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二章
アンダーミッション
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「最近、たまに苦しそうにしている時があったんです。お医者さんに行こうって言っても、ナギさんは大丈夫だって」
トリナが不安げに話す。
彼女の異変は、今に始まった事じゃないらしい。
「まぁ。魔族が医者にかかるのもおかしい話だけどね。モミ、何か分かった?」
ベッドに横たわるナギさんに、モミさんが手をかざしている。
「残念ながら、これと言った原因は分かりませんね。しいて言えば、魔力が乱れている気がします」
「魔力……ねぇ――」
思案顔のニーヤと目が合った。逸らすわけでもなく、じーっと見ている。
それでなくとも眼力のある彼女だ。
こんなに見つめられると逆に怖い。
「――よし。トリナ達、ちょっと下に行こうか」
そう言うと、姉妹を連れて部屋を出て行った。
かと思うと、すぐさま戻ってきてこう言った。
「ほら。さっさと出しなさい」
「は?」
「は? じゃないわよ。分かるでしょ。魔力が乱れてるんだから、それなら魔力の『源』を与えれば治るんじゃない。サキュバスだし――」
ニーヤの提案は筋が通っている気もした。
短絡的ではあるが、それが解決策である可能性は高い。
昨夜の会話から推測すると、ナギさんが最後に精を摂取したのは結構前だろう。
少なくとも、姉妹と暮らすようになってからはしていないはずだ。
ならば、試してみる価値はあるだろう。
残念ながら(幸運にも?)この場で精を出せるのは僕しか居ない。
――しかし。
「え。今……ここで……?」
「ここじゃなきゃ何処で出すのよ」
公開しちゃうの!?
女の子に見られながら、横たわる無抵抗の女の子に!?
どんな羞恥プレイだよ! そんなメンタルがあったら三ヶ月も我慢してないよ!
とっくに出してるよ!
「いや、流石に股間を晒すのは……。皆いるし……」
「いつも出してるじゃない。見飽きたわよ」
「いや! 鎧を解除した時だけだし! 不可抗力だし!」
露出狂のように言うのをやめてくれ。あらぬ誤解が生まれる。
ってか見てたのかよ! 飽きるほど見てたのかよ!
「アタシ達がいなかったら、アンタなにするかわかんないでしょ? アンタにその気がなくても、セクシーソードの呪いがあるんだから」
う……。それを言われると返す言葉が無い。
確かに、間違って襲ってしまう可能性も否めないのだ。
「でも……やっぱ無理だって。……わかるでしょ?」
そう。僕のメンタルはそんなに強くない。
僕のセクシーソードも、この状況でフルパワーになれるほど暴君でもない。
結構シャイなのだ。シャイボーイなのだ。
「アンタいつも無駄に……ってるじゃない! 何でこんな時に役に立たないのよ」
「だから鎧を解除する時だけだって! その時は……刺激されるんだからしょうがないの!」
人を万年発情期みたいな言い方しやがって!
無駄にとか言うな! 無駄だけど!
「だったら――」
意を決したように、頬を赤らめたニーヤが口を開く。
「し、刺激されればいいわけでしょ?」
室内を緊張が支配した。
「に、ニーヤ……貴女……」
モミさんも驚いている。そりゃあそうだ。
まさかニーヤの口からそんな積極的な言葉が出るなんて誰が思っただろう。
「べ、別に意味なんかないわよ!? コイツがそうしないとダメって言うんだから! しょ、しょうがなくするだけよ!? 本当は見たくもないんだから!」
「そ、それなら私が代わりますよ! ケンセイさんだって、嫌々ではあまり気分が乗らないと思いますし!」
「べ、別に嫌々ってわけじゃないわよ! 仕方なくと嫌々は違うわ!」
一体彼女達は何を争っているんだろう。
そんな中、ペロ様が何か言いたそうにこちらを見ていたが、首を振っておいた。
流石にそれは色々と問題だ。
「に、ニーヤ忘れたんですか! ケンセイさんの股間を蹴り飛ばした事! また悲劇が起きますよ!」
モミさんの言葉に、忘れかけていた記憶が甦り、股間を押さえる。
