あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

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最終章 

249 リディアとカルベア 6

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「なんでもいい、人々が持ちやすいものを作ってもらいたいのです」

「もの、か?
 理由はなんだ」

「こちらを」
 
 そして、先ほど聖心力を込めた短剣を父様に渡す。父様は恐る恐るといったようにそれを受け取った。

「これはなんだ?」

「私たちの力を込めた短剣です。
 今、この世が混乱の中にいるのをご存知ですよね?」

「あ、ああ」

「この短剣を持てばきっとそのような混乱が少しは収まるはずなのです。
 この力があれば……」

 父様はそこまで聞いて、じっと短剣を見つめる。

「私にはその力というものがよくわからないが、この短剣からはあたたかいものを感じる。
 なにか、沈んだ気持ちを浮上させてくれるような、そんなものを……。
 分かった、急いで準備させよう。
 リディアが頑張っているのに、私たちが何もしないのはな」

「っ!
 ありがとうございます!」

 気にするな、と父様は笑う。でもこれはこの公爵家にとって何の利益もない。それをわかったうえで父様はこの私の無茶な願いを聞き入れてくれたのだ。

「リディアの家族はいい人だね。
 貴族なんて信じられないと思っていたけど、ここだけは別だ」

 カルベアは私だけに聞こえるようにそう伝えてきた。きっと一般家庭に生まれたカルベアは私がしなかった苦労をしてきたのだ。
 私はこの家のことしか知らないけど、中には立場を利用してよくないことをしているものもいるときく。改めて、私はこの家に生まれてよかったと思った。

 父様の部屋を出ると、すぐそばに弟が立っていた。まだ幼さの残る弟は私の姿を見ると何も言わずに抱き着いてきた。きっと、私が居ないなか妹が亡くなり心細かったのだろ。
 私も何か言うこともなく無言で弟の頭をなでた。早く、みんなが元気になりますように。そう願って、屋敷全体に聖魔法をかける。

「ごめんね、姉さまもう行かないと」

「また、戻ってきますか?」

「ええ、もちろん。
 それまではこれをお守りとして持っていて」
 
 先ほど、父様から返してもらった短剣を弟に渡す。きっとこの剣に宿る力がいざというときに弟を助けてくれるはずだ。短剣をしっかり受け取ると弟は力強くうなずいた。


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