5 / 154
呪われた装備
しおりを挟む
部屋の中は、余計なものが一切ない簡素な室内。
二つ並んだベッドはそこそこ離れてる、これなら大丈夫そう――ってなにが大丈夫なんだ……。
「私と一緒の部屋ですいません。迷惑じゃないですか?」
「め、迷惑だなんてそんな。僕の方こそ迷惑じゃないかなって思うよ」
「それなら良かったです。少しお話もしたかったんですよ、異世界のお話も聞きたいですし。とりあえずお風呂に入ってゆっくりしましょう、準備してきますね」
そう言うと、彼女は奥の部屋に入っていった。
お風呂、か。この世界にもお風呂とかあるんだな。まだまだ分からない事だらけだ。
知りたい、もっとこの世界の事。そして彼女の名前も。
「そういえばケンセイさん。その剣、さっき私が拾った時は刀身がありませんでしたが。魔力を込めて使う物なんですか?」
戻ってきたモミさんが、僕の腰の柄を指差して言った。抜いてみるとやはり刀身はない。
「僕にもよく分からないんですが、何でも女性の――」
言葉に詰まる。女性の前でそんな事言っていいんだろうか。それを聞いた彼女はどんな反応をするだろう。
変態ソード、いやセクシーソードか。これは中々説明の仕様がない。
「わ、分からないんですよ。どうやって使うのか全く」
とっさに嘘をついてしまった。言えないって絶対。
折角信用してくれているんだ。わざわざ余計な事を言って不信感をあおるわけにはいかない。
「そうなんですか。じゃあ一緒に色々試行錯誤していきましょう」
「あ、うん。ありがとう」
ああ、モミさんの優しさが辛い。罪悪感さえ覚える。
「お風呂の準備が出来ました。ケンセイさんお先にどうぞ」
「いや、モミさん先に入って下さい。僕は後でいいですよ」
「遠慮しないで下さい、大丈夫ですから。でも……私が浸かったお風呂に入りたいって言うなら別ですけど」
「お、お先に入らせていただきます」
笑顔で何て事言うんだ。やっぱり変態だと思われてるんじゃないだろうか。
あれ、って言うかこの鎧どうやって脱ぐんだ? 身体にピッタリはまって外れる気配がないぞ。継ぎ目らしき場所も見当たらないし。
「どうしました?」
「いや、鎧の脱ぎ方が分からなくて」
「ちょっと見せてもらえますか? あら、これは不思議ですね。継ぎ目もありませんし」
ち、近い。いい匂いもするし。しかも鎧の上から触られてるのに、肌を直接触られている様な感触だ。
それにしても、やっぱりモミさん胸大きいな。
ガジガラで会った彼女程じゃないけど、柔らかそうで――。
「あんっ」
「ふぁっ!?」
ななな、何をやってるんだ僕は!? 身体が勝手に! 手が勝手にいいいいいい!
「すすす、すいません! すいません!」
謝るしかない! 土下座だ土下座、ジャンピング土下座だ。
何て事をしでかしたんだ。頭を撫でるのとは訳が違う。死んでしまえ僕、頭を割って死んでしまえ!
