私立桃華学園! ~性春謳歌の公式認可《フリーパス》~

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変態仮面は突然に

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「ありがとう。助かったよ」
 口移し――などと甘い官能的なモノではなく、ダバダバと上から垂らした水を飲むという、シュールでロマンスの欠片も無いモノだったが、おかげで言葉を話せるくらいに喉の渇きは癒えた。
 一方彼女は、表情も見えず、無言。
 また振り出しに戻ったらしい。

「あの――お尻……大丈夫……?」
 話題が無いにせよ、他に何か無いのかよ。
 そう思っても、言ってしまったものは仕方ない。
 彼女はくるりと後ろを向くと、おもむろにスカートをまくりあげた。
 真っ赤に腫れあがった見事な桃――何でノーパンなんだ……?

「あ……ゴメン……」
 目を逸らし謝る。
 パンツ――痛くて履けないんだ。
 彼女に申し訳ない気持ちと自己嫌悪。
 熱のせいでボーっとした頭では、上手く会話が出てこない。
「立ってるのも疲れるから座ったら――ってゴメン、痛くて座れないか……。その……楽な姿勢……出来たら……」
 何を言っているのか自分でも良く分からない。
 もういっそ口を開かないほうがいいんじゃないか? 
 でも沈黙が重い。
 あれやこれやと思案を巡らせていると、突然彼女が予想外の行動に出た。

「え……っと……。何が起きてるのかな……?」
 僕の上に覆いかぶさる彼女。
 何となく分かる。座れないなら寝転べばいい。そう考えたんだろう。
 だからと言って僕の上にうつ伏せる事はないんじゃないか? 
 別に重いとかじゃないんだ。むしろ制服姿のJKと密着してる事を喜ぶべきなのかもしれない。

 だけど何だ。悪い霊にとり憑かれてる様にしか見えないんだよ。
 顔が近い。見えない。怖い。
 良く分からない汗が頬を伝う。
 彼女はそっと手を伸ばし、白い布で僕の顔をぬぐった。
「あ、ありがとう……」
 呪いの儀式にも見えなくは無い彼女の行動は、僕を気遣ってくれているんだろう。
 優しく触れる布の心地良さに、ゆっくりと身を任せる。
 その時、ピタリと彼女の手が止まった。
 どうしたのかと目を開けて見ると――少女が白い布を広げている。

――パンツだ。
 昨日の忘れ物のパンツだ。
 何となく持ってきてしまったけど名誉の為に言おう。
 誓って『何もしていない』
「あっ、ちっ、違うんだ! 昨日あの、どうしようか迷ったんだけど! 置いていくのはどうかと思っただけで! 決してやま――っ!?」
 世界が一瞬で白に変わる。鼻腔をくすぐる甘い香り。
 何? かぶせちゃったの? 何でパンツかぶせるの? 
 何でかぶらされてるの?

「……かぶるの好き……言ってた……」
 彼女が初めて放った言葉。もう何が何だか分からない。
 僕がそんな事言うわけない。多分人生で一度も言った事はない。
 熱でぐるぐる回る頭の中を検索する。
 キーワードは『パンツ』『かぶる』

――降参しなきゃ、かぶる!

 灰名と闘った時、止めに僕が言った言葉だ。
 いや、違うよ山棟蛇ちゃん。
 あれはどっちかと言うと『僕にかぶらせないで。負けを認めてくださいお願いします』って意味合いだよ。
 かぶらせてくださいじゃないんだよ。

 もうダメだ。抵抗する気力もない。
 やっぱりこのまま死ぬのかもしれない。まだ死にたくない。
 ってか死んでも死にきれない。こんな最後はいやだ――。

「愛染。大丈夫かー?」
 扉が開くと共に聞きなれた狼牙の声。
「本当にこんなところに住んでるの~? ってか馬がいるよ~」
 だらだらした乳――いや、牛追の声。
「お馬さんです~。かわいいですね~」
 ほわほわした有川の声。その後ろで騒ぐ他の女子の気配。
「何……してんの……?」
 多分彼女達が目撃したのは、ノーパンの女子を上に乗せた変態仮面の僕。

――やっぱ死んでもいいや。
 ふと、そう思った。
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