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追撃
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「あれ? 珍しいね、僕より早く来てるなんて」
教室の中。俺の傍に来るなり、真が驚いた様子で言った。
「おっす……」
家が近い事に甘え、普段はギリギリに登校しているのだ。
今日は二十分程早い。理由は、言わずもがな。
「ねぇ。どうかしたの?」
「おっす……」
俺は夢を見ているんだろうか?
もしかしてこれは夢の続きか?
じゃなきゃ説明がつかないだろ。夢の内容を雅が知っているのも、胸を触らせるのも、何一つ現実的じゃない。
そうか、これは夢――。
「ねぇってば!」
頬を膨らませた真が、バン。と机を叩いた。
ふむ。可愛い。何から何まで、こいつは可愛らしすぎる。まるで男じゃないみたいだ。
だからと言って、女装しているわけではない。ちゃんとブツが付いているのを俺は確認している。
しかし、もしこれが夢なら? こいつは男じゃないんじゃないか?
「ひゃっ!? ちょっ……! んっ! 夕っ……くんっ!」
揉んでみた。
やはり――付いている。
「夢じゃ――ない?」
「っ! 夕君の変態っ!」
真のカバンが脳天に突き刺さる。教科書がギッシリと詰ったソレは、もはや凶器と言ってもさしつかえないだろう。
「痛ってぇ……。いきなり何すんだよ」
「それは僕の台詞だよっ! ひ、人の大事なとこ触るなんてっ!」
「そんな赤面する程の事じゃないだろ。男同士なんだから」
そうだ。男同士なら別にどこを触ろうが大した問題にはならない。
――認めないと、皆に言います。
「大問題だぜ……」
真に殴られたのを抜きにしても頭が痛い。雅の行動の真意は分からないが、状況は最悪だ。
例えそれが俺の意に反して、無理矢理だったとしても、俺が雅の胸に触れた事実に変わりは無い。
もしもそれを言いふらされたら、一体誰が俺の言葉を信じるって言うんだ。
俺の学園生活――いや、人生が破綻する。
「こっちが大問題だよっ! 全く、いくら男同士だからって、勝手に触ったら痴漢だよ?」
「ぐっ!」
痴漢と言う単語が、最悪の事態を想像させる。
嫌だ! こんな田舎じゃすぐに広まってしまう! そうなったら俺だけじゃない、家族まで白い目で見られるんだ!
「どんな顔で仏壇に向かえばいいんだ……」
「な、何か顔色悪いけど大丈夫?」
「……分からない」
「何か悩みがあったら何でも言ってよ。僕達友達でしょ?」
純粋に心配してくれる真の言葉も――慰めにはならなかった。
ついさっきの出来事が、頭の中を駆け巡っていた。
――み、認めます。
雅の罠にはまった俺は、そう言わざるをえなかった。
「私の胸を触った事、認めるんですね?」
「夢の……中だけど……。ってか、何で俺のゆ――」
俺の質問は、突き出した雅の掌によって遮られた。
「触っただけじゃありませんよね?」
「も、揉んだ……のかな……?」
「その後は?」
何故だ。こいつは何を言わせようとしている?
顔を真っ赤にしながらも、何故そこまで踏み込んでくる?
「そ、その後は何もしてないだろ! 未遂だ!」
「し、シラを切るつもりですかっ!? 未遂かもしれないけど、夜見くんはしようとしたよね!? し、舌まで出してっ!」
そこまで――知っているのか。
俺が夜見から味見にジョブチェンジしたことまで、こいつは知ってると言うのか!
「言って下さい」
「え?」
「私の胸を揉んだと、きちんと認めてください」
俺の腕を力一杯に掴みながら、今にも泣き出しそうな表情を浮かべる。
――俺は、雅蝶良の胸を揉みました。
それだけ聞いて、あいつは俺に背を向けて去っていった。
あれで終わったとは思わない。きっとまだ何かあるはずだ。
そう構えていた俺だったが、相手の動きは予想より早かった。
「あの、夜見くん――」
昼のチャイムが鳴り響く頃、クラスの視線もものともせず、真っ直ぐ俺の席まで来た彼女は言った。
「よかったら、一緒にお昼食べない?」
満面の笑みをたたえた、美しい蝶がそこに居た。
教室の中。俺の傍に来るなり、真が驚いた様子で言った。
「おっす……」
家が近い事に甘え、普段はギリギリに登校しているのだ。
今日は二十分程早い。理由は、言わずもがな。
「ねぇ。どうかしたの?」
「おっす……」
俺は夢を見ているんだろうか?
