あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

mio

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十四章 不穏な空気

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「以前、いつか話すと言いましたよね」

 持ってきた紅茶を私の前に置くと師匠は静かに話し始める。なんのことかわからずにきょとんとしていると師匠が苦笑いをした。

「どうして私が馬車を持っているのに、従者もいない家で暮らしているかという話です」

 ああ、確かに聞いたことがある気がする。すっごい前、初等科1年の頃だったような気がする。でもどうして突然そんな話を?

「そろそろ話してもいいかと思いまして。
 今あなたに降りかかっている問題でもありますしね」

「今……」

 というと神官長がらみの問題かな? どうしてそれが師匠が一人で暮らしていることと関係があるのかな……。

「私の苗字にある、チェスト。
 これはもともとこの国の子爵家の名だったのです」

「え……?」

「でも今は存在しません。
 私が終わらせたも同然です」

 一つの子爵家を、それも自分の生家を師匠が終わらせた? それってどういう意味だろう。

「あなたと同じように私は学園の入試の際に魔力を開放しました。
 その魔力は歴代のチェスト家の中で誰よりも高かった……。
 それに加えて、解放されたばかりの魔力を扱うのが楽しくて仕方なかった私は、こっそりとだれもいないところで魔力を使い遊んでいました。
 その結果、同世代の誰よりも魔力の扱いがうまくなったのです。
 その二つが合わさった結果、神官長に目をつけられてしまったのです」

 そこまで言うと先生は一息ついて紅茶を飲む。その様子を見て私も紅茶を飲んだ。うん、おいしい……。
 今にも泣きそうな、後悔に満ちた先生の顔を直視できないまま私は紅茶を置いた。

「私は神子になどなりたくないと、その誘いを断ったのですが家族は違いました。
 何か交換条件を持ちかけたようで……。
 それでも私はどうしても神殿には行きたくなかったのです。
 その結果段々と家族とうまくいかなくなっていきました。
 そこを助けてくださったのが私の師匠だったのです」

「先生の師匠ですか……?
 ということは、バーストさんのお兄様?」

「はい、そうです。
 そのころはまだ弟子になっていなかったのですが、どこからかこの話を聞き、名乗り出てくださったのです。
 当時家に居場所がなくなっていた私はその誘いにすぐに飛びつきました。
 そして、師匠はご自宅に私の居場所を作ってくださいました。
 あれは本当に楽しい日々でした……」

 昔を懐かしむように師匠は目を細める。その表情は、本当にその日々が楽しかったことを語っていた。



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