あれはいつの話だっただろうか、鎧の解除をニーヤに頼んで悲劇が起こった事がある。
僕のピンポン玉がソフトボール大にまでランクアップしたのだ。
潰れなかったのが幸いである。
「あ、あの時はビックリしただけよ! 今回はちゃんとするから大丈夫!」
どうしても譲らないらしい。
何が彼女をここまで駆り立てるのか。多分、昨夜の出来事が糸を引いているんだろう。
「ケンセイさん……」
『最終判断は任せる』とばかりにモミさんが僕を見る。
もしかしたら『選択は間違えるなよ』と言いたいのかもしれない。
彼女は覚悟を決めた。
だとしたら、僕も逃げるわけにはいかないだろう。
「ニーヤに――お願いする」
英断であった。
「じゃ、じゃあいくわよ……」
僕の獲物が眼前にスタンバイされるよう、ナギさんの枕元に立ち膝をついた僕に、背後から彼女は言った。
まだズボンは履いている。
「ニーヤ……本当に大丈夫だよな……?」
僕は念を押すように問いかける。
これは決して楽なミッションではない。ただ出せばいいってもんじゃない。
タイミングよく、薬液を対象の口内に注ぎ込まなくてはならない。
二人の意思疎通が重要なのは言わずもがなだが、最重要なのは操縦者の微調整。
それが全てだと言ってもいい。少しでもタイミングがずれれば、手元が狂えばたちまち大惨事だ。
僕は僕で、操作レバーを壊される危険性もある。
安全装置はついてない。
可動可能角度を超えたら――サヨウナラ。
「大丈夫。アタシに任せて」
そう言って微笑む彼女に、もう不安はなかった。
任せよう。彼女ならきっと大丈夫。
僕は黙って頷いた。
腰に手が当てられ、一気に解除される。
ズボンと共にパンツまで解除したのは、彼女の闘志の表れだろう。
対象に接近。その距離まさに、目と鼻の先。
大丈夫。ニーヤなら大丈夫だ。
「モクヒョウヲセンターニイレテスイッチモクヒョウヲセンターニイレテスイッチ……」
大丈夫……だよな? いや、もう退路は無い!
ニーヤの手が伸びる。覚悟を決めた。
――その時。
パチリ。とナギさんの瞳があいた。
「え……? 何してるんですか……?」
――任務失敗。総員直ちに帰還せよ。
繰り返す。総員直ちに帰還せよ――。
トリナが不安げに話す。
彼女の異変は、今に始まった事じゃないらしい。
「まぁ。魔族が医者にかかるのもおかしい話だけどね。モミ、何か分かった?」
ベッドに横たわるナギさんに、モミさんが手をかざしている。
「残念ながら、これと言った原因は分かりませんね。しいて言えば、魔力が乱れている気がします」
「魔力……ねぇ――」
思案顔のニーヤと目が合った。逸らすわけでもなく、じーっと見ている。
それでなくとも眼力のある彼女だ。
こんなに見つめられると逆に怖い。
「――よし。トリナ達、ちょっと下に行こうか」
そう言うと、姉妹を連れて部屋を出て行った。
かと思うと、すぐさま戻ってきてこう言った。
「ほら。さっさと出しなさい」
「は?」
「は? じゃないわよ。分かるでしょ。魔力が乱れてるんだから、それなら魔力の『源』を与えれば治るんじゃない。サキュバスだし――」
ニーヤの提案は筋が通っている気もした。
短絡的ではあるが、それが解決策である可能性は高い。
昨夜の会話から推測すると、ナギさんが最後に精を摂取したのは結構前だろう。
少なくとも、姉妹と暮らすようになってからはしていないはずだ。
ならば、試してみる価値はあるだろう。
残念ながら(幸運にも?)この場で精を出せるのは僕しか居ない。
――しかし。
「え。今……ここで……?」
「ここじゃなきゃ何処で出すのよ」
公開しちゃうの!?
女の子に見られながら、横たわる無抵抗の女の子に!?
どんな羞恥プレイだよ! そんなメンタルがあったら三ヶ月も我慢してないよ!
とっくに出してるよ!
「いや、流石に股間を晒すのは……。皆いるし……」
「いつも出してるじゃない。見飽きたわよ」
「いや! 鎧を解除した時だけだし! 不可抗力だし!」
露出狂のように言うのをやめてくれ。あらぬ誤解が生まれる。
ってか見てたのかよ! 飽きるほど見てたのかよ!
「アタシ達がいなかったら、アンタなにするかわかんないでしょ? アンタにその気がなくても、セクシーソードの呪いがあるんだから」
う……。それを言われると返す言葉が無い。
確かに、間違って襲ってしまう可能性も否めないのだ。
「でも……やっぱ無理だって。……わかるでしょ?」
そう。僕のメンタルはそんなに強くない。
僕のセクシーソードも、この状況でフルパワーになれるほど暴君でもない。
結構シャイなのだ。シャイボーイなのだ。
「アンタいつも無駄に……ってるじゃない! 何でこんな時に役に立たないのよ」
「だから鎧を解除する時だけだって! その時は……刺激されるんだからしょうがないの!」
人を万年発情期みたいな言い方しやがって!
無駄にとか言うな! 無駄だけど!
「だったら――」
意を決したように、頬を赤らめたニーヤが口を開く。
「し、刺激されればいいわけでしょ?」
室内を緊張が支配した。
「に、ニーヤ……貴女……」
モミさんも驚いている。そりゃあそうだ。
まさかニーヤの口からそんな積極的な言葉が出るなんて誰が思っただろう。
「べ、別に意味なんかないわよ!? コイツがそうしないとダメって言うんだから! しょ、しょうがなくするだけよ!? 本当は見たくもないんだから!」
「そ、それなら私が代わりますよ! ケンセイさんだって、嫌々ではあまり気分が乗らないと思いますし!」
「べ、別に嫌々ってわけじゃないわよ! 仕方なくと嫌々は違うわ!」
一体彼女達は何を争っているんだろう。
そんな中、ペロ様が何か言いたそうにこちらを見ていたが、首を振っておいた。
流石にそれは色々と問題だ。
「に、ニーヤ忘れたんですか! ケンセイさんの股間を蹴り飛ばした事! また悲劇が起きますよ!」
モミさんの言葉に、忘れかけていた記憶が甦り、股間を押さえる。
あれはいつの話だっただろうか、鎧の解除をニーヤに頼んで悲劇が起こった事がある。
僕のピンポン玉がソフトボール大にまでランクアップしたのだ。
潰れなかったのが幸いである。
「あ、あの時はビックリしただけよ! 今回はちゃんとするから大丈夫!」
どうしても譲らないらしい。
何が彼女をここまで駆り立てるのか。多分、昨夜の出来事が糸を引いているんだろう。
「ケンセイさん……」
『最終判断は任せる』とばかりにモミさんが僕を見る。
もしかしたら『選択は間違えるなよ』と言いたいのかもしれない。
彼女は覚悟を決めた。
だとしたら、僕も逃げるわけにはいかないだろう。
「ニーヤに――お願いする」
英断であった。
「じゃ、じゃあいくわよ……」
僕の獲物が眼前にスタンバイされるよう、ナギさんの枕元に立ち膝をついた僕に、背後から彼女は言った。
まだズボンは履いている。
「ニーヤ……本当に大丈夫だよな……?」
僕は念を押すように問いかける。
これは決して楽なミッションではない。ただ出せばいいってもんじゃない。
タイミングよく、薬液を対象の口内に注ぎ込まなくてはならない。
二人の意思疎通が重要なのは言わずもがなだが、最重要なのは操縦者の微調整。
それが全てだと言ってもいい。少しでもタイミングがずれれば、手元が狂えばたちまち大惨事だ。
僕は僕で、操作レバーを壊される危険性もある。
安全装置はついてない。
可動可能角度を超えたら――サヨウナラ。
「大丈夫。アタシに任せて」
そう言って微笑む彼女に、もう不安はなかった。
任せよう。彼女ならきっと大丈夫。
僕は黙って頷いた。
腰に手が当てられ、一気に解除される。
ズボンと共にパンツまで解除したのは、彼女の闘志の表れだろう。
対象に接近。その距離まさに、目と鼻の先。
大丈夫。ニーヤなら大丈夫だ。
「モクヒョウヲセンターニイレテスイッチモクヒョウヲセンターニイレテスイッチ……」
大丈夫……だよな? いや、もう退路は無い!
ニーヤの手が伸びる。覚悟を決めた。
――その時。
パチリ。とナギさんの瞳があいた。
「え……? 何してるんですか……?」
――任務失敗。総員直ちに帰還せよ。
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