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【第4章】告白、そして……
第7話
しおりを挟む7月10日、土曜日。
高崎さんの家での勉強会の日がやってきた。
高崎さんの家はパン屋だと聞いていたけど、普通の一軒家だ。
おそらくお店は別で構えているのだろう。
緊張を紛らわせるために、とりあえず深呼吸。
……これは勉強会、これは勉強会。
自分に言い聞かせながらチャイムを鳴らし、高崎さんが扉を開けてくれるのを待つ。
ガチャ
扉が開きかけたのを確認し、頭を下げる。
「きょきょきょきょきょ、今日はよろしくしゃす」
「おにぃちゃん、だーれ? ニワトリさん?」
あれ?
高崎さんの声ってこんな幼かったか?
それに、やけに下の方から声が聞こえるような……
状況を確認するべく、視線を下へ。
「こんちは♪」
————高崎さんの面影のある幼女がそこにいた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「いきなり妹がごめんねぇ」
「いや……。そんなことは……」
よし、状況を整理しよう。
今日は高崎さんの家で勉強会。
ご両親は旅行のため不在。
だから高崎さんと二人+幽霊娘一人で過ごすものだと思っていた。
しかし、目の前には、満面の笑みを浮かべている高崎さんの妹・雫ちゃんがいる。
高崎さんに姉妹がいる可能性をこれっぽっちも考えていなかった。
「お母さんとお父さんには二人でゆっくりしてほしかったから、雫は私が面倒を見ることにしたの。勉強中は邪魔させないようにするから」
「お、おう」
ソファーで二人仲良く座る姉妹。
妹の雫ちゃんは、まだ4歳で、やっぱり高崎さんの面影がある。
絶対に将来は美人さんになるな。うん。
「や! よいしょ! ふぅ」
突然高崎さんから離れ、床に胡坐をかいて座る俺の上に腰を下ろし、落ち着きだす雫ちゃん。
「あれ、雫そこがいいの?」
「うん! ここがいい♪」
あれ?
勝手に話が進んでませんか?
でも、この可愛らしい生き物には抗えず、頭をひと撫で。
「雫が自分から家族以外の人のところに行くは珍しいの。なんか太田君も慣れてるみたい」
「あ~、俺も妹がいるから。一つ違いだけど。小さい頃はこうやって面倒を見てたし」
「そうなんだ! 通りで! じゃあ、ちょっと重いかもしれないけど、このまま勉強しよっか♪ 雫、お姉ちゃんたちこれからお勉強するから静かにしててね? できる?」
「できる~! 雫ね、お兄ちゃん大好き!」
会って間もない幼女に告白されてしまった。
せめてあと10年くらい年を取ってくれれば……
そんな俺たちを見て、ほのぼの笑顔の高崎さん。
妙に母性的なものも垣間見えて、ちょっとドキッとする。
しばらく勉強を進めていると、可愛らしい寝息を立て始めた雫ちゃんをベッドに移動させ、そのままみっちりと勉強に集中することにした。
「う~! 今日も頑張ったぁ!」
大きく伸びをする高崎さん。
お昼は高崎さんが作ってくれたパスタ(超絶うまし)を食べ、すでに時刻は18時過ぎ。
最初はどうなるかと思ったけど、雫ちゃんがいてくれたおかげで思ったよりも勉強に集中することができた。
これ以上詰め込んでもしかたないだろうし、高崎さんもいい感じだ。これで俺の役目も終わりかな。
「じゃあ俺はそろそろ帰るよ。高崎さんも平均点以上を取れるくらい、いい感じに仕上がってきてると思うし」
「本当にありがとね、太田君。なんか勉強を難しく考え過ぎてたみたい。太田君のおかげで頭の中が整理されて、教えてもらったことがちゃんと頭に残るようになった! 試験が楽しみだよ!」
「そう言ってもらえてよかった」
荷物をまとめて立ち上がる。そして玄関に向かおうとしたら、何やら足元を掴まれている感触。
「ん?」
足元を確認すると、先ほどまでお絵かきをして遊んでいた雫ちゃんが、涙目でこちらを見つめている。
「帰っちゃうの?」
しゃがんで目線を合わせる。
「うん。今日はもう遅いし帰るよ。もしまた会えたら、今度は一緒に遊ぼっか」
「いや! 帰っちゃや! 今日遊ぶの! おにぃちゃんとおねんねしたいの! えーん!」
目にたまっていた水分を一気に放出させ泣き出す雫ちゃん。
優しく高崎さんが頭を撫でる。
「こら、わがまま言わないの。おにぃちゃんまた来てくれるから。ね!」
「やー!」
「普段はこんなわがままな子じゃないんだけど……。う~ん」
何やら悩みだす高崎さん。小さい子をあやすのはなかなか大変だよね。
すると、申し訳なさそうに口を開いて、
「あの~、太田君、今晩うちに泊まっていかない?」
「……にゃ?」
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