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夢ならば
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「セクシーソードかぁ。何か、夜見くんにピッタリな武器だね」
「やめてくれ。こんなイロモノネタ装備似合いたくもないぜ」
ってか女のフェロモンってなんだよ。漠然としすぎだろ。
ん? 待てよ――。
「なぁ、お前がコレ使えばいいんじゃないか? ほれ」
名案だ。女のフェロモンが必要なら、女が使えばいい。
「私はダメだと思うけ――うわぁっ!?」
手渡した剣が、地面に落ちた。
「何やってんだよ」
「違うよ。これすごい重いんだもん。うー! んー!」
地面に落ちた剣を必死に持ち上げようとする雅。
その様子を見るに、どうやら冗談ではなさそうだ。
「装備条件に書いてあったでしょ。童貞って」
悪戯好きの子供の様に雅が微笑む。
「夜見くんはどーてーかぁ~。そっかそっか~」
「う、うるせぇ! お前だって、しょ、処女じゃねぇのかよ」
その言葉で、雅の笑顔が一瞬で曇った。
「さっき、見てなかったんだね」
聞くな。勘がそう告げている。
話を逸らせ。話題を変えろ。
「何の……事だよ?」
でも、好奇心が俺の口を開かせる。
「私。処女じゃないんだ」
恥を隠すように笑って、
「お父さんに、無理矢理」
笑えない話をした。
「嘘……だろ……?」
「うん。嘘」
空いた口が塞がらない。それを俺は、今身を持って体験している。
「ふふっ。驚いた? 夜見くん、凄い顔してる」
「いや、驚くだろ。ってか冗談にしてはきつすぎるっての」
突っ込むテンションも失せるほどの破壊力。
それにしても、こいつ――。
「あれ? まさか信じてない? 鑑定メガネで見てもいいよ?」
「いや、てかさ、お前ってアレだよな。何かこう、思ってたのと違うって言うか」
純真無垢で、清廉潔白。
品行方正で、純情可憐。
雅蝶良にそんなイメージを抱いていたのは、多分俺だけじゃないはずだ。
「幻滅した?」
「いや、ただちょっと驚いただけだ」
「私だって、何処にでもいる女の子だよ」
そう笑った雅の横顔は、どこか悲しげだった。
「でも大丈夫。自分に何が求められているかは、ちゃんとわかってるつもり」
慕われ、尊敬され、憧れられ、惚れられ。
他人の想いは、時に重さになる。
本当の自分など、自分にしか分からない。
「だから、こんな話をするのはここでだけ。私だけど、私じゃなく居られるこの世界だけ。だって、夢の中なら――」
「何でもあり――か」
雅は嬉しそうに笑った。
つられて、俺も笑った。
「やめてくれ。こんなイロモノネタ装備似合いたくもないぜ」
ってか女のフェロモンってなんだよ。漠然としすぎだろ。
ん? 待てよ――。
「なぁ、お前がコレ使えばいいんじゃないか? ほれ」
名案だ。女のフェロモンが必要なら、女が使えばいい。
「私はダメだと思うけ――うわぁっ!?」
手渡した剣が、地面に落ちた。
「何やってんだよ」
「違うよ。これすごい重いんだもん。うー! んー!」
地面に落ちた剣を必死に持ち上げようとする雅。
その様子を見るに、どうやら冗談ではなさそうだ。
「装備条件に書いてあったでしょ。童貞って」
悪戯好きの子供の様に雅が微笑む。
「夜見くんはどーてーかぁ~。そっかそっか~」
「う、うるせぇ! お前だって、しょ、処女じゃねぇのかよ」
その言葉で、雅の笑顔が一瞬で曇った。
「さっき、見てなかったんだね」
聞くな。勘がそう告げている。
話を逸らせ。話題を変えろ。
「何の……事だよ?」
でも、好奇心が俺の口を開かせる。
「私。処女じゃないんだ」
恥を隠すように笑って、
「お父さんに、無理矢理」
笑えない話をした。
「嘘……だろ……?」
「うん。嘘」
空いた口が塞がらない。それを俺は、今身を持って体験している。
「ふふっ。驚いた? 夜見くん、凄い顔してる」
「いや、驚くだろ。ってか冗談にしてはきつすぎるっての」
突っ込むテンションも失せるほどの破壊力。
それにしても、こいつ――。
「あれ? まさか信じてない? 鑑定メガネで見てもいいよ?」
「いや、てかさ、お前ってアレだよな。何かこう、思ってたのと違うって言うか」
純真無垢で、清廉潔白。
品行方正で、純情可憐。
雅蝶良にそんなイメージを抱いていたのは、多分俺だけじゃないはずだ。
「幻滅した?」
「いや、ただちょっと驚いただけだ」
「私だって、何処にでもいる女の子だよ」
そう笑った雅の横顔は、どこか悲しげだった。
「でも大丈夫。自分に何が求められているかは、ちゃんとわかってるつもり」
慕われ、尊敬され、憧れられ、惚れられ。
他人の想いは、時に重さになる。
本当の自分など、自分にしか分からない。
「だから、こんな話をするのはここでだけ。私だけど、私じゃなく居られるこの世界だけ。だって、夢の中なら――」
「何でもあり――か」
雅は嬉しそうに笑った。
つられて、俺も笑った。
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