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夜十時、珍しく両親共に出かけていたのをいいことに、堂々とリビングでゲームを始めた。
音量が最大になっていたらしく、オープニング曲が盛大に流れる。
一瞬ビクッとした後、その懐かしくも心に響く旋律に頬が緩むのを感じた。
そのゲームは、スマホとは思えないクオリティを誇るMMORPGである。
自分の分身であるアバターを自由に操作し、思うがままに異世界を冒険する───。
ターン制のRPGを好まない私としては、自らの足で冒険するというなによりもワクワクするこのシステムが大好きだった。
……ハマりすぎて中三の夏休みを丸々潰してしまい、大いに反省した結果、今の今まで封印していた、という情けない過去があるのも事実であるが。
「私ってヒーラーだった?…まあいいや。」
はじめは花形の戦闘職を選んだのだが、あまりに弱かった。
好奇心だけでカッコいい職業を選んだはいいが、私は初心者。
そしてなにより、回避をするという技術がなかったのだ。
あまりに致命的で何度も死に戻るので、泣く泣く諦めて回復に徹することにした結果がヒーラーだ。
久しぶりの異世界に来たような感覚。
システムや内装が変わったところを見ては、離れていた時間を実感する。
プレイヤーの全体的なレベルが上がっているのに気がついたり、見たこともないアバターを見つけると、一人でいるのをいいことに声をあげる。
気に入ったアバターを幾つか見繕い、いつかは着られるくらい強くなってみたいものだとうっすらと考える。
一通り現状を把握したのち、メインクエストの続きに挑むことにした。
このゲームは、メインタワーと呼ばれる塔を攻略してゆく方式だ。
タワーは、三階層ごとに全く異なる装いになる。
私が今最前線として戦っているのは洞窟階層だ。
テレポート用の光のアーチをくぐると、眼前には幻想的な洞窟が広がった。
光の粒が宙を舞い、岩についた苔は淡く光っている。
天井が突き抜け、空からは光が射し込んでくる。
壁を流れるのは、これまた煌めく雫の清流。
単なるオブジェクトではなく、動きを持ったひとつの現実かのようなその光景に、しばし目を奪われる。
洞窟といっても、とても広い。
地下に空いた大きな空洞を幾重にも連なる柱が支えているというイメージだろうか。
それぞれの階層に用意されたテレポート用の光のアーチは、上下の階層に行くための2つのみ。
しかも、それが広い階層の両端にある。
光のアーチの近くにいるクエストNPCに話しかけ、メインクエストを受注する。
このNPCの近くには、クエストを終えて休憩しているプレイヤーが多くいた。
恐らくHPが減っているのであろう。
そこで思い出す。
(私はヒーラーだ……ヒーラーは、回復が仕事………)
よし、と気合を入れる。
この時の私は少し大胆だったと言わざるを得まい。
ゲーム内でプレイヤーと関わるなど、それまでの私なら考えられないことだったのだから。
(……えいっ)
ボタン一つといえばそれまでだが、周りのプレイヤーにヒールをかけてまわる。
そして、ドキドキしながら反応をみることにした。
……残念ながら、ほとんどのプレイヤーは、何も言わずに去っていった。
そう。ほとんどだ。
1人のプレイヤーが、ぺこりとお辞儀をした。
お辞儀…すなわち、エモーションだ。
私はエモーションを使ったことがない。
親に隠れてコソコソゲームするのが私のスタイル。
親の気配を探るのと同時に、フレンドとチャット?
