【完結】彼女はボクを狂おしいほど愛する ー超絶美少女の転校生がなぜかボクにだけぞっこんな件ー

竜竜

文字の大きさ
9 / 37
【第2章】失くしたもの

第1話

しおりを挟む
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 私は小学生の頃、いつも一緒に遊んでくれたあの子のことが好きだった。
 名前はシュウちゃん。
 ちょっと引っ込み思案なところはあるけど、すごく可愛くって、いつも一緒にいてくれた。ずっとこのままでいたいって思ってた。
 でも……

「結葉、お父さんの仕事の都合で遠くにお引越しをしなくちゃいけなくなった。寂しいとは思うけど、お友達とバイバイしなさい」
「えっ、じゃあシュウちゃんとも?」
「そうだな。シュウちゃんともお別れしないとな」
「嫌だよ! シュウちゃんともっと遊んでたいよ! えーん!」
「ほら泣かないの。お父さんも困っちゃうでしょ。今度お母さんとお別れのご挨拶に行きましょ」

 シュウちゃんとの突然の別れ。
 とっても悲しかった。
 全てが奪われた気がした。
 あのときから、シュウちゃんは私の全てだったんだ。
 正直、お父さんとお母さんの仲は良くない。子供ながらそう感じていた。
 ただ体裁を保って周りから変な目で見られないために、必死に夫婦ごっこをしているだけに見えた。
 そこに愛情なんて感じなかった。
 でも、シュウちゃんと私は違う。
 たまに喧嘩をしちゃうこともあったけど、すぐに仲直り。
 それはお互いのことが大切で、強い絆があったからだと思う。

 福岡に引っ越してから数年が経ち、中学生になった。
 周りの子は優しく話しかけてきてくれたけど、それは上辺だけで、心はこもってなんていなかった。
 私と心の底から笑い合って、お話しできるのはシュウちゃんしかいない。
 そんな心の隙間が埋まらない中、あることが起こった。

「朱宮、実はお前のことが好きなんだ。よかったら俺と付き合ってくれないか」

 なぜだか急にモテるようになった。
 告白も一回だけじゃない、一日に二回も告白されることがあった。
 私も上っ面だけ体裁を整えて、色んな人と愛想よく接していたから、勘違いしてしまった男子が多かったのかもしれない。
 この心の隙間を埋めるために、試しに付き合ってみるのも悪くないかも……。
 そんなことを思ったこともあったけど、やっぱりシュウちゃんのことが忘れられず、他の人と   
 付き合う未来なんて想像できなかった。

 正直、こういうのは……もううんざり。

 ————いつしか、他人への興味が全くなくなった。

「ちょっと朱宮さん、なんで坂本君を振ったの? 高嶺の花にでもなったつもり?」
「マジうざい」
「調子こくなよ」

 ある日、誰かも分からない人から呼び出されたかと思うと、変な難癖をつけられてしまった。
 話の内容から、私が告白を断った人のことが、たまたま好きだった子らしい。
 完全に八つ当たりだ。
 でも、

「私がフッたんだから、むしろチャンスなんじゃないの?」

 当然の疑問なので聞いてみた。
 そしたらさらに頭に血が上ったらしく、

「てめぇマジでむかつく! いい加減にしろよ! 坂本君の気持ちを踏みにじりやがって!」
「やめなって。さすがに手を出すのはまずいって」
「もう行こうよ」

 殴って気持ちが晴れるなら、別にそれでもいいのに。
 でも彼女たちは、別の形で私に報復をすることにした。
 次の日学校に行くと、上履きを隠され、トイレに入れば水をかけられる。
 典型的ないじめの始まりだった。
 周りの人は自然と私を避けるようになったけど、

「ぼ、ぼ、僕は朱宮さんの味方だからね!」

 鼻息を荒くさせた、いかにも下心丸出しの変な男の子から声を掛けられるようになった。
 もううんざり……。
 面倒くさい……。
 そのままなんとなく高校に進学したけど、同じようなことの繰り返し。

 ————いっそのこと、もう死んだ方がましかも。

 そんなことを思い始めるようになったとき、転機が訪れた。

「すまんが転勤でまた関東に戻ることになった。前住んでたところとは違うけど」

 場所は違うとしても、またシュウちゃんに近づける。
 それだけで私は嬉しかった。

 シュウちゃんが通う高校なんて知らなかった。
 だから、とりあえず入学が楽そうなところを選んで、いつか会える日を気長に待つことにしよう。
 そうやって期待を持つことにして生きる糧にした。

 でも、運命は私に味方をしてくれた。
 転校初日。初めてみんなの前に立ったとき、一瞬で気付いた。

 ……また会えた。

 灰色で先の見えない世界が、急に色を取り戻して、光を照らしてくれた瞬間だった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない

七星点灯
青春
 雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。  彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。  しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。 彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!

現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話

そう
青春
ある日家に突然現れた謎のサキュバスのホルさん! 好感度はMAXなようで流されるがまま主人公はホルさんと日常を過ごします。 ほのぼのラブコメというか日常系小説 オチなどはなく、ただひたすらにまったりします 挿絵や文章にもAIを使用しております。 苦手な方はご注意ください。

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

処理中です...