3 / 37
【第1章】変身! 見た目は幼女、中身はニート‼
第2話
しおりを挟む
「追い出されちゃった……。はぁ~」
公園のベンチに腰掛け、思わずため息が漏れる。
俺の名前は武能新斗(ムノウ アラト)。今年で23歳になる働き盛りのピチピチの男の子です。
でも、先ほど住むところを失ってしまったため、今は金なし、家なし、仕事もなし
なしなし尽くしの社会のお荷物になってしまった。
下ばかり向いてると良くない気がして、せめてもの抵抗を兼ねて空を見上げる。
「ちくしょう。空が青いぜ……」
ベンチから立ち上がり気分転換に伸びをする。
ん?
何かお尻に違和感を感じて、その正体を確認してみる。
「ちくしょう。尻が青いぜ……」
放心状態だったため気付かなかったが、背もたれには『ペンキぬりたて』の紙が貼ってあった。
諦めて再びベンチに座る。
ヌチャ。
どうしてこんなことになっちまったのかな……。
遠くからはセミの鳴き声。
季節は夏真っ盛り。
思い返してみると、まだ桜が咲いていた4月頃。
俺は都内の大学を卒業して、地元の島には帰らず、そのまま会社に就職した。
特にやりたいこともなかったので、働いてお金を稼げればそれでよかった。
子供の頃はヒーローに憧れていたけど、そんな職業なんてあるわけもない。
でも、入ってしまった会社はヒーローすら引いてしまうものだった。
『よーし! これから朝の朝礼を始める! まずは社訓斉唱!』
『『『はい!』』』
『一つ! 我々は会社の血となり肉である!』
『『『一つ! 我々は会社の血となり肉である!』』』
『一つ! 我々は妥協を許さない! 妥協は死だ!』
『『『一つ! 我々は妥協を許さない! 妥協は死だ!』』』
『一つ! 死ぬこと以外は愛のムチ! どんな状況でも耐え抜くべし!』
『『『一つ! 死ぬこと以外は愛のムチ! どんな状況でも耐え抜くべし!』』』
入社した初日で、自分がブラック企業に入社してしまったことを知った。
てか、今どきそんな会社が残っていたこと自体が驚きだ。
そんなところで働き続けることなんて到底できず、入社3週間で会社を辞めた。
そのことを友達に話すと、
『あっはははは! これでニートの仲間入りだな! そうだ! 今度から〈武能新斗〉じゃなくて〈無能ニート〉に改名すれば? 武能新斗と書いて無能ニートと読めるし! あっははは!』
こんなことを言われてしまう始末。
俺はやればできる子なんだ。ニートになってしまったとしても、無能なんかじゃない。
でも、母と妹にも、
『こら新斗! 会社を辞めてうちに帰って来たのはいいけど、あんたいつまで再就職先を見つけずにダラダラしてるつもり? 今は亡きお父さんだって……およおよおよ……』
『そうよ! お兄ちゃんがニートで社会のクズだなんて知られちゃったら、恥ずかしくて外を歩けないじゃん!』
『そこまで言う? それに、父さんは単身赴任でいないだけで、生きてるよ……?』
『そんなことどうでもいいの! あんた、再就職先を見つけてくるまで、二度とうちに帰ってくることは許しません!』
『そうよ! そうよ! ちゃんと社会の歯車になってから帰って来てよね!』
こうして今に至るわけである。
今振り返っても壮絶な人生だ。あとで自伝として売り出そうか。
まぁ、そんな冗談はさておき、家を追い出されてから再就職先を見つける努力はした。
でも、現実は厳しくのしかかってきた。
新卒で入社した会社をたった3週間で辞めてしまったことが大きな要因なのだけど。
アルバイトという選択肢も考えたが、あの母親と妹がそれで納得するわけがない。
俺の人生、これからどうなっちゃうの?
