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第36話:決着
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「……見事だ」
国王の口元に、微かな笑みが浮かんだ。
「論理による証明と、実力による直訴。……感情論と責任転嫁に終始していた愚息とは大違いだな」
国王は宰相に向かって手を振った。
「ヴィオラ・クライストへの嫌疑は完全に晴れた。彼女の技術は、ベルンシュタイン辺境伯領における正当な統治行為の一環と認める。王宮への強制召喚も、技術開示命令も、すべて撤回する」
「はっ! 直ちに手続きを!」
宰相が慌てて記録官に指示を飛ばす。
さらに、国王は冷徹な声で続けた。
「そして、ジュリアンについてだが……。王宮の修繕費を私的に流用し、外交問題を招いた責任は重い。王位継承権の凍結および、辺境の修道院での再教育を命じる」
「廃嫡……、ということでしょうか?」
「言葉を濁したまでだ。……基礎から叩き直さねば、使い物にならんだろう。あの我儘な娘、ミシェルとの婚約も破棄とする。二人まとめて、頭を冷やしてくるがいい」
それは事実上の追放宣告だった。
あの騒がしい二人が、静かな修道院で耐えられるとは思えないが、それもまた因果応報だ。
国王は椅子から立ち上がり、ヴィオラたちの前まで降りてきた。
そして、信じられないことに、軽く頭を下げたのだ。
「すまなかったな。国を支える要石を、我々は見誤っていたようだ」
「……陛下、頭をお上げください」
「いや、これは礼だ。そなたたちが辺境を守ってくれているおかげで、この国はまだ保っている。……これからも、頼むぞ」
その言葉は、どんな勲章よりも重みのある評価だった。
ヴィオラは胸が熱くなるのを感じた。
王都に来てからずっと感じていた、不当な扱いや嘲笑による心の傷が、国王の言葉とブルーノの信頼によって、完全に修復されていく。
「……承知いたしました。私の技術が届く範囲で、最適な強度を提供し続けます」
ヴィオラは深くカーテシーをした。
それは、王族への服従ではなく、技術者としての契約履行の証だった。
査問会が終わり、王宮を出た二人は、春の風を感じながら石畳を歩いていた。
空は青く澄み渡り、王都の淀んだ空気も少しだけ清々しく感じられる。
「終わったな」
ブルーノが大きく伸びをした。
「ええ。論理的かつ、最も効率的な解決でした」
ヴィオラもまた、肩の荷が下りたように表情を緩めた。
すると、ブルーノが立ち止まり、ヴィオラの方を向いた。
「ヴィオラ。……帰ろう、俺たちの家に」
「はい。……あ、でもその前に」
「ん?」
「市場に寄っていいですか? 王都でしか手に入らない、特殊な耐熱シリコーンの素材があるんです。それを買って帰れば、領地の暖炉の目地をもっと強化できます」
ブルーノは呆れたように笑い、それから愛おしそうにヴィオラの頭をくしゃりと撫でた。
「……お前は本当に、ブレないな」
「そういう仕様ですから」
二人は顔を見合わせて笑った。
つないだ手は、もう二度と離れることはないだろう。
それは強く、深く、魂のレベルで結合していたのだから。
国王の口元に、微かな笑みが浮かんだ。
「論理による証明と、実力による直訴。……感情論と責任転嫁に終始していた愚息とは大違いだな」
国王は宰相に向かって手を振った。
「ヴィオラ・クライストへの嫌疑は完全に晴れた。彼女の技術は、ベルンシュタイン辺境伯領における正当な統治行為の一環と認める。王宮への強制召喚も、技術開示命令も、すべて撤回する」
「はっ! 直ちに手続きを!」
宰相が慌てて記録官に指示を飛ばす。
さらに、国王は冷徹な声で続けた。
「そして、ジュリアンについてだが……。王宮の修繕費を私的に流用し、外交問題を招いた責任は重い。王位継承権の凍結および、辺境の修道院での再教育を命じる」
「廃嫡……、ということでしょうか?」
「言葉を濁したまでだ。……基礎から叩き直さねば、使い物にならんだろう。あの我儘な娘、ミシェルとの婚約も破棄とする。二人まとめて、頭を冷やしてくるがいい」
それは事実上の追放宣告だった。
あの騒がしい二人が、静かな修道院で耐えられるとは思えないが、それもまた因果応報だ。
国王は椅子から立ち上がり、ヴィオラたちの前まで降りてきた。
そして、信じられないことに、軽く頭を下げたのだ。
「すまなかったな。国を支える要石を、我々は見誤っていたようだ」
「……陛下、頭をお上げください」
「いや、これは礼だ。そなたたちが辺境を守ってくれているおかげで、この国はまだ保っている。……これからも、頼むぞ」
その言葉は、どんな勲章よりも重みのある評価だった。
ヴィオラは胸が熱くなるのを感じた。
王都に来てからずっと感じていた、不当な扱いや嘲笑による心の傷が、国王の言葉とブルーノの信頼によって、完全に修復されていく。
「……承知いたしました。私の技術が届く範囲で、最適な強度を提供し続けます」
ヴィオラは深くカーテシーをした。
それは、王族への服従ではなく、技術者としての契約履行の証だった。
査問会が終わり、王宮を出た二人は、春の風を感じながら石畳を歩いていた。
空は青く澄み渡り、王都の淀んだ空気も少しだけ清々しく感じられる。
「終わったな」
ブルーノが大きく伸びをした。
「ええ。論理的かつ、最も効率的な解決でした」
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すると、ブルーノが立ち止まり、ヴィオラの方を向いた。
「ヴィオラ。……帰ろう、俺たちの家に」
「はい。……あ、でもその前に」
「ん?」
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ブルーノは呆れたように笑い、それから愛おしそうにヴィオラの頭をくしゃりと撫でた。
「……お前は本当に、ブレないな」
「そういう仕様ですから」
二人は顔を見合わせて笑った。
つないだ手は、もう二度と離れることはないだろう。
それは強く、深く、魂のレベルで結合していたのだから。
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