そんな器用な真似、出来るはずがない。
すなわち、これが私の初めての人間との交流だ。
ぎこちない動きで、エモーションのボタンを探る。
初期に配布されるエモーション以外、何も持っていないが、何も返さないよりはマシだろう。
……そう思ったのだ。
あっ、と思った時にはもう遅かった。
私は、拍手をした。
ぱちぱちと手を叩いて。
……何をしているんだろう、私。
ハラハラしながら相手の反応を待つ。
すると、すぐに拍手が返ってきた。
そう。拍手が返ってきたのだ。
これにはどう返せばいいんだろう。
ゲーム内コミュニケーション初心者の私には難易度が高い。
とりあえず、もう一度拍手を返す。
相手も拍手を返す。
私も拍手を返す。
相手が拍手を返す。
私も───。
……これ、いつまで続くんだろう。
もう何分も経ったと思う。
いい加減、指が疲れてきた。
相手も疲れているのではないだろうか。
そこで私は思い出す。
パーティという存在を。
しかし、パーティなど、エモーションよりもはるかに難易度が高い。
だって、チャットをするのだ。
会ったこともないゲーム内のプレイヤーと、仲良くお話をするのだ。
でも、指が疲れてきたのも事実。
そして、このエモーションの押収に終わりが見えないのもまた事実。
……女は度胸だ。
『ありがとうございます(^^)』
パーティ申請を送った途端に、返事が来た。
『いえいえ、こちらこそ!』
無難に返した。
でも、不思議だ。
たった一行のチャットなのに。
何かが、始まる予感がした。
何かは分からないが、新しい世界に音が加わった感覚。
今まで、ただの画面でしかなかったそこに、人の気配がある。
少し、ワクワクした。
『メインクエですか?』
『はい』
『良かったら一緒にどうですか?』
お誘いが来た。
思った以上にこの人は積極的な様だ。
『いいんですか?よろしくお願いします!』
それに答えてしまう私も、このたった数分で随分と積極的になった気がするが。
彼の名前はミツヤ。
職業はレンジャー。
試しに、三ツ矢サイダー?と聞いたら、本当にそれが由来だった。
好きなの?と聞くと、普通。と一言。
なんでやねん。と突っ込みたくなるのは我慢した。
しばらくすると、クエストに飽きて、拠点にしている広場に2人で戻ってきた。
端に設置してあるベンチに腰掛ける。
そしてその前を、様々な人が横切る。
なんだかそんな皆がとても強そうに見えて、少し理由のない焦りを覚えた。
『早く強くなりたいな』
ぽつりとつぶやく。
ほんの、何気ない一言だった。
『ゆっくりでいいんだよ』
『自分のペースでのんびりと、ね』
私の心の奥を知っているかのように。
ミツヤは答える。
まただ。
忘れていた何かが、胸の底に渦巻いている。
『そうだね』
私は、ずっとマイペースで生きてきたはずなのに。
いつの間に、そんな自分すら忘れてしまっていたんだろう。
最近、全く動かなくなって凍っていた心が、ぶるりと震えた。
私は大切なものを、たくさん忘れてしまったのかもしれない。
そしてもう、何が大切だったのかすら、思い出せない。
この人といれば私はきっと、ずっと忘れていた何かを思い出せる。
それは、もう予感ではなく、確信だった。
───ガチャ。
親が帰ってきた。
そうなると私は迅速に行動を開始する。いつものことだ。
素早くチャットに打ち込む。
『ごめん、今日は落ちます!またね!』
もうすっかり、タメ口も全然苦じゃなくなった。
こんな短時間でタメ口になるなんて不思議でしょうがない。
『はーい、お疲れ様。またね!』
返事だけ見ると、素早くスマホをしまう。
玄関に顔を出し、笑顔で一言。
「おかえりなさい!お父さん、お母さん。」
ああ、今日は本当に驚きの夜だった。
音量が最大になっていたらしく、オープニング曲が盛大に流れる。
一瞬ビクッとした後、その懐かしくも心に響く旋律に頬が緩むのを感じた。
そのゲームは、スマホとは思えないクオリティを誇るMMORPGである。
自分の分身であるアバターを自由に操作し、思うがままに異世界を冒険する───。
ターン制のRPGを好まない私としては、自らの足で冒険するというなによりもワクワクするこのシステムが大好きだった。
……ハマりすぎて中三の夏休みを丸々潰してしまい、大いに反省した結果、今の今まで封印していた、という情けない過去があるのも事実であるが。
「私ってヒーラーだった?…まあいいや。」
はじめは花形の戦闘職を選んだのだが、あまりに弱かった。
好奇心だけでカッコいい職業を選んだはいいが、私は初心者。
そしてなにより、回避をするという技術がなかったのだ。
あまりに致命的で何度も死に戻るので、泣く泣く諦めて回復に徹することにした結果がヒーラーだ。
久しぶりの異世界に来たような感覚。
システムや内装が変わったところを見ては、離れていた時間を実感する。
プレイヤーの全体的なレベルが上がっているのに気がついたり、見たこともないアバターを見つけると、一人でいるのをいいことに声をあげる。
気に入ったアバターを幾つか見繕い、いつかは着られるくらい強くなってみたいものだとうっすらと考える。
一通り現状を把握したのち、メインクエストの続きに挑むことにした。
このゲームは、メインタワーと呼ばれる塔を攻略してゆく方式だ。
タワーは、三階層ごとに全く異なる装いになる。
私が今最前線として戦っているのは洞窟階層だ。
テレポート用の光のアーチをくぐると、眼前には幻想的な洞窟が広がった。
光の粒が宙を舞い、岩についた苔は淡く光っている。
天井が突き抜け、空からは光が射し込んでくる。
壁を流れるのは、これまた煌めく雫の清流。
単なるオブジェクトではなく、動きを持ったひとつの現実かのようなその光景に、しばし目を奪われる。
洞窟といっても、とても広い。
地下に空いた大きな空洞を幾重にも連なる柱が支えているというイメージだろうか。
それぞれの階層に用意されたテレポート用の光のアーチは、上下の階層に行くための2つのみ。
しかも、それが広い階層の両端にある。
光のアーチの近くにいるクエストNPCに話しかけ、メインクエストを受注する。
このNPCの近くには、クエストを終えて休憩しているプレイヤーが多くいた。
恐らくHPが減っているのであろう。
そこで思い出す。
(私はヒーラーだ……ヒーラーは、回復が仕事………)
よし、と気合を入れる。
この時の私は少し大胆だったと言わざるを得まい。
ゲーム内でプレイヤーと関わるなど、それまでの私なら考えられないことだったのだから。
(……えいっ)
ボタン一つといえばそれまでだが、周りのプレイヤーにヒールをかけてまわる。
そして、ドキドキしながら反応をみることにした。
……残念ながら、ほとんどのプレイヤーは、何も言わずに去っていった。
そう。ほとんどだ。
1人のプレイヤーが、ぺこりとお辞儀をした。
お辞儀…すなわち、エモーションだ。
私はエモーションを使ったことがない。
親に隠れてコソコソゲームするのが私のスタイル。
親の気配を探るのと同時に、フレンドとチャット?