「あ~あ、実は俺の中には隠された超スゲェ能力が眠っていて、知らないうちに開花しねぇかなぁ~」
いつまでもここにいてもしょうがないし、ちょっくら街をぶらついて就職先を探すとするか。
あっ、でもまずは……
「この尻をどうにかしないと……。とりあえず着替えるか」
数少ない替えのズボンをリュックから取り出し、着替えて街の方に向かうことにした。
公園のベンチに腰掛け、思わずため息が漏れる。
俺の名前は武能新斗(ムノウ アラト)。今年で23歳になる働き盛りのピチピチの男の子です。
でも、先ほど住むところを失ってしまったため、今は金なし、家なし、仕事もなし
なしなし尽くしの社会のお荷物になってしまった。
下ばかり向いてると良くない気がして、せめてもの抵抗を兼ねて空を見上げる。
「ちくしょう。空が青いぜ……」
ベンチから立ち上がり気分転換に伸びをする。
ん?
何かお尻に違和感を感じて、その正体を確認してみる。
「ちくしょう。尻が青いぜ……」
放心状態だったため気付かなかったが、背もたれには『ペンキぬりたて』の紙が貼ってあった。
諦めて再びベンチに座る。
ヌチャ。
どうしてこんなことになっちまったのかな……。
遠くからはセミの鳴き声。
季節は夏真っ盛り。
思い返してみると、まだ桜が咲いていた4月頃。
俺は都内の大学を卒業して、地元の島には帰らず、そのまま会社に就職した。
特にやりたいこともなかったので、働いてお金を稼げればそれでよかった。
子供の頃はヒーローに憧れていたけど、そんな職業なんてあるわけもない。
でも、入ってしまった会社はヒーローすら引いてしまうものだった。
『よーし! これから朝の朝礼を始める! まずは社訓斉唱!』
『『『はい!』』』
『一つ! 我々は会社の血となり肉である!』
『『『一つ! 我々は会社の血となり肉である!』』』
『一つ! 我々は妥協を許さない! 妥協は死だ!』
『『『一つ! 我々は妥協を許さない! 妥協は死だ!』』』
『一つ! 死ぬこと以外は愛のムチ! どんな状況でも耐え抜くべし!』
『『『一つ! 死ぬこと以外は愛のムチ! どんな状況でも耐え抜くべし!』』』
入社した初日で、自分がブラック企業に入社してしまったことを知った。
てか、今どきそんな会社が残っていたこと自体が驚きだ。
そんなところで働き続けることなんて到底できず、入社3週間で会社を辞めた。
そのことを友達に話すと、
『あっはははは! これでニートの仲間入りだな! そうだ! 今度から〈武能新斗〉じゃなくて〈無能ニート〉に改名すれば? 武能新斗と書いて無能ニートと読めるし! あっははは!』
こんなことを言われてしまう始末。
俺はやればできる子なんだ。ニートになってしまったとしても、無能なんかじゃない。
でも、母と妹にも、
『こら新斗! 会社を辞めてうちに帰って来たのはいいけど、あんたいつまで再就職先を見つけずにダラダラしてるつもり? 今は亡きお父さんだって……およおよおよ……』
『そうよ! お兄ちゃんがニートで社会のクズだなんて知られちゃったら、恥ずかしくて外を歩けないじゃん!』
『そこまで言う? それに、父さんは単身赴任でいないだけで、生きてるよ……?』
『そんなことどうでもいいの! あんた、再就職先を見つけてくるまで、二度とうちに帰ってくることは許しません!』
『そうよ! そうよ! ちゃんと社会の歯車になってから帰って来てよね!』
こうして今に至るわけである。
今振り返っても壮絶な人生だ。あとで自伝として売り出そうか。
まぁ、そんな冗談はさておき、家を追い出されてから再就職先を見つける努力はした。
でも、現実は厳しくのしかかってきた。
新卒で入社した会社をたった3週間で辞めてしまったことが大きな要因なのだけど。
アルバイトという選択肢も考えたが、あの母親と妹がそれで納得するわけがない。
俺の人生、これからどうなっちゃうの?
「あ~あ、実は俺の中には隠された超スゲェ能力が眠っていて、知らないうちに開花しねぇかなぁ~」
いつまでもここにいてもしょうがないし、ちょっくら街をぶらついて就職先を探すとするか。
あっ、でもまずは……
「この尻をどうにかしないと……。とりあえず着替えるか」
数少ない替えのズボンをリュックから取り出し、着替えて街の方に向かうことにした。
0
あなたにおすすめの小説
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる