お姉様と離れるなんて無理ですの!

ぺんたごん

文字の大きさ
11 / 20

8(クリスside)

しおりを挟む
(やはり、皆さまお姉様の魅力がお分かりの様ですわ!)

と、思わず抱きしめる腕の力が強くなりそうになる。

なぜなら、講堂に入った瞬間、吸血鬼も人間も、種族関係なくお姉様を見ているから。

きっと、この可愛らしいお姉様に魅了されているに違いない!

…と、まあ煩悩はそれくらいにして、ステフも隣で引き攣り乾いた笑い声を出しているので、席に着くことにする。


「さ、お姉様。そろそろ席に着きましょう。」


「うん。」


「お二人はわたくしのお隣でしてよ。」


「あら、ならば最前列ですわね。」


「…どっちの?」


「わたくし達は左側ですわ。」


「ふーん」


お姉様の疑問にステフが答える。初めて来た大きな講堂に、お姉様は興味津々だ。


そして、しばらくした後、入学式が始まった。







学園の入学式は、学園長と現生徒会長、そして新入生代表の挨拶のみだ。その後は事前に連絡されていたクラスに分かれて、自己紹介をして今日は解散という流れだ。

王立魔法学園という名の通り、王家が運営する魔法学園なので、学園長は王国の軍に所属する現役の魔法師団長その人である。名前は確か…ハインリヒ?とかだったような…。

「ようこそ、王立魔法学園へ。君たちがこの学び舎に入学できること、心よりお祝いしたい。この学園は今日で52回目の入学式を迎えた。つまり、君たちは52回目の新入生ということである。これまで君たちの先輩たちが築いてきたさまざまなことを知り、己のものとして、ここから巣立つとき、より広い視野を持って羽ばたけるよう、我々教員一同サポートしていこうと思っている。勉学のみに関わらず、疑問や悩みがある時、つまずいてしまった時は、我々に聞いて欲しい。先人として、出来うる限りのアドバイスをしよう。では、諸君らのこれからの4年間が有意義なものであるように願っている。以上だ。」

彼は吸血鬼と人間の混血で、今年で70と少し?だったかしら。当代の国王陛下の従兄弟に当たるらしい。私は会ったことないが、陛下とは顔がとてもよく似ているらしい。

ちなみに王家に近い血筋や家柄の者は大抵混血児らしい。



学園長が降壇すると、司会の声と共に若い男が壇上に登る。


「初めまして、新入生の皆様。僕はこの学園の生徒会長のベルトラン・ディア・デリーノ。今日この日、君たちに出会えて、こうして挨拶ができることに感謝する。君たちは、全員がこの学園に選ばれた特別な存在で有ると知ってほしい。この国で、魔力が有り、魔法が使える者はその殆どが貴族。だが、この学園に入学した者の中には平民も居るし、今まで、貴族よりも平民の彼らの方が優秀であったことの方が多い。プライドは大切だ。だが、そのプライドにしがみついて、学ぶということを疎かにしないでほしい。これからの学園生活で、君たちが種族も貧富も関係なく、手を取り合い一丸となって勉学や行事に取り組んでくれることを期待している。」


…彼の言う通り、確かに貴族と平民、吸血鬼と人間の関係性の溝は深い。特に貴族出身の者は刷り込みがあらかた終わっていることが多いのに、彼はこの場であえて言及する。そういう性格なのは知っているけれど、果たして、彼の願いは叶うのだろうか…。



生徒会長の話が終わり、心ここに在らずのステフの名が呼ばれる。…彼女は大丈夫だろうか…。


彼女が元気良く挨拶を終えた頃、お姉様は船を漕ぎ始めていた。よく保った方だろう。


私はお姉様の体勢を横抱きに変えて、ステフと共に教室へ歩いていく。






ステフが教室の扉へ手をかけた頃には、お姉様はスヤスヤと可愛らしい寝顔で私の胸にすり寄っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...