もしかしてこれは夢の続きか?
じゃなきゃ説明がつかないだろ。夢の内容を雅が知っているのも、胸を触らせるのも、何一つ現実的じゃない。
そうか、これは夢――。
「ねぇってば!」
頬を膨らませた真が、バン。と机を叩いた。
ふむ。可愛い。何から何まで、こいつは可愛らしすぎる。まるで男じゃないみたいだ。
だからと言って、女装しているわけではない。ちゃんとブツが付いているのを俺は確認している。
しかし、もしこれが夢なら? こいつは男じゃないんじゃないか?
「ひゃっ!? ちょっ……! んっ! 夕っ……くんっ!」
揉んでみた。
やはり――付いている。
「夢じゃ――ない?」
「っ! 夕君の変態っ!」
真のカバンが脳天に突き刺さる。教科書がギッシリと詰ったソレは、もはや凶器と言ってもさしつかえないだろう。
「痛ってぇ……。いきなり何すんだよ」
「それは僕の台詞だよっ! ひ、人の大事なとこ触るなんてっ!」
「そんな赤面する程の事じゃないだろ。男同士なんだから」
そうだ。男同士なら別にどこを触ろうが大した問題にはならない。
――認めないと、皆に言います。
「大問題だぜ……」
真に殴られたのを抜きにしても頭が痛い。雅の行動の真意は分からないが、状況は最悪だ。
例えそれが俺の意に反して、無理矢理だったとしても、俺が雅の胸に触れた事実に変わりは無い。
もしもそれを言いふらされたら、一体誰が俺の言葉を信じるって言うんだ。
俺の学園生活――いや、人生が破綻する。
「こっちが大問題だよっ! 全く、いくら男同士だからって、勝手に触ったら痴漢だよ?」
「ぐっ!」
痴漢と言う単語が、最悪の事態を想像させる。
嫌だ! こんな田舎じゃすぐに広まってしまう! そうなったら俺だけじゃない、家族まで白い目で見られるんだ!
「どんな顔で仏壇に向かえばいいんだ……」
「な、何か顔色悪いけど大丈夫?」
「……分からない」
「何か悩みがあったら何でも言ってよ。僕達友達でしょ?」
純粋に心配してくれる真の言葉も――慰めにはならなかった。
ついさっきの出来事が、頭の中を駆け巡っていた。
――み、認めます。
雅の罠にはまった俺は、そう言わざるをえなかった。
「私の胸を触った事、認めるんですね?」
「夢の……中だけど……。ってか、何で俺のゆ――」
俺の質問は、突き出した雅の掌によって遮られた。
「触っただけじゃありませんよね?」
「も、揉んだ……のかな……?」
「その後は?」
何故だ。こいつは何を言わせようとしている?
顔を真っ赤にしながらも、何故そこまで踏み込んでくる?
「そ、その後は何もしてないだろ! 未遂だ!」
「し、シラを切るつもりですかっ!? 未遂かもしれないけど、夜見くんはしようとしたよね!? し、舌まで出してっ!」
そこまで――知っているのか。
俺が夜見から味見にジョブチェンジしたことまで、こいつは知ってると言うのか!
「言って下さい」
「え?」
「私の胸を揉んだと、きちんと認めてください」
俺の腕を力一杯に掴みながら、今にも泣き出しそうな表情を浮かべる。
――俺は、雅蝶良の胸を揉みました。
それだけ聞いて、あいつは俺に背を向けて去っていった。
あれで終わったとは思わない。きっとまだ何かあるはずだ。
そう構えていた俺だったが、相手の動きは予想より早かった。
「あの、夜見くん――」
昼のチャイムが鳴り響く頃、クラスの視線もものともせず、真っ直ぐ俺の席まで来た彼女は言った。
「よかったら、一緒にお昼食べない?」
満面の笑みをたたえた、美しい蝶がそこに居た。
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