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【エピローグ】振り出し、そして願う
FIN
しおりを挟む6月28日、月曜日。
前橋さんとお別れしてから3日が経った。
どうやら最後の《巻き戻し》は、前橋さんと再会した6月25日まで遡っていたようだ。
そもそもどうして《巻き戻し》の先が、高崎さんの成績表を拾った地点だったのか、なぜ最後だけ6月25日まで戻ったのかは、今となっては謎のまま。
でも、
「他の女の子との出会いが、全部なしになってしまった……」
そう、再びこの世に現れたはずの前橋さんと行動しなかったことにより、心残り探検ツアーにも出かけていないし、そこで出会うはずの愛ちゃん、そこから派生して伊勢崎先輩とも出会えていない。
安中先生とのラッキースケベイベントも起きていなければ、当然、高崎さんとも何もない状況だ。
つまり、変り映えのしないボッチコミュ障時代の日常に戻ってしまったわけだ。
はぁ、もったいなかったかなぁ。
思わずため息がこぼれる。
人生でもう二度と、あんなに女の子と会話する機会なんてないんだろうな。
でも、あの経験があったからこそ、前橋さんと出会ったからこそ、前に進めるのかもしれない。
人生に巻き戻しなんてないのだから。
一つ一つの小さくて掛け替えのない経験が、自分の肥やしとなり、成長させる。
ガラガラ
俺は放課後の教室に一人戻っていた。
復習で使うはずの教科書を忘れて来てしまったからだ。
日は西の空に沈みかけ、教室をオレンジ色に染める。
「う……」
ふと風を感じたかと思うと、窓が開いていることに気づく。
まったく。日直は誰だ。
窓を閉めようと鍵に手を伸ばす。
そのとき————
「あなたはこの学校、楽しい?」
非常に淡白な音色、しかしどこか儚げでいつまでも聞き続けたくなるような、そんな声。
いつかこの教室で聞いたことがある質問だ。
ふと振り返る。
そこには、飲み込まれてしまうのではないかと錯覚されてしまうほどの黒髪。
目にギリギリ被らないようにきっちりと整えられた前髪。
教室の暗がりとは相反して、白く透き通った肌。
まるで心の奥底を見透かしてしまうのではないかと思うほど、はっきりとした大きな瞳。
人形と言ってしまっても差し支えないほど可愛らしく、それでいてどこか生気を感じない佇まい。
————そう、彼女がいたんだ。
「あんなに恥ずかしくて、感動的な別れ方をしてしまったのだけど、もう一つ心残りがあったみたい」
その端正で無表情な顔からは、感情が読み取れなかった。
でもそれは過去の話。
今は違う。
「太田君やクラスのみんなが卒業するまで、この学校で見守っていてあげるわ。だから、あなたがちゃんと女の子と付き合える日を楽しみにしてる。感謝してもいいのよ」
「はっはっはっはっ!」
もう笑うしかない。
こんなのってありかよ。
神様、仏様、画面の向こう側の美少女たちよ!
俺はこれからも努力は怠らない!
絶対に運命の人を見つけて、素敵なスクールライフを送ってみせるから!
————だから
目の前の窓を限界まで開け、大きく息を吸う。
————だから
こう叫ぶんだ。
——————だからお願い、恋をさせて
~FIN~
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