姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

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1章 変わる日常

38話 公爵邸での生活(7)

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「ウェルカ、不自由はないかい?」

「伯父様!
 はい、とても快適に過ごさせていただいています」

 とても天気がいい日の午後、私は最近お気に入りになった庭が見れるテラスで本を読んでいた。すると急に伯父様が別邸へと尋ねてこられたのだけど、いったい何の用事なのだろうか。

「今日、試験の結果が来てね。
 先に渡しておくよ。
 この後一度王宮に戻らなくてはいけないから、夕飯後に私の執務室に来てくれ。
 夕飯もよければ一緒に食べよう」

「ありがとうございます」

 渡されたのは国章と勉学を表すペンと学帽が合わさったような学園の校章が入った封筒が一通。厚みはそんなにないけれど、ここに結果が書かれているのか。きっと落ちていることはないはず!

「ではまたあとでな」

 伯父様はそれだけ言うとすぐに帰っていってしまった。きっとお忙しい時間の合間をぬってこれを私に来てくれたのだろう。それにしても……。

 やっぱり結果を見るというのは緊張してしまう。封筒を持ったままそれをじっと見つめている私に見かねてかイルナがペーパーナイフを取ってきてくれた。

 お礼を言い、そっと封筒を開けていくと中に入っていたのは一枚の紙、そして丸い形の何かのバッジだった。ここに書かれているのは校章? 金で書かれた校章と、背景は青色だ。

 そして本題はこちらの手紙。緊張しながらゆっくりと開いていく。

≪氏名: ウェルカ・ゼリベ・チェルビース
 
 上記のものは入学試験において大変優秀な成績を残し、当学園における基礎学習を必要ないものと考える。よって以下の形で入学を許可する。

 所属学年: 初等専門部1年
 選択学科: 魔法科

 主に魔法科の授業を初等専門部、高等専門部どちらとも3年のうちに学ぶものとする。
 初等専門部3年終了時には基礎教育部、初等専門部、高等専門部、の卒業資格を与えるものとする。》

 これはつまり?
 学園に入れるし、しかもほぼ魔法の授業だけで高等専門部の卒業資格までくれるの⁉
 それだと、早く王宮勤めできることになる。

 良かった、本当に良かった。たくさんのことを教えてくれたマリーベ様はもちろんのこと、勉強をさせてくれた伯父様、応援してくださったお姉様のためにもいい成績を残したかった。お礼がしたかった。
 恩が返せるのはこれからだ。

「ウェルカ様?」

 紙を抱えて動かなくなったからかイルナの心配そうな声が聞こえる。

「大丈夫よ、イルナ」

 そういってイルナの方を見ると、少し驚いた顔をされる。そして、少々お待ちくださいというとどこかへと行ってしまう。どうしたんだろう?

「ウェルカ様、これを」
 
 すぐに戻ってきたイルナの手には蒸しタオルがあった。私、いつの間に泣いていたんだろう。お礼を言って目にタオルをあてるとジーンとする。

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