の胸の中で、眠っているところしか僕は知らない。
そんな存在を、僕は姉だということはできない。
アレさえ居なければ、クリスお姉様は自由に外出でき、もっと気楽にお茶会や夜会に参加することもできる筈なのに。
僕とだって、もっと仲良く遊んだりできた筈なのに。
僕が一緒に出かけようと声をかけるたび、クリスお姉様はアレを理由に最後は断ってしまう。
もどかしい。どうにかして、クリスお姉様をアレから解放してあげたい。
最近は、アレのせいで僕の婚約者であるステファニー嬢ともまともに会話できていない。
…そもそも、ステファニー嬢と初めて会ってから、彼女とはあまり上手くいっていない。
アレをちゃんと紹介しなかったからだろうか?
でも、彼女には、知っておいて欲しかったんだ。
僕の姉はクリスお姉様ただ一人だけだと。
だって、フランチェス侯爵である父上も認めていないのだ。次期当主の僕が認めるわけにはいかないし、僕自身が認めたくない。姉の膝の上で眠り続け、会話も、意思表示も無い、人形のような存在を。
そのためか、アレは侯爵令嬢としての勉強を一切していない。教養も、マナーも、その他全てだ。
そんなものを家族として認めては、周りに示しがつかないだろう。とてもではないが、外に出せるものではない。
だが、クリスお姉様は否定する。
「お姉様は、聡明で、可愛らしい、立派な淑女なのよ?…"剣"でさえなかったなら、きっとわたくしたちは毎日のように向かい合ってお茶をしていたでしょう。お姉様は甘味が大好物ですもの。」
剣……一代に必ず一人、フランチェスの直系に産まれるという吸血鬼。その吸血鬼は息をする様に、今は失われた古代魔法を操り、膨大な魔力を持ち、他と比べ物にならないくらい立派な体格を持った…一言で言えばとても強い吸血鬼だ。
先代フランチェス侯爵が、剣だったそうで、彼が亡くなったあと、まるで連鎖する様にお姉様が産まれた。
普通は、剣として産まれるのは男児の筈で、女児…しかも双子だなんて、僕は聞いた事がない。父上も前に伺った時、前例は無いと言っていた。
母上は、前侯爵が願ったからと言っていたが、よくわからない。
ただ、一つ言えるのは、やはりアレを姉だと認めることは、まだできないでいるという事だ。
僕には、姉が居る。
一つ違いの筈なのに、そう見えない程に美しい、自慢の姉だ。
だが、そんな姉にも一つだけ不満…欠点…相容れない…そんな事がある。
四六時中、常にアレを世話しているのだ。母上からは、双子だと聞いているが、体格が似ても似つかない、顔は少し似ている気がするが、眼の色が違う。
双子といいよりは、親子と言われた方が納得できるような見た目なのだ。
アレは、おそらく僕よりも小さく、幼く見える。
アレの名前は、アリシア。母上はシアと呼び微笑んでいるが、父上と僕は良く思っていない。名前を呼んであげる権利すらない。"アレ"で良い。
産まれてから今まで、ほとんど声を聞いた事がないし、まして、話をしたこともない。
いつもクリスお姉様の胸の中で、眠っているところしか僕は知らない。
そんな存在を、僕は姉だということはできない。
アレさえ居なければ、クリスお姉様は自由に外出でき、もっと気楽にお茶会や夜会に参加することもできる筈なのに。
僕とだって、もっと仲良く遊んだりできた筈なのに。
僕が一緒に出かけようと声をかけるたび、クリスお姉様はアレを理由に最後は断ってしまう。
もどかしい。どうにかして、クリスお姉様をアレから解放してあげたい。
最近は、アレのせいで僕の婚約者であるステファニー嬢ともまともに会話できていない。
…そもそも、ステファニー嬢と初めて会ってから、彼女とはあまり上手くいっていない。
アレをちゃんと紹介しなかったからだろうか?
でも、彼女には、知っておいて欲しかったんだ。
僕の姉はクリスお姉様ただ一人だけだと。
だって、フランチェス侯爵である父上も認めていないのだ。次期当主の僕が認めるわけにはいかないし、僕自身が認めたくない。姉の膝の上で眠り続け、会話も、意思表示も無い、人形のような存在を。
そのためか、アレは侯爵令嬢としての勉強を一切していない。教養も、マナーも、その他全てだ。
そんなものを家族として認めては、周りに示しがつかないだろう。とてもではないが、外に出せるものではない。
だが、クリスお姉様は否定する。
「お姉様は、聡明で、可愛らしい、立派な淑女なのよ?…"剣"でさえなかったなら、きっとわたくしたちは毎日のように向かい合ってお茶をしていたでしょう。お姉様は甘味が大好物ですもの。」
剣……一代に必ず一人、フランチェスの直系に産まれるという吸血鬼。その吸血鬼は息をする様に、今は失われた古代魔法を操り、膨大な魔力を持ち、他と比べ物にならないくらい立派な体格を持った…一言で言えばとても強い吸血鬼だ。
先代フランチェス侯爵が、剣だったそうで、彼が亡くなったあと、まるで連鎖する様にお姉様が産まれた。
普通は、剣として産まれるのは男児の筈で、女児…しかも双子だなんて、僕は聞いた事がない。父上も前に伺った時、前例は無いと言っていた。
母上は、前侯爵が願ったからと言っていたが、よくわからない。
ただ、一つ言えるのは、やはりアレを姉だと認めることは、まだできないでいるという事だ。
0
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる