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24話
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「そうか…」
「はい、どれほど私ども夫婦が止めても決意がかわらずどうしてよいのやら…」
リカルドの婚約披露から1週間たち、翌日には父のモンドが俺から聞いた話で流石に激怒しお咎めも覚悟でハスクの元へと向かい、王家への怒り心頭だったハスクからもその後のことをきき、ここ1週間はほぼ毎日のように今後のことを相談していた。
「セイちゃんったら…自分が居たらアンジェやメリダまでが危険だから国から出ていくなんて…」
「はい…さすがに公爵令嬢のアンジェリーナ様や第1王女メリダ様のお命について言われてしまえば我らには何も言えず……」
俺はコルグとの事件にかこつけこの国を出ていく算段を立てたが父や母だけではなく公爵家の面々にまで難色をしめされていた。
「馬鹿王子を追放か極刑にしてしまえばいいのです…」
「アメリア…セイはあれでも平民だからね、さすがにそれはできないのさ…残念だけどね」
アメリアが寒気がするほどの無表情でいうと、ハンスも同意はするが現実的には無理なことを告げた。
「ハスク様、城よりご来客にございます」
「ほぅ…通せ」
「それでは皆様、私はこれで…また何かありましたらお伺いさせていただきますので失礼いたします」
セルジュがノックとともに現れ冷たい言い方をし来客をつげモンドは城からと聞き、一瞬怒りに満ちた表情をしたあと一礼し公爵家を後にした。
「ハスク、カリーナこの度は…」
冷たい表情をしたセルジュに淡々と部屋に通されたのはエスメラルダ王妃とリカルド王子だった。
「これはこれは、エスメラルダ王妃様、リカルド王子様一週間ぶりですなぁ、わざわざご足労頂き感謝の極みようこそおいでくださいましたな」
ハスクが額に血管を浮かび上がらせ怒りを抑えているとまるわかりな笑顔を浮かべ嫌味たっぷりに二人に挨拶をしエスメラルダとリカルドが周りをみると氷のような目をして笑顔をうかべているカリーナとアメリア、そして無表情で口元だけ適当に笑顔っぽい表情をしたハンスが迎えていることに二人は冷や汗を噴出させていた。
「皆様には王家を代表し私が謝罪をさせていただきたく…」
「1週間も前のことを今さら謝罪などふようにございますよ?リカルド王子」
「ハンス…そういわずせめて…」
「そうですか…こちらは当初の予定にもなかったメリダ王女のパーティーにも尽力し、リカルド王子のご婚約披露パーティーにも当家として尽力した。しかし王家からは脅しともとれる抗議文と我が妹と我が家の最重要人物への暴挙、あまつさえ1週間もたってからの形だけの謝罪…それが王家として最大の尽力をした当家への対応だと申されるのですね?」
「そ、それは…」
「リカルド…あれからアンジェは部屋からほぼ出てこないんだ」
「な、なに…ほんとうなのか…」
「ああ、考えてもみろセイが3度自分をかばってけがを負ったんだぞ?しかもセイも1週間治療院に通うだけでほぼ部屋から出れずにいる。責任を感じないほうがおかしいだろ?」
「そ、そうだな…」
「そしてセイは自分がこの国にいる限りアンジェとメリダが今後も危険な目に合うかもしれないと国から出ていくと言い出している」
「っ!?」
「事の重大さに気づいてくれたかい?」
「あ、ああ…」
射殺すような目で淡々と事実をつたえるハンスにリカルドは言葉を失い、エスメラルダは目を見開き顔面を蒼白に変え言葉を失っていた。
「それで?王家は我が家になんだって?」
「すまん…あまりの出来事に言葉もない…」
顔面蒼白にうつむきつぶやくようにリカルドが言った。
「カ、カリーナ…」
「なんでございますか?エスメラルダ王妃様」
「っ!?………」
「私お願いいたしましたわよね?」
「ええ…ごめんなさい…リナ…私なんて謝っていいのか…謝ってすむものはないのはわかってはいるのだけれど」
「ラル!あなただって親の気持ちがわかるでしょ!」
「っ!?………ごめんなさいね……うぅぅっ……」
涙を流して絶叫するように言ったカリーナの言葉にエスメラルダは耐えることができずとうとう泣き出してしまった。
「ハスク様!セイジュ様がお越しになられました!!」
「何!?」
「モナ先生から外出の許可がおでになられたそうでアンジェリーナお嬢様がケガをなさっておられないか、心に傷をおつくりになられていなかったかと見舞いのお品までご用意しお越しくださっております!」
沈黙の中にエスメラルダの鳴き声だけが響く中、珍しく焦った様子のセルジュが話題の人セイジュが尋ねてきたといい、一同は盛大に驚いた。
「すぐにアンジェに知らせるんだ!セイの元には私がいって時間を稼ぐ!」
「かしこまりました」
「ハンス様!私もアンジェちゃんのもとへ」
「たのむ!」
「はい!」
リカルドとエスメラルダを無視しハンスとアメリアが部屋をあとにした。
=====================================
「ご都合も確認せず急に来てしまい申し訳ありません」
「いえいえ!とんでもございません。お越しを皆様こころよりおまちしておりましたよ?」
「モナ先生から傷をみるとアンジェリーナ様たちがショックを受けるといわれ今まで顔も出さず…あのような問題を起こしてしまったのに…大変申し訳ないと」
「セイジュ様がお気に病むことではないとハスク様含め私どもですらご理解しておりますのでご安心ください」
「そうだよセイ、君のせいじゃない」
「ハンス様!」
「そんなことよりよく来てくれたね。お父様やお母様も心配していたんだ」
「そうですか…せっかく僕を信頼していただき与えていただいた役割りでしたのに、あのような問題を起こしてしまいハスク様やカリーナ様にはなんと謝ればいいのか、それにお城からもお咎めがいまだに届いてなくて」
「大丈夫、城からのお咎めなど届かないから安心してくれ」
俺が尋ねるとハンス自らが出向いてくれ日ごろめったに通されることのない応接室へと向かい、一緒にお茶を飲むことになった。
「そうか、アンジェリーナにケガは無かったし、もうすぐ来ると思うから」
「そうですか…よかったです…さすがにメリダ様のご様子を伺いに城には行けませんが、アンジェリーナ様だけでもご無事だとわかり本当によかったです」
「お兄様!セイが来ているというのは本当ですのっ!?」
「うわっ!アンジェリーナ様!?」
「セイ!…あぁ…もうケガはよくなりましたの?」
「はい!おかげさまですっかり良くなりました!それよりアンジェリーナ様は体調をお崩しになられてたんですか?少々お痩せになったのでは…」
「い!いえ!そんなことありませんわ!」
「くっくっく、セイ女性に体型のことを言ってはいけないよ?」
「あっ!そうですね、少々お窶れになられたような気がしたので申し訳ありません」
「いえ、気にしておりませんわ」
バンとドアが開き、息を切らしたアンジェリーナが俺をみると一気に駆け寄りペタペタと俺の顔をさわったあと安堵の息を吐き、その後ニヤニヤしたハンスの餌食になっていつものように地団太を踏んだ。
「そうだ、あのアンジェリーナ様こちらをどうぞ」
「これはなんですの?」
「部屋に置くお香のようなものです」
「まぁ、さわやかな香りだわ」
「カモミールというハーブを使っていまして、この紙でできた棒が液体を吸い香りを適度にだしてくれます」
「まぁ!素敵ね!」
「カモミールは心を静めてくれるといわれているハーブでして、アンジェリーナ様には何度もご迷惑をおかけし心労をかけてしまっていますので…」
「そのようなことはありません!セイは今まで何一つ悪いことなどしてませんわ!」
「そういっていただけると嬉しいです」
お詫びの品を気に入ってくれたようで俺はよかったと胸をなでおろしその後、アメリアも合流し少々談笑したのち惜しまれながらも公爵家をあとにした。
