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【エピローグ】戦え! 幼女戦隊‼
FIN
しおりを挟む「あはははっ!」
「こら! まだ髪を乾かしてる途中でしょ! 待ちなさい!」
「いやだぁ!」
銭湯内に響き渡る平和な声。
すると、ドンドンドンとすばしっこい足音がこちらに近づいて来る。
「あっ! アラトだ! つかまえたっ! えへへっ♪」
ここはいつも通りの銭湯の待合室。
閉店後にそこでくつろいでいた俺だったが、突然やってきた幼女に捕捉されてしまった。
「うわっ! リリ、まだ髪の毛が濡れたままだぞ?」
「うーん、だって……」
そこへ、遠くから杏沙の声が聞こえてくる。
「新斗! リリを捕まえてくれた? 悪いんだけど、その子の髪の毛を乾かしてあげてくれない?」
「わかった!」
おそらく三人とも女風呂の脱衣所の方にいるのか、一葉の『まるで夫婦ですね』という声と、ソニアの『新斗は私の』という声、そしてそれらを全力で否定する杏沙の声が聞こえてきた。
「よし、リリ。俺がちゃんと髪を乾かしてあげるから、じっとしてるんだぞ?」
「うん!」
そう。
魔法少女のリリが、今まさに俺の目の前で大人しく座り、ドライヤーの温風に気持ちよさげに当たっている。
なぜこのような状況になったのか?
たしかにあの戦いで巨大モンスター……魔法少女・リリを倒した。
しかし、リリは完全に消滅することなく、元のこの姿で生きていたのだ。
起きたら再びこの世界を破壊しようと暴れ回るんじゃないかと危惧したが、いざ目を覚ますと暴れ回るどころか、自分が魔法少女だったことも忘れていた。
ダピル曰く、魔法少女として世界を滅ぼそうとしたのはリリ自身の意思ではなく、この世を彷徨う魔法少女の『ワルイーココロ』が原因……らしい。
それがあの戦いで綺麗さっぱり葬り去ることに成功した……らしい。
よく分からんけど。
だから、今のリリはただの普通の子ども。
そういった意味では、別の意味で毎日暴れ回り、お転婆娘感を全力で出している。
なので、今はこうして幼女戦隊のみんなで面倒を見ているというわけだ。
街のみんなも無事に救出でき、今は何事もなくいつも通りの生活を送っている。
一応は世界を危機から救い、平和を取り戻すことができたと言っていいだろう。
ボォーーーーーー!
リリの髪の毛も乾いてきたし、そろそろブローを終わりにしようかな。
最初は不慣れで戸惑っていたが、慣れてしまえばお手のもの。
最後の仕上げに取り掛かろうかとしたとき、おもむろにリリがこちらを向く。
「なんか……身体が熱いッ!」
ドライヤーの音でリリの声がかき消される。
「ごめん! ドライヤーかけてるからよく聞こえないや! 危ないから前を向いてて!」
それでも必死で何かを訴えかけてくるものだから、とりあえずドライヤーを切るか。
そう思ってスイッチを切り終えた、そのとき————
「うわっ!」
急にリリの身体から光が放たれる。
ど、どういうことだ⁉
そして、何が起こったのか分からぬまま、何か重いものが身体にのしかかる。
「ぼへっ!」
バタンッ!
「いててっ……」
ムニュ
ん? ムニュ?
上に覆いかぶさる重いものをどけようと手を伸ばしたら、ものすごく柔らかくて心地よい弾力が手から感じ取れる。
これは……
「パイオッツー⁉⁉⁉⁉」
すると、上に覆いかぶさっていたものから声が発せられる。
「アラト、くすぐったい」
「ああ、ごめん! ……って、ええええええええええええええええええ⁉」
目の前には、ものすごくパッツンパッツンでピチピチな服を着たダイナマイトボディのセクシーガールがそこにいた。
あまりにもサイズが合っていない服を着ているため、たわわに実った二つの果実がポロリと顔を覗かせている。
まずい!
こんな状況を誰かに見られでもしたら……!
「ちょっと新斗、うるさい!」
「何かあったんですか?」
「新斗、大丈夫?」
大きな物音と俺の叫び声を聞きつけた三人娘が、最悪のタイミングでやってくる。
そして、
「キャー! 新斗! ここで何してるの⁉ それにその女の人は誰⁉ なんで胸を出してるの⁉」
「新斗くん、破廉恥です!」
「私というものがありながら」
「待て待て待て待て! これは誤解だ!」
自分の無実を証明するため、現状を確認する。
「君は……リリなんだよね?」
「そうだよ! なんかおっきくなっちゃった♪」
「俺のことは覚えてる?」
「アラト!」
「魔法少女って知ってる?」
「うーん……分かんない!」
そして、三人娘と向き合い、
「このように突然リリが大きくなってしまった模様です。よってオレワルクナイ。オレムジツ」
「ねぇアラト、今日も一緒に寝ようよ! ね?」
「ちょっとリリ! 今のこの状況でそうやって抱き付くのはまずい! 非常にまずい!」
「なんで? いつもこうしてるじゃん! 嫌なの……?」
「ああ! 泣かないで! 分かった! 分かったよ! 一緒に寝るから! スリーピング・ウィズ・ミーだから!」
「やったぁ!」
「だから抱き付かないでくれぇえええ! ……はっ⁉」
傍から見ればハッピーエンジョイなこの状況。
しかし、俺の後ろでは、今から核戦争が始まるんじゃないかと思うほど殺伐としていた。
「あ~ら~とぉおおおおお!」
「新斗くん!」
「新斗」
後ろからは迫りくる恐怖。
前からは柔らかい感触。
そして止まらない心臓の爆音。
これが……人生の詰みってやつですか?
「「「新斗のバカァアアアアアアアアアアアア‼‼‼‼」」」
「ぎゃぁあああああああああああああああああああああああ‼‼‼‼‼」
あるとき、一人の平凡な男がいた。
そしてその男は、突然力を得て、ニートからヒーローになった。
でもその見た目は、それはそれは愛くるしい幼女の姿。
そんなヒーローってアリですか?
でもまぁ、この先どんな困難や危険が待っているのかは分からないけど、ここにいる仲間となら、どんなことにでも立ち向かえる。
そう確信している。
だって俺たちは、この島を……いや、この世界を守る『幼女戦隊』なのだから。
~FIN~
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