そんな器用な真似、出来るはずがない。
すなわち、これが私の初めての人間との交流だ。
ぎこちない動きで、エモーションのボタンを探る。
初期に配布されるエモーション以外、何も持っていないが、何も返さないよりはマシだろう。
……そう思ったのだ。
あっ、と思った時にはもう遅かった。
私は、拍手をした。
ぱちぱちと手を叩いて。
……何をしているんだろう、私。
ハラハラしながら相手の反応を待つ。
すると、すぐに拍手が返ってきた。
そう。拍手が返ってきたのだ。
これにはどう返せばいいんだろう。
ゲーム内コミュニケーション初心者の私には難易度が高い。
とりあえず、もう一度拍手を返す。
相手も拍手を返す。
私も拍手を返す。
相手が拍手を返す。
私も───。
……これ、いつまで続くんだろう。
もう何分も経ったと思う。
いい加減、指が疲れてきた。
相手も疲れているのではないだろうか。
そこで私は思い出す。
パーティという存在を。
しかし、パーティなど、エモーションよりもはるかに難易度が高い。
だって、チャットをするのだ。
会ったこともないゲーム内のプレイヤーと、仲良くお話をするのだ。
でも、指が疲れてきたのも事実。
そして、このエモーションの押収に終わりが見えないのもまた事実。
……女は度胸だ。
『ありがとうございます(^^)』
パーティ申請を送った途端に、返事が来た。
『いえいえ、こちらこそ!』
無難に返した。
でも、不思議だ。
たった一行のチャットなのに。
何かが、始まる予感がした。
何かは分からないが、新しい世界に音が加わった感覚。
今まで、ただの画面でしかなかったそこに、人の気配がある。
少し、ワクワクした。
『メインクエですか?』
『はい』
『良かったら一緒にどうですか?』
お誘いが来た。
思った以上にこの人は積極的な様だ。
『いいんですか?よろしくお願いします!』
それに答えてしまう私も、このたった数分で随分と積極的になった気がするが。
彼の名前はミツヤ。
職業はレンジャー。
試しに、三ツ矢サイダー?と聞いたら、本当にそれが由来だった。
好きなの?と聞くと、普通。と一言。
なんでやねん。と突っ込みたくなるのは我慢した。
しばらくすると、クエストに飽きて、拠点にしている広場に2人で戻ってきた。
端に設置してあるベンチに腰掛ける。
そしてその前を、様々な人が横切る。
なんだかそんな皆がとても強そうに見えて、少し理由のない焦りを覚えた。
『早く強くなりたいな』
ぽつりとつぶやく。
ほんの、何気ない一言だった。
『ゆっくりでいいんだよ』
『自分のペースでのんびりと、ね』
私の心の奥を知っているかのように。
ミツヤは答える。
まただ。
忘れていた何かが、胸の底に渦巻いている。
『そうだね』
私は、ずっとマイペースで生きてきたはずなのに。
いつの間に、そんな自分すら忘れてしまっていたんだろう。
最近、全く動かなくなって凍っていた心が、ぶるりと震えた。
私は大切なものを、たくさん忘れてしまったのかもしれない。
そしてもう、何が大切だったのかすら、思い出せない。
この人といれば私はきっと、ずっと忘れていた何かを思い出せる。
それは、もう予感ではなく、確信だった。
───ガチャ。
親が帰ってきた。
そうなると私は迅速に行動を開始する。いつものことだ。
素早くチャットに打ち込む。
『ごめん、今日は落ちます!またね!』
もうすっかり、タメ口も全然苦じゃなくなった。
こんな短時間でタメ口になるなんて不思議でしょうがない。
『はーい、お疲れ様。またね!』
返事だけ見ると、素早くスマホをしまう。
玄関に顔を出し、笑顔で一言。
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漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
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陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
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漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
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