「はい、どれほど私ども夫婦が止めても決意がかわらずどうしてよいのやら…」
リカルドの婚約披露から1週間たち、翌日には父のモンドが俺から聞いた話で流石に激怒しお咎めも覚悟でハスクの元へと向かい、王家への怒り心頭だったハスクからもその後のことをきき、ここ1週間はほぼ毎日のように今後のことを相談していた。
「セイちゃんったら…自分が居たらアンジェやメリダまでが危険だから国から出ていくなんて…」
「はい…さすがに公爵令嬢のアンジェリーナ様や第1王女メリダ様のお命について言われてしまえば我らには何も言えず……」
俺はコルグとの事件にかこつけこの国を出ていく算段を立てたが父や母だけではなく公爵家の面々にまで難色をしめされていた。
「馬鹿王子を追放か極刑にしてしまえばいいのです…」
「アメリア…セイはあれでも平民だからね、さすがにそれはできないのさ…残念だけどね」
アメリアが寒気がするほどの無表情でいうと、ハンスも同意はするが現実的には無理なことを告げた。
「ハスク様、城よりご来客にございます」
「ほぅ…通せ」
「それでは皆様、私はこれで…また何かありましたらお伺いさせていただきますので失礼いたします」
セルジュがノックとともに現れ冷たい言い方をし来客をつげモンドは城からと聞き、一瞬怒りに満ちた表情をしたあと一礼し公爵家を後にした。
「ハスク、カリーナこの度は…」
冷たい表情をしたセルジュに淡々と部屋に通されたのはエスメラルダ王妃とリカルド王子だった。
「これはこれは、エスメラルダ王妃様、リカルド王子様一週間ぶりですなぁ、わざわざご足労頂き感謝の極みようこそおいでくださいましたな」
ハスクが額に血管を浮かび上がらせ怒りを抑えているとまるわかりな笑顔を浮かべ嫌味たっぷりに二人に挨拶をしエスメラルダとリカルドが周りをみると氷のような目をして笑顔をうかべているカリーナとアメリア、そして無表情で口元だけ適当に笑顔っぽい表情をしたハンスが迎えていることに二人は冷や汗を噴出させていた。
「皆様には王家を代表し私が謝罪をさせていただきたく…」
「1週間も前のことを今さら謝罪などふようにございますよ?リカルド王子」
「ハンス…そういわずせめて…」
「そうですか…こちらは当初の予定にもなかったメリダ王女のパーティーにも尽力し、リカルド王子のご婚約披露パーティーにも当家として尽力した。しかし王家からは脅しともとれる抗議文と我が妹と我が家の最重要人物への暴挙、あまつさえ1週間もたってからの形だけの謝罪…それが王家として最大の尽力をした当家への対応だと申されるのですね?」
「そ、それは…」
「リカルド…あれからアンジェは部屋からほぼ出てこないんだ」
「な、なに…ほんとうなのか…」
「ああ、考えてもみろセイが3度自分をかばってけがを負ったんだぞ?しかもセイも1週間治療院に通うだけでほぼ部屋から出れずにいる。責任を感じないほうがおかしいだろ?」
「そ、そうだな…」
「そしてセイは自分がこの国にいる限りアンジェとメリダが今後も危険な目に合うかもしれないと国から出ていくと言い出している」
「っ!?」
「事の重大さに気づいてくれたかい?」
「あ、ああ…」
射殺すような目で淡々と事実をつたえるハンスにリカルドは言葉を失い、エスメラルダは目を見開き顔面を蒼白に変え言葉を失っていた。
「それで?王家は我が家になんだって?」
「すまん…あまりの出来事に言葉もない…」
顔面蒼白にうつむきつぶやくようにリカルドが言った。
「カ、カリーナ…」
「なんでございますか?エスメラルダ王妃様」
「っ!?………」
「私お願いいたしましたわよね?」
「ええ…ごめんなさい…リナ…私なんて謝っていいのか…謝ってすむものはないのはわかってはいるのだけれど」
「ラル!あなただって親の気持ちがわかるでしょ!」
「っ!?………ごめんなさいね……うぅぅっ……」
