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【第2章】彼女がいた世界、そして笑う

第5話

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「いったい、いつまでついてくるつもりなんだ」

 朝の準備を終えた俺は、何も変わり映えのしない通学路を歩いていた。
 ある一点を除いては。

「だってしょうがないじゃない。あなたから離れられないんだから」

 ここでいう「あなたから離れられないんだから」は決して胸をときめくような状況などではない。
 そりゃあ、前橋さんほどの美少女から「あなたから離れられない」と言われたのであれば、言葉のみを考えれば、美少女ゲーム内で確実にルートに入っている証拠である。
 しかし、今この場においては、そんなことは一切ないと断言できる。
 だとしたら、なぜなのか?
 話は10分前に遡る。
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