「け、ケンセイさん大丈夫ですから。そんなに頭を打ったらお怪我をなさいます。顔を上げてください」
頭なんて上げられるわけがない。折角モミさんが信用してくれていたのに。もうダメだ。変態のレッテルを貼られて僕は生きるんだ。
この鎧の所為か? 絶対そうだ。呪われた装備だって言ってたし。
くそっ、とんだ餞別だ。悪意しか感じないぞ。
「ペロ様の時もそうでしたけど、もしかして身体が勝手に動くんですか?」
「そ、そうなんです! 僕は決してやましい気持ちじゃないんです! 剣と同じく呪われた装備だと思います!」
「剣と同じく……ですか?」
……しまった。知らないって言ったんだった。もう言い逃れは出来ない。
「じ、実は――」
「そうだったんですか。女性の精を力に変える剣、ですか」
「すいません、知らないって嘘ついたりして。正直に話していいものか分からなくて」
「気にしないで下さい。多分これは『魔装具』ですね」
「魔装具ですか?」
「ええ、魔力が込められた特殊な道具です。人間には造れない、魔族専用のアイテムですね。性能は良い反面、何らかの呪いがかけられているパターンが多いんですよ」
「じゃあ外れないって事ですか?」
「そうですね。完全に外すのは不可能かもしれません。でも鎧を解除する方法はあると思うんですよ。ちょっと失礼しますね」
そう言うと、彼女の手が紫のオーラに包まれた。何かの魔法だろうか。僕の身体を探るように、彼女が手をかざす。
「あっ」
何かに気付いたように彼女が声を上げる。
「何か分かりました?」
「え、ええ。分かりましたけど……。その……」
言葉を濁して俯く。何だ、嫌な予感がぷんぷんする。
「も、もしかして外れないとかですか?」
「い、いえ、そういうわけではないんですけど……」
何だ、一体どうしたって言うんだ。
「め、目をつぶってもらえますか!」
「目ですか? 分かりました」
彼女の言う通り、目をつぶる。
「じゃ、じゃあ失礼しますね」
「ふぁっ!?」
「す、すいません! 我慢して下さい!」
股間に感じる、手を覆うオーラの温かさ、指の感触。鎧で隠れているはずなのに、刺激がダイレクトだ。
触られている! これは触られている!
「ま、まだですか! 色々とやばいです!」
「も、もう少しの辛抱です!」
そ、そんなに撫でないで。優しすぎる――。
その時、すっと身体が軽くなった。目を開けると、身体を包んでいた鎧が外れ、左腕に腕輪がはまっていた。
「あ、とれましたね。この腕輪は何でしょう?」
「多分それが魔装具です。鎧の元ですね」
へー。こんなにコンパクトになるのか。いやはや何とも不思議な感じだ。
「あの、み、見えてます」
モミさんが恥ずかしそうに目を背ける。
ん? 見えてる? ……見えてる!?
自分の姿を見て驚いた。パンツ一丁ならぬ、腕輪一丁。股間には決して光らないセクシーソードが戦闘態勢だ。
「ああああああ! すいませんすいません!」
僕は脱兎の如く風呂場に逃げ込んだ。
二つ並んだベッドはそこそこ離れてる、これなら大丈夫そう――ってなにが大丈夫なんだ……。
「私と一緒の部屋ですいません。迷惑じゃないですか?」
「め、迷惑だなんてそんな。僕の方こそ迷惑じゃないかなって思うよ」
「それなら良かったです。少しお話もしたかったんですよ、異世界のお話も聞きたいですし。とりあえずお風呂に入ってゆっくりしましょう、準備してきますね」
そう言うと、彼女は奥の部屋に入っていった。
お風呂、か。この世界にもお風呂とかあるんだな。まだまだ分からない事だらけだ。
知りたい、もっとこの世界の事。そして彼女の名前も。
「そういえばケンセイさん。その剣、さっき私が拾った時は刀身がありませんでしたが。魔力を込めて使う物なんですか?」
戻ってきたモミさんが、僕の腰の柄を指差して言った。抜いてみるとやはり刀身はない。
「僕にもよく分からないんですが、何でも女性の――」
言葉に詰まる。女性の前でそんな事言っていいんだろうか。それを聞いた彼女はどんな反応をするだろう。
変態ソード、いやセクシーソードか。これは中々説明の仕様がない。
「わ、分からないんですよ。どうやって使うのか全く」
とっさに嘘をついてしまった。言えないって絶対。
折角信用してくれているんだ。わざわざ余計な事を言って不信感をあおるわけにはいかない。
「そうなんですか。じゃあ一緒に色々試行錯誤していきましょう」
「あ、うん。ありがとう」
ああ、モミさんの優しさが辛い。罪悪感さえ覚える。
「お風呂の準備が出来ました。ケンセイさんお先にどうぞ」
「いや、モミさん先に入って下さい。僕は後でいいですよ」
「遠慮しないで下さい、大丈夫ですから。でも……私が浸かったお風呂に入りたいって言うなら別ですけど」
「お、お先に入らせていただきます」
笑顔で何て事言うんだ。やっぱり変態だと思われてるんじゃないだろうか。
あれ、って言うかこの鎧どうやって脱ぐんだ? 身体にピッタリはまって外れる気配がないぞ。継ぎ目らしき場所も見当たらないし。
「どうしました?」
「いや、鎧の脱ぎ方が分からなくて」
「ちょっと見せてもらえますか? あら、これは不思議ですね。継ぎ目もありませんし」
ち、近い。いい匂いもするし。しかも鎧の上から触られてるのに、肌を直接触られている様な感触だ。
それにしても、やっぱりモミさん胸大きいな。
ガジガラで会った彼女程じゃないけど、柔らかそうで――。
「あんっ」
「ふぁっ!?」
ななな、何をやってるんだ僕は!? 身体が勝手に! 手が勝手にいいいいいい!