涙を流して絶叫するように言ったカリーナの言葉にエスメラルダは耐えることができずとうとう泣き出してしまった。
「ハスク様!セイジュ様がお越しになられました!!」
「何!?」
「モナ先生から外出の許可がおでになられたそうでアンジェリーナお嬢様がケガをなさっておられないか、心に傷をおつくりになられていなかったかと見舞いのお品までご用意しお越しくださっております!」
沈黙の中にエスメラルダの鳴き声だけが響く中、珍しく焦った様子のセルジュが話題の人セイジュが尋ねてきたといい、一同は盛大に驚いた。
「すぐにアンジェに知らせるんだ!セイの元には私がいって時間を稼ぐ!」
「かしこまりました」
「ハンス様!私もアンジェちゃんのもとへ」
「たのむ!」
「はい!」
リカルドとエスメラルダを無視しハンスとアメリアが部屋をあとにした。
=====================================
「ご都合も確認せず急に来てしまい申し訳ありません」
「いえいえ!とんでもございません。お越しを皆様こころよりおまちしておりましたよ?」
「モナ先生から傷をみるとアンジェリーナ様たちがショックを受けるといわれ今まで顔も出さず…あのような問題を起こしてしまったのに…大変申し訳ないと」
「セイジュ様がお気に病むことではないとハスク様含め私どもですらご理解しておりますのでご安心ください」
「そうだよセイ、君のせいじゃない」
「ハンス様!」
「そんなことよりよく来てくれたね。お父様やお母様も心配していたんだ」
「そうですか…せっかく僕を信頼していただき与えていただいた役割りでしたのに、あのような問題を起こしてしまいハスク様やカリーナ様にはなんと謝ればいいのか、それにお城からもお咎めがいまだに届いてなくて」
「大丈夫、城からのお咎めなど届かないから安心してくれ」
俺が尋ねるとハンス自らが出向いてくれ日ごろめったに通されることのない応接室へと向かい、一緒にお茶を飲むことになった。
「そうか、アンジェリーナにケガは無かったし、もうすぐ来ると思うから」
「そうですか…よかったです…さすがにメリダ様のご様子を伺いに城には行けませんが、アンジェリーナ様だけでもご無事だとわかり本当によかったです」
「お兄様!セイが来ているというのは本当ですのっ!?」
「うわっ!アンジェリーナ様!?」
「セイ!…あぁ…もうケガはよくなりましたの?」
「はい!おかげさまですっかり良くなりました!それよりアンジェリーナ様は体調をお崩しになられてたんですか?少々お痩せになったのでは…」
「い!いえ!そんなことありませんわ!」
「くっくっく、セイ女性に体型のことを言ってはいけないよ?」
「あっ!そうですね、少々お窶れになられたような気がしたので申し訳ありません」
「いえ、気にしておりませんわ」
バンとドアが開き、息を切らしたアンジェリーナが俺をみると一気に駆け寄りペタペタと俺の顔をさわったあと安堵の息を吐き、その後ニヤニヤしたハンスの餌食になっていつものように地団太を踏んだ。
「そうだ、あのアンジェリーナ様こちらをどうぞ」
「これはなんですの?」
「部屋に置くお香のようなものです」
「まぁ、さわやかな香りだわ」
「カモミールというハーブを使っていまして、この紙でできた棒が液体を吸い香りを適度にだしてくれます」
「まぁ!素敵ね!」
「カモミールは心を静めてくれるといわれているハーブでして、アンジェリーナ様には何度もご迷惑をおかけし心労をかけてしまっていますので…」
「そのようなことはありません!セイは今まで何一つ悪いことなどしてませんわ!」
「そういっていただけると嬉しいです」
お詫びの品を気に入ってくれたようで俺はよかったと胸をなでおろしその後、アメリアも合流し少々談笑したのち惜しまれながらも公爵家をあとにした。
応援ありがとうございます!
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