『母親』ってなんだろう?

おかる

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子供たちの個室がある階には、来客用に四畳半の和室があったが、子供たちが就職して取り込んだ洗濯物を畳んでもらえなくなると、取り込んだ洗濯物をその和室に放り込むようになった。
極めつけは、食事を作らなくなったこと。
姉妹の人数が多かったからか、
「女の子なんだから料理くらいできないと」
と言って、私たち姉妹に作らせるようになった。
ちなみに自称『母親』が作った料理でちょっと味付けが濃いときなど、指摘をすると
「文句を言うなら食べなくていい!」
とキレていた。
そして私たち姉妹が作った料理には、平気で文句を付けるのである。
だから、「そんなに言うなら食べなくてもいいよ」といったら逆ギレされた。
そして、食後に父親から呼び出されて怒られるのだ。私たち子供が。


私が高校1年の1月に祖父が病死、高校3年の春に兄が事故死した。
そして高校3年の秋に祖母が脳梗塞で倒れた。
私は短大に通いつつ、バイトをして金・土・日の夜は祖母の介護のため、介護用ベットの横で寝ていた。
夜の介護については、姉が一人暮らしを始めるまで仕事がお休みの前日に交代で行っていた。
リハビリの甲斐もあり、杖をついて一人で歩けるようになった矢先に祖母が家の中で転んで寝たきり状態になってしまった。
原因は自称『母親』を呼ぶのに電話機に向かったから。
その時には、自称『母親』は祖母の介護は最低限になっていたと思う。
食事の介助とトイレの介助。
お風呂については、デイサービスを使った。


祖父と兄が亡くなってから、父親と自称『母親』が頻繁に旅行に行くようになった。
国内ならまだしも、海外に。
家を平気で一ヶ月とかあける。
それは、私が一人暮らしを始めるまで続いた。


高校を卒業して、短大に進学した。
あっという間に2年間が過ぎ、就職した。
今だったら「ブラック企業」といわれるような働き方をしていたと思う。
一ヶ月の残業が100時間を超えるのに、出される残業代はその四分の一の時間分まで。
だから、帰宅が遅くなるのだけれど、自称『母親』は仕事帰りに遊んでいると思っていたらしい。
仕事中は携帯に出れないから、職場に電話をしてきていた。
はっきり言って、同僚や先輩社員たちから顰蹙をかっていただろう。


社会人一年目の秋に、姉が高校時代から付き合っていた男性と結婚した。
結婚する2年前から姉は一人暮らしをしていた。
自称『母親』と一緒にはもう住めないと父親に泣きついたからだ。
姉は自称『母親』とそりがあわないので、結婚式はしないといった。
だが、世間体を気にして父方の兄妹と婿の両親と妹そして私たち妹たちのみ参加した食事会を開いた。
その時のご祝儀は自称『母親』が回収している。
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