「すすす、すいません! すいません!」
謝るしかない! 土下座だ土下座、ジャンピング土下座だ。
何て事をしでかしたんだ。頭を撫でるのとは訳が違う。死んでしまえ僕、頭を割って死んでしまえ!
「け、ケンセイさん大丈夫ですから。そんなに頭を打ったらお怪我をなさいます。顔を上げてください」
頭なんて上げられるわけがない。折角モミさんが信用してくれていたのに。もうダメだ。変態のレッテルを貼られて僕は生きるんだ。
この鎧の所為か? 絶対そうだ。呪われた装備だって言ってたし。
くそっ、とんだ餞別だ。悪意しか感じないぞ。
「ペロ様の時もそうでしたけど、もしかして身体が勝手に動くんですか?」
「そ、そうなんです! 僕は決してやましい気持ちじゃないんです! 剣と同じく呪われた装備だと思います!」
「剣と同じく……ですか?」
……しまった。知らないって言ったんだった。もう言い逃れは出来ない。
「じ、実は――」
「そうだったんですか。女性の精を力に変える剣、ですか」
「すいません、知らないって嘘ついたりして。正直に話していいものか分からなくて」
「気にしないで下さい。多分これは『魔装具』ですね」
「魔装具ですか?」
「ええ、魔力が込められた特殊な道具です。人間には造れない、魔族専用のアイテムですね。性能は良い反面、何らかの呪いがかけられているパターンが多いんですよ」
「じゃあ外れないって事ですか?」
「そうですね。完全に外すのは不可能かもしれません。でも鎧を解除する方法はあると思うんですよ。ちょっと失礼しますね」
そう言うと、彼女の手が紫のオーラに包まれた。何かの魔法だろうか。僕の身体を探るように、彼女が手をかざす。
「あっ」
何かに気付いたように彼女が声を上げる。
「何か分かりました?」
「え、ええ。分かりましたけど……。その……」
言葉を濁して俯く。何だ、嫌な予感がぷんぷんする。
「も、もしかして外れないとかですか?」
「い、いえ、そういうわけではないんですけど……」
何だ、一体どうしたって言うんだ。
「め、目をつぶってもらえますか!」
「目ですか? 分かりました」
彼女の言う通り、目をつぶる。
「じゃ、じゃあ失礼しますね」
「ふぁっ!?」
「す、すいません! 我慢して下さい!」
股間に感じる、手を覆うオーラの温かさ、指の感触。鎧で隠れているはずなのに、刺激がダイレクトだ。
触られている! これは触られている!
「ま、まだですか! 色々とやばいです!」
「も、もう少しの辛抱です!」
そ、そんなに撫でないで。優しすぎる――。
その時、すっと身体が軽くなった。目を開けると、身体を包んでいた鎧が外れ、左腕に腕輪がはまっていた。
「あ、とれましたね。この腕輪は何でしょう?」
「多分それが魔装具です。鎧の元ですね」
へー。こんなにコンパクトになるのか。いやはや何とも不思議な感じだ。
「あの、み、見えてます」
モミさんが恥ずかしそうに目を背ける。
ん? 見えてる? ……見えてる!?
自分の姿を見て驚いた。パンツ一丁ならぬ、腕輪一丁。股間には決して光らないセクシーソードが戦闘態勢だ。
「ああああああ! すいませんすいません!」
僕は脱兎の如く風呂場に逃